さびしがり
僕じゃない人が、どんなかたちで「さびしがり」をごまかしているかは、十人十色で、これは自分のことを棚に上げて、面白い。
最近定年になった、元消防士さん。ウチの前でぼんやりする以外に、すべがない。で、通り過ぎる人にやたらと声をかけるのが楽しみになった。
こないだ、昔ながらの豆腐屋さんが、自転車こいでラッパ鳴らしながら通りすぎかけた。
「おーい、豆腐屋さん」
いつものお得意さんじゃないところで呼び止められて、豆腐屋さん、急ブレーキ。目の前は、畑におりるちっちゃなガケっぷち。急ブレーキかけたので、積んできた鍋がひっくり返って、中身が全部、畑に散らばってしまった。
半泣きの豆腐屋さん、呼び止めたおっさんにきいた。
「ご用は何で?」
「いやぁ、用はねぇ。呼び止めてみたかっただけだ」
おっさんに、反省の色なし。
その日、豆腐屋さんは稼ぎがおじゃんになったそうな。


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