ラテン語

2018年11月20日 (火)

『楽しく学ぶラテン語』読解~第15課


別にどんどんやるつもりではなく、やれるときにやりたければやる感じで読んでいきます。明日も明後日も、今度の連休中も、たぶんやれませんし、やりませんから。

15課の例文は、14課が理解できると、p.66の指示代名詞・形容詞の変化表を参照すれば、わりとすんなり分かるかな、と思います。


第15課 指示代名詞・形容詞(p.64)

1. Erant in eā legiōne fortēs virī, Pullō et Vorēnus.
    Hī perpetuās inter sē contrōversiās habēbant.  (CaGal. 5.44)

【ポイント】
* 最初の文は、Pullō et Vorēnusが主語ですが、英語だとThere were strong men in the army, Pullo and Vorenus. みたいな感じになるのだろうと思います。でも、逐語訳は「翻訳」ではなくて文の言っていることが分かるのが目的なので、主語述語の関係は素直に読み取ってみるのがいいんだろうな、と思っています。それでも英語のThere were文を訳すのと変わらない感じにはなるのですが・・・
* perpetuāsはcontrōversiāsと性、数、格が一致していることに着目します。

【逐語訳】
その(eā、奪格)軍団(legiōne、奪格)には(in、奪格支配前置詞)強い(fortēs、第3変化形容詞男性複数主格)男たち(virī)、プッロー(Pullō)と(et)ウォレーヌス(Vorēnus)がいた(Erant、不規則動詞sumの直説法能動態未完了過去3人称複数。sumの未完了過去の変化の表は、すでに第2課のp.13にあります)。
この者たちは(Hī、指示代名詞男性複数主格) お互いに(inter sē、熟語と見る。interは「〜の間」をあらわす対格支配前置詞、sēは再帰代名詞suīの単数複数共通の対格)途切れない(perpetuās、第1第2変化形容詞 女性複数対格)反目を(contrōversiās、第1変化女性名詞複数対格、「反目」の訳は辞書によります)抱いていた(habēbant、第2変化動詞habeōの直説法能動態未完了過去3人称複数)。

【テキストの和訳】
その軍団にPullōとVorēnusの勇者がいた。この者たちはお互いで常に競争をしていた。


2. Hae nūgae sēria dūcent in mala.  (HorArs. 451)

【ポイント】
* sēriaとmalaの性、数、格が一致していることに着目。従って前置詞inよりも前にあるにもかかわらず、sēriaにも前置詞inが係る。

【逐語訳】
このような(Hae、指示代名詞女性複数主格)冗談は(nūgae、第1変化女性名詞複数主格)重大な(sēria、第1第2変化形容詞中性複数対格)不幸(mala、第2変化中性名詞複数主格)を(in、対格支配前置詞)導くだろう(dūcent、第3変化動詞直説法能動態未来3人称複数)。

【テキストの和訳】
こんな戯れは、深刻な禍いにおちいるだろう。


3. Hōc tempore obsequium amicōs, vēritās odium parit.  (TeAnd.  67-)

【ポイント】
* 並立する二つの主格の名詞がparitを単数形で共有し、動詞それぞれに続く対格の名詞を目的語にしている。子供のときの理科を思い出せば、電池の並列接続のような構造になっているのが面白く感じます。
図の格好が悪いですけれど、こんな感じ。

                        |—obsequium—amicōs —|
Hōc tempore— |                                     |——parit.
                | vēritās      — odium    —|

* Hōc temporeは時の奪格ですが、第34課§193(p.164)でないと説明のない用法です。まあ、感じで分かっちゃうのかな。

【逐語訳】
この(Hōc指示代名詞中性単数奪格)ご時勢では(tempore、第3変化中性名詞tempusの単数奪格。)お世辞が(obsequium、第2変化中性名詞単数主格)友たちを(amicōs、第2変化男性名詞複数対格)、真実が(vēritās、第3変化女性名詞単数主格)憎しみを(odium、第2変化中性名詞単数対格)産む(parit)。

【テキストの和訳】
現今にあっては、追従が友を、真実は憎しみを生む。

【蛇足】
テキストの訳だと、ほんとうは少なくとも「真実《が》憎しみを」としたほうがいいんだけどな、などと思いました。元のラテン語は「友」が複数で「憎しみ」が単数なのも、もし翻訳のつもりでやるなら、活かしたら面白いんだけどな、とも感じています。さもない話ですが。


4. Quid istuc est?

【ポイント】
〜とくになし。

【逐語訳】
それって(istuc、指示代名詞中性単数主格)何(Quid、疑問代名詞中性単数主格)ですの(est)?

【テキストの和訳】
何をおっしゃっているのですか(=どういう意味ですか)。

【蛇足】
テキスト和訳のようになるのは文脈由来なのかと思うのですが、出典の明示なく、分かりません。探してみます。


5. Illud amīcitiae sanctum ac venerāvile nōmen
   nunc sub pedibus jacet?   (OvTris.  1.8)

【ポイント】
* Illud(指示形容詞中性単数)とnōmen(第3変化中性名詞単数)が主格。
* amīcitiaeは第1変化女性名詞の属格で、nōmenに係る。「amīcitiaというnōmenは」と採る。
* sanctumとvenerāvileは形容詞で中性単数主格、nōmenを形容する。

【逐語訳】

【ポイント】
友情という(amīcitiae)あの(Illud)神聖な(sanctum)そして(ac)敬うべき(venerāvile)名は(nōmen)
いまや(nunc)足の(pedibus、複数奪格)下に(sub、奪格支配前置詞)横たわるのか(jacet)?

【テキストの和訳】
友情という彼の神聖にして尊き言葉は、今や足下で踏みにじられているのですか。


6. Sic venit ille puer, puer ille manet.  (OvRem.  168)

【ポイント】
* ぞれぞれ二度出てくるille(指示形容詞男性単数)もpuerも主格形で、前後で位置が逆転している(最初はille puer、次がpuer ille)のが何故かな、と考えると深刻に悩んでしまいます。詩の中の行なので、韻律の関係で逆転させたのだろう、と、あっさり捉えることにしました。間違いでしたらご指摘頂けると嬉しいです!

【逐語訳】
こうして(Sic、副詞)かの(ille)少年は(puer)やって来て(venit) かの(ille)少年は(puer)とどまるのです(manet、辞典による訳語)。

【テキストの和訳】
彼の少年かく来たり、かく留まりぬ。


7. Hīc jacet immītī cunsumptus morte Tibullus.  (Tib.  1.3)

【ポイント】
* immītīは課の語注にしたがって第3変化形容詞として捉えますと、p.62の変化表により単数奪格だと分かります。男性女性中性で共通の形ですが、奪格であることがmorteと一致しますので、女性単数奪格ということになります。
* cunsumptusはcōnsūmōの完了分詞(→第29課。前の課第14課の例文5参照)で、受動的に「破滅させられた」と読んでおきます。morteを形容します。
* morteは第3変化女性名詞mors(死)の単数奪格。

【逐語訳】
ここに(Hīc、指示代名詞男性単数主格と形は同じですが、副詞と捉えます)過酷な(immītī 、奪格)死によって(morte、奪格)破滅させられた(cunsumptus)ティブッルスが(Tibullus)横たわっている(jacet)。

【テキストの和訳】
容赦なき死にて滅びたるティブッルスここに横たわれり。

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2018年11月18日 (日)

『楽しく学ぶラテン語』読解〜第14課

独習が難しいことで有名な『独習者のための楽しく学ぶラテン語』(笑)。
それでもやはり、古典ラテン語を読もう、と思ったら、良いテキストだなあ、と感じ続けること3年。

すでに第6課で謎な文が出てくるものの、第13課までは「独習」でなんとか読めます。ご指導を頂きつつ3巡して、本当にたいへんなのは第14課以降であることに気づきました。その理由を添えつつ、定年間際のサラリーマンおっさんが、3年ゆるゆる、繰り返し手ほどきを受けながら覚えた読み方で、各課の本文を読み解こうと試みます。
山下太郎著『ラテン語を読む キケロー「スキーピオーの夢」』に倣った、逐語訳の方法をとってみます。これがいちばん堅実であることを、最近ようやく悟りました。

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元のテキストで、添えられた日本語訳を読んだだけでは「?」だらけになってしまう頭の中も、逐語訳をやってみると、すっきり整理できます。
その他、ポイントと感じることは、もし次回以降も取り組めるなら、都度少しずつ述べてみます。

なお、万年素人がやっていることゆえ、誤りも多々あるかと思います。

語彙の意味は、各課の下段か巻末の語彙索引に載っているものを採るのを基本とします(独習ですから)。品詞の種類や格については、私の判断で記すものです。ご指摘ご指導を頂けましたら幸いです。


第14課 第三変化形容詞(p.61)

1. Difficile est longum subitō dēpōnere amōrem. (Catul.[カトゥッルス詩集] 76)

【ポイント】
* longumと文の最後のamōremが単数対格同士で意味上の関連を持っている。
* dēpōnereに見られる動詞の不定法は、実は第31課(p.148)にならないと分からない。いまは「名詞的に用いられているのかも知らんねぇ」と割り切って読んでしまう。

【逐語訳】
長い(longum、第1第2変化形容詞、男性単数対格)恋を(amōrem、第3変化名詞 男性単数対格)突然に(subitō、副詞)放棄すること(dēpōnere)は難しい(Difficile)です(est)。

【テキストの和訳】
長く続いた恋をただちに捨て去ることはむずかしい。


2. Omnia mea mēcum portō.  (CiPar. [キケロー『ストア派のパラドクス』]1)

【ポイント】
* ラテン語の通例で、主語である「私」は省略されている(動詞の語尾で分かる)。
* mēcumは奪格支配前置詞cumがmēの語尾と化したものなので、mēは奪格。

【逐語訳】
(私は)私の(mea、所有形容詞中性複数対格)すべてを(Omnia、第3変化中性名詞複数対格) 私と(mē-)共に(-cum)運んでいる(portō)。

【テキストの和訳】
私は全財産を持ち歩いている(=無一物である)。


3. Fortēs fortūna adjuvat.  (TePhor. [テレンティウス『ポルミオー』] 203)

【ポイント】
* Fortēsとfortūnaのどちらが主語かを見極める。
* Fortēsは第3変化形容詞の名詞的用法であることに気づく。すると、単数対格か複数主格または対格だが、動詞adjuvatが3人称単数なので、Fortēsが主語にはならないことが判明する。
* fortūnaは語尾からすると中性の複数主格か対格、または第1変化女性名詞の主格だが、動詞が単数の語尾であり、第1変化女性名詞の主格、文の主語であることが判明する。

【逐語訳】
運は(fortūna)強者を(Fortēs)助ける(adjuvat)。

【テキストの和訳】
幸運は強者を助ける。


4. Impia sub dulcī melle venēna latent.  (OvAm. [オウィディウス『恋愛詩集』]  1.8)

【ポイント】
* 例文1と似て、離れた位置にあるImpiaとvenēnaが同じ性、数、格であることに気づく。動詞が三人称複数の語尾なので、中性複数主格形で主語を形成していると読むと辻褄が合う。

【逐語訳】
まがまがしい(Impia、第1第2変化形容詞、中性複数対格)毒が(venēna)甘い(dulcī、第3変化形容詞中性単数奪格)蜜の(melle、第3変化中性名詞単数奪格)下に(sub、奪格支配前置詞)ひそんでいる(latent)。

【テキストの和訳】
甘き蜜の下には忌わしい毒がひそんでいる。


5. Fēlix suā sorte contentus est.

【ポイント】
* ラテン語の通例で、主語である「彼」は省略されている(動詞の語尾で分かる)。
* suā sorteは奪格で、手段を表す(?)用法であることは、第34課まで分からない(p.165)。

* contentusは形容詞だとの語釈だとFēlixと並立に見えるので、解釈に混乱を来す。contendōの完了分詞なので、suā sorteという手段によって彼がおかれた状態を表しているため、Fēlixはそれからもたらされた更なる状態だと分かるのだが、このこともテキストでは第29課に至らないと文法的に分からない(p.135)。

【逐語訳】
(彼は)自身の(suā)分け前によって(sorte)満足させられて(contentus)幸福で(Fēlix)います(est)。

【テキストの和訳】
彼は自らの運に満足して、幸福である。


6.  Est prope Collinam templum venerābile portam.
     impōnit templō nōmina celsus Eryx,
     illīc et juvenēs vōtīs oblībia poscunt.   (OvRem. [オウィディウス『恋の療治』] 549-)

【ポイント】
* 最初の文のportamは対格で、Collinamと結びついていることを読み取る。
 〜すると、主語はtemplumであるらしいことが分かる。
* 3文目のetは、前後の語彙を結び付けているのではなく、この文が2文目に続いていることを表している。etは文頭には来ないことがままある。
* vōtīsが手段を表す奪格であることは、第34課まで分からない(p.165)。

【逐語訳】
コリナの(Collinam)門の(portam)近くに(prope、対格支配前置詞)尊敬すべき(venerābile、第3変化形容詞中性単数主格)神殿が(templum、第2変化中性名詞単数主格)あります(Est)。
聳え立つ(celsus)エリュクスが(Eryx)神殿に(templō、templumの単数与格)その名を(nōmina、第3変化中性名詞複数対格〜なぜ複数なのか分からずにいます)課しています(impōnit)。
そして(et)そこでは(illīc、副詞。テキストの語注になく、辞典が必要です)若者たちが(juvenēs、第3変化形容詞複数主格、男女共通の形。名詞的に用いられている) 供物[を捧げること]によって(vōtīs)忘却を(oblībia、第2変化中性名詞複数対格)[神々に]要求しているのです(poscunt)。

【テキストの和訳】
コリナ門の傍に、有り難きお社があり、
お社の名は聳えるエリュクス山が与えている。
そこでは、若者もまた供物を捧げて、忘却を祈っている。


※蛇足
 初学者が、あるものからの引用である古典文に取り組む時は、文脈が分からず意味がつかめないことがしばしばあります。ですので、もし翻訳が出ているようなら、それを参照することも有用だと考えています。ただし、翻訳はラテン語がちゃんとわかっているかたの手になっているので、訳者さんの斟酌で意味重視になっているため、元の文の構造を必ずしも教えてくれません。翻訳を参照して、ああ、こういう意味なのか、をつかんだら、そこで終わりにしないで、元の文を一語一語読み込みなおす姿勢でやって行くのがいいのだろうな、と思っています。

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2018年9月 2日 (日)

【楽しく学ぶラテン語】西暦紀元〜時の奪格


還暦前の手習い。

問題は単純に、第二変化名詞の格を読み取るものなのですが、たまたま順番で廻って来たところが「年」の表現なので、ラテン語で「年」を表す話題に少しだけ突っ込み(ローマ建国紀元については触れていません)、「時の奪格」について調べました。

練習問題6-3(第二変化名詞)
Annō dominī (=A.D.)  (注:奪格は時間を表わす.)

【語彙】
・annō :annus, -ī  第2変化男性名詞「年」単数奪格~注からも奪格と判明。時の奪格→※※
・dominī :dominus, -ī 第2変化男性名詞「家父長、家父長の息子」単数属格~ただしこの句では「主=イエス・キリスト」→※

【逐語訳】
主(しゅ)の(dominī)年に(annō)

【和訳】
主の年に
(西暦紀元後)

【野次馬的な長い脱線】〜dominusの訳語の話・時の奪格の話
※ 古典ラテン語辞典(2010年第4版)で、dominusが「f. dominī 2」となっていました。fはmの誤植かと思います。(p.225)
dominusは、手持ちの日本語版辞書では「(キリスト教で言うところの唯一の)神」等の訳語はみつからず(The New College Latin and English Dictionary に (eccl)the Lord の記載はありました)、旧約聖書や新約聖書の福音書ですと「神」を表しているので、念のため『聖書のラテン語』(足立昭七郎著)を覗いて、イエス・キリストを指す言葉として使われている例を、使徒行伝(使徒言行録)にあるパウロの回心の場面に見つけました。
Ego autem respondī : Quis es, Domine?  Dixitque ad mē : Ego sum Jesūs Nazarenus, quem tū persequeris.
私は(Ego)また(autem)尋ねた(respondī)。「あなたはどなた(Quis)なのですか(es)、主よ(Domine)?」そして(-que)私(mē)に(ad)主は言われた(Dixit-)。「私は(Ego)ナザレの(Nazarenus 主格)イエス(イェスース Jesūs)、あなたが(tū)迫害している(persequeris 形式受動態動詞)者(quem)である(sum)。」(使徒行伝22-8)

※※ 以下、「時の奪格」に関連して、素朴な疑問から調べたことです。
年代の表現で、独立奪格句=絶対的奪格というのを思い出しました。
テキスト(『楽しく学ぶ・・・』)には
テキストは「第36課 独立奪格句の用法」§213(p.182)に
「ラテン語で年代を言う時には、二人の執政官の名を奪格で並べます」
の説明が現われます。
L. Pisōne A.Gabiniō consulibus
これは、L. PisōとA.Gabiniusが執政官であった時に、のように、二人の人名が主語、consulibusが述語として捉えられる文節になっていることから「絶対的奪格」と言えるのだ、と分かりました。
以上から見ると、Annō dominī は、テキストで言う独立奪格句というものとは違うことが分かりました。→*

*「時の奪格」と西暦紀元について、テキストと中山恒夫『古典ラテン語文典』を参照しました。

テキスト§193「時間的位置を言う際は裸の奪格のみです(例文1,2).」(p.164、第34課 奪格の用法」)~例文は略します。上がっている例を若干
brevī tempore(短い時間に) primā lūce(夜明けに)
multō nocte(夜おそくに)  hōc annō(今年)  等々。
テキストの例は語彙の格が奪格で揃っているので、みかけだけだと絶対的奪格っぽいですが、山下太郎先生『しっかり学ぶ初級ラテン語』に、絶対的奪格とは「奪格に置かれた名詞Aとそれを修飾する語句B(現在分詞、完了分詞、形容詞など)との組み合わせ・・・(略)・・・AとBは主語と述語の関係(P.305)とのご説明があり、上の例は語彙同士がそのような関係にはないので、絶対的奪格ではない、と理解しました。(中山『古典ラテン語文典』では、「(a)『絶対的奪格』とは、奪格の名詞・代名詞(第1要素)に奪格の分詞・名詞・形容詞(第2要素)が述語的に連結したもの」と説明されていました。p.240)

中山先生の文法書には「時の奪格」として、
「(a)本来的に時を意味する名詞は、前置詞なしで時を表す.」
のご説明がありました。(p.223)こちらも上がっている例を若干
aetāte Augustī(アウグストゥス時代に)~Augustīが属格。
patrum memoriā(祖先の時代に)~patrumが属格。

西暦紀元については、中山先生『古典ラテン語文典』付録の「暦」のところに
「(3)キリスト生誕の年を基準にする言い方を導入したのは、スキュティア系のローマ在住の修道士 Dionȳsos Exiguus(525年)であるが、のちに生誕年は前4年だったことが分かり、若干ずれている。」(p.408)
の説明があります。
中山先生のほうに例として上げられているのは
annō ante Chrīstum nātum(キリスト生誕前 AC)
annō post Chrīstum nātum(キリスト生誕後 PC)
annō dominī (主の年=西暦紀元)
の3つでした。
1、2番目の例では、anteもpostも対格支配の前置詞で、Chrīstum nātumは対格です。

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2018年8月27日 (月)

【楽しく学ぶラテン語】第1変化動詞の直説法能動態現在

第1変化動詞の直説法能動態現在


還暦前の手習い。

第1変化動詞の直接法能動態現在を日本語訳する問題です。

練習問題3-4(この問題は第1変化動詞)
Poēta narrat et meī amīcī laudant.

【第1変化動詞の人称変化の語尾~直説法能動態現在】
    単数        複数
1人称 -ō        -āmus
2人称 -ās        -ātis
3人称 -at        -ant
*3人称だけ、語尾の母音aが短くなっているのですね。気に留めておきたいと思います。

【語彙】
・poēta :poēta, -ae 第1変化男性名詞「詩人」単数主格
 *ちなみに女性詩人は poētria, -a でした。
・narrat :第1変化動詞 narrō, -āre, -āvī, -ātum 「話す、物語る」直説法能動態現在三人称単数。従って単数形の名詞「poēta」が物語をする、ととる。→※
・et :接続詞「そして」
・meī :所有形容詞(第1第2変化)meus, mae, meum 「私の」男性複数主格
   性・数は、次の名詞amīcīに一致する。
   (語順がamīcī meīと逆転してもこの一致と意味は変わらない。)
 *古典ラテン語辞典には「所有代名詞」で出ていましたが、
  テキストのこのセクション§34(p.38)により形容詞と考えました。
  →所有形容詞で良いです。
・amīcī :amīcus, -ī 第2変化名詞「友」複数主格
 *ちなみに女友達はamīcaでした。
・laudant :第1変化動詞 laudō,  -āre, -āvī, -ātum 「ほめたたえる」直説法能動態現在三人称複数。したがって複数形の名詞「amīcī」がほめたたえる、ととる。→※

【逐語訳】
詩人は(poēta)物語り(narrat)、そして(et)私の(meī)友たちは(amīcī)ほめたたえる(laudant.)。


【和訳】
詩人は物語り、そして、私の友たちは、ほめたたえる。

【Q&A】
Q.ラテン語の現在時称は英語の現在進行形のような状況も兼ねていると考えてよろしいでしょうか?

A.現在形は英文法で言う現在進行形もカバーすることがあります。そう判断すべきかどうかは、文脈によります。
Poēta narrat et meī amīcī laudant.
詩人は今narrōしている最中で、それを聞いてamīcīは今その詩人を讃えている、という情景を浮かべることは可能です。
詩人はよくnarroすることがあり、amīcīはいつもその詩人を讃えている(=詩人のファンである)という事情を述べた文ととることは可能です。
この一文だけではどちらが正しいかは不明です。両方の可能性がある、と考えておけばよいと思います。

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2018年8月22日 (水)

【楽しく学ぶラテン語】不規則動詞 possum

第1変化動詞の直説法能動態現在


還暦前の手習いでラテン語を教わっています。
初歩の理解もなかなか進みませんが、提出した答案で添削を受けたものを、文法のまとめのつもりで上げていきます(原則として自分が担当したところ)。
テキストは『独習者のための楽しく学ぶラテン語』です。
(「楽しく」なるまでが大変なテキストです!)

不規則動詞 possum を使う作文の宿題です。

練習問題2(4)作文
私はほめることが出来なかった。
【検討】
・私は:1人称~ラテン語は人称代名詞は一般的にはつけない(テキスト§§6, 11)ので、動詞を一人称にすることで表わす。

・ほめることが:第1変化動詞 laudō, -āre, -āvī, -ātum の不定法能動態現在を使う(第3課例文6参照:Docēre potes?)→Q&A

・出来:過去のかたちなので、possum, posse, potuī の直説法未完了過去時制か完了時制を使う。第3課ではpossumの未完了過去を学ぶようになっているので、未完了過去とする(いまはそれ以上考えないこととします)。1人称につき、poteram とする(変化表は下記)。
・なかった:nōn を用いる。

【作文】
Nōn poteram laudāre.

あるいは

Laudāre nōn poteram.

possumの変化表
現在 単数 複数 未完了過去 単数 複数
1人称 possum possumus 1人称 poteram poterāmus
2人称 potes potestis 2人称 poterās poterātis
3人称 potest possunt 3人称 poterat poterant

私の質問への先生のお答えを載せます。
Q: 不定法能動態現在を用いることについて
この作文では例文に照らしても laudō,は不定法能動態現在でよかろうと思うのですが、なぜ不定法完了ではないのか、をつっこんでみようとすると、テキストに説明が見当たりません(不定法は第31課)。

A:ある行為が可能かどうかについて、その時制は不定法でなくpossumの時制変化で表します。
英語の例を出すと、be able toのbeを過去にするか、現在にするか、未来にするかの選択肢はありますが、to以下を、たとえば、to have p.p.とはしないと思います。

Q: 山下太郎先生『しっかり学ぶ初級ラテン語』には、不定法の時称について、p.210に次の説明がありました。
「時称に関しては、主文の動詞と比べて「同時」なら現在時称、「以前」なら完了時称、「以後」なら未来時称が使われます。」

A:不定法の時称を変化させるケースを考えます。
ラテン語は間接話法が多いです(『しっかり学ぶ・・・』 p.270)。
伝達文が平叙文の場合、対格不定法で表します。
その際、「時称の一致」を行う必要が出てきます。
p.270 2が「同時」の例、3が「以前」の例。
(いま、私が引用します。)
Nihil malī accidisse Scīpiōnī pūtō.(キケロー『友情について』10)
・・・accidisse(起きる〜完了の不定法)が、pūtō(私が思う)より前。
「スキーピオーに何も不幸は起きなかった私は思う。」
「以後」の例として「アエネーイス」より。
(audierat)hinc populum lātē rēgem bellōque superbum
uentūrum excidiō Libyae; (1.21-22)
(語釈は略します。)
<逐語訳>
ここから(hinc)国民が(populum)広く(lātē)王として(rēgem)また(-que)戦争における(bellō)誇りあるもの(尊大なもの)として(superbum)リビュアの(Libyae)破滅をもたらすため(excidiō)現れるだろうことも(uentūrum)(女神は聞き知っていた=audierat)。
「この一族から生まれ出る民が広く世界の王となり、戦争に勝ち誇る彼らが
リビュアに破滅をもたらすことを(ユーノーは聞き知っていた)。」
audierat(直説法・能動態・過去完了)より「以後」の出来事を不定法・能動態・未来で表している例です。

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2018年8月14日 (火)

【楽しく学ぶラテン語】第二変化名詞 deus


還暦前の手習いでラテン語を教わっています。
初歩の理解もなかなか進みませんが、提出した答案で添削を受けたものを、文法のまとめのつもりで上げていきます(原則として自分が担当したところ)。
テキストは『独習者のための楽しく学ぶラテン語』です。
(「楽しく」なるまでが大変なテキストです!)

順番が回って来た練習問題は1-5で、前回の延長でしたので、そちらは省き(前回、回答を記しましたし)、問題文の中にある deus(第二変化名詞 男性)の格変化のほうに注目します。
ちなみに練習問題1-5の元の文は
Est deus in nōbis.
(オウィディウス『行事暦(祭暦)』6.5)
【逐語訳】
deus(神は) 私たちの(nōbis)うちに(in)いる(Est)。
です。
オウィディウスの原文はラテンライブラリにあるのを見つけました。
http://www.thelatinlibrary.com/ovid/ovid.fasti6.shtml
(5行目にありました。)

deusは複数の格変化にいくつもの形がある変わり種ですので、ちょうどいいかと思います。格に日本語助詞を括弧書きでくわえたのは、暗記の便宜のためです。必ずしも、訳としてふさわしいものではありません。
単数複数
主格(が)deusdeī, diī, dī
呼格(よ)deusdeī, diī, dī
属格(の)deīdeōrum, deum
与格(に)deōdeīs, diīs, dīs
対格(を)deumdeōs
奪格(から)deōdeīs, diīs, dīs

*呼格は第二変化の単数では、大多数の語尾が-eですよね。
*複数の語尾が-umなのは、普通は第三変化名詞ですよね。


で、テキスト(『独習者のための楽しく学ぶラテン語』)の例文から、deusの単数主格以外が出てくるものを拾ってみました。
逐語訳してみましたが、文法的なことは簡単に記すにとどめました。


第35課(「対格の用法」の課)4
Mīrīs modīs lūdōs faciunt hominibus.~dī:複数主格(他にdeī, diī)

驚くべき(Mīrīs>mīrusの複数奪格)方法で(>modusの複数奪格)神々は(dī)戯れを(lūdōs>lūdusの複数対格)人々に(hominibus>homōの複数与格)引き起こす(faciunt>faciō直説法能動態現在三人称複数)。


第36課(「独立奪格句の用法」の課)3
Dīs equidem auspicibus reor et Jūnōne secundā hunc cursum īliacās ventō tenuisse carīnās.dīs:複数奪格(他にdeīs, diīs)

じっさい(equidem)神々が(Dīs>deusの複数奪格)保護者となり(auspicibus>auspexの複数奪格)、そして(et)ユーノーが(Jūnōne>Jūnōの単数奪格)好意をしめしたことによって(secundā>secundaの単数奪格)、この(hunc>指示形容詞hic【男性】の単数対格)航路を(cursum>cursusの単数対格)トロイアの(īliacās>īliacaの複数対格)船は(carīnās>carinaの複数対格)順風によって(ventō>ventusの単数奪格)保てたのだと(tenuisse>teneōの不定法完了)私は思う(reor:形式受動態動詞直説法受動態現在1人称単数)

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2018年8月 5日 (日)

【楽しく学ぶラテン語】不規則動詞sumの直説法能動態現在〜未完了過去に:練習問題1


還暦前の手習いでラテン語を教わっています。
初歩の理解もなかなか進みませんが、提出した答案で添削を受けたものを、文法のまとめのつもりで上げていきます(原則として自分が担当したところ)。
テキストは『独習者のための楽しく学ぶラテン語』です。
(「楽しく」なるまでが大変なテキストです!)

練習問題の1は、不規則動詞sumの現在形を未完了過去に置き換えるものです。
(直説法能動態です。)
第2課「sum動詞の現在、未完了過去時制」の問題です(p.12)

練習問題1-1(sum動詞の現在形を未完了過去に変える)
【元の文】
Quis es tū?   ―Ego sum Gāius Licinius Flaccus.

【元の文の訳】
あなたは(tū)誰(Quis)ですか(es) ?   ―わたしは(Ego)ガーイウス・リキニウス・フラックス(Gāius Licinius Flaccus)です(sum)。
【語彙】
Quis :疑問代名詞 quis(男性), quis(女性), quid(中性) 男性単数主格「誰、何」
 ~テキスト第17課「疑問文と疑問詞」p.77に格変化の表があります。

es :不規則動詞 sum 直説法能動態現在二人称単数

tū :人称代名詞二人称単数主格「あなたは、君は」
 ~テキスト第9課「人称代名詞、・・・」p.41に格変化の表があります。

Ego :人称代名詞一人称単数主格「わたしは」
 ~テキスト第9課「人称代名詞、・・・」p.41に格変化の表があります。

sum :不規則動詞 sum 直説法能動態現在二人称単数

Gāius Licinius Flaccus :人名、ガーイウス・リキニウス・フラックス
 ~ローマ人の人名についてはテキストのコラム(p.67)があり、それによれば
  ・Gāius~praenōmen(個人名)
  ・Licinius~nōmen gentīle(氏族名)
  ・Flaccus~cognōmen(家名)

【不規則動詞sumの変化】直説法能動態
(本練習問題の章、第2章 p.13)  
(現在)単数  複数
一人称sum  sumus
二人称es   estis
三人称est    sunt

(未完了過去)単数  複数
一人称eramerāmus
二人称erāserātis
三人称eraterant

この変化表によって、es→erās、sum→eramに置き換えます。

【答え】
Quis erās tū?   ―Ego eram Gāius Licinius Flaccus.

<その他の分の答案>
2. Quis erat ille? ———Erat Mārcus, meus filius.
3. Quī erant illī? ——— Erant meī amīcī.
4. Rōmanī erātis? ——— Rōmanī erāmus.
5. Erat deus in nōbīs.

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2018年5月14日 (月)

【難しい初級ラテン語】1. 論理的条件文

外国語全然分からんけど、なにかひとつくらいは、と、おっさんになってだいぶ経ってからふと思った時、学生時代に
「ラテン語読めればイタリア・フランス・スペイン・ポルトガル・ルーマニア語も勘で読めるようになるで~」
と、某先生がおっしゃっていたのを思い出しました。
「そんなおトクなら、ラテン語やるか~!」
と、安易に飛びついたのが、2年前。
・・・学生の頃にラテン語で挫折していたのを、すっかり忘れていた私。
テキスト読もうとしても、ちょっとした問題を解こうと思っても、なんぼやってもさっぱりわからず、愕然とする日々であります。

しかしながら幸いにして、一昨年後半から、某所で大変丁寧なご指導を受けることが出来るようになり(これから綴る「読み取り方」の流儀を見れば、教えて下さっている先生については、ご推測がつくかと思います)、最近ようやく、一つの文に一週間もかければ(!)、なんとか分かるかなあ、という程度には達しました。

文を読み和訳する宿題を頂いて、提出すると添削して頂いて理解を深める方式です。

「ああ、ラテン語読みたいな、でも分からんな」
と、もし思っていらっしゃる、私と同じくらいのレベルのかたがいらっしゃるようなら、そうしたお友達と勉強の共有が出来ればと思います。
そこで、まるきり初等的な文ではなくて、読み解くのに苦労したくらいの文について、私が受けた添削の結果に基づいて、難しかったところの文法に、復習のために、やや詳しめに説明を加えたものを載せようかな、と思います。
・・・長いヨ!!!


以下は、論理的条件文の例です。

問題文の載っている『独習者のための 楽しく学ぶラテン語』(小林標著 大學書林)から、説明を引きます。

「§274 ラテン語の条件文・・・論理的条件文:『〜という条件なら〜であるはずである』という文です。」
「§280 論理的条件文では、基本的には条件節、帰結節ともに直説法が使われます。」

山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』では、p.290に分かりやすい説明と例文があります。


で、下記の練習問題(キケロ―の文)は

① 条件節~未来完了時制、帰結節~未来時制でっせ!~直説法。~法と態と時制
② 動形容詞がありまっせ!
③ 語尾が-usだけれど第2変化の中性名詞~格はなあに?
④ 文頭に一人称の人称代名詞がありまっせ!

なる読み取りポイントがありました。
まずはそれによって、文を解剖します。


『楽しく学ぶラテン語』練習問題50-4
Ego autem sī omnia quae dīcenda sunt līberē dīxerō,
nēquāquam tamen similiter ōrātiō mea exīre atque in vulgus ēmānāre poterit.
(キケロー『ロスキウス弁論演説』1.3)


① 法と時制

文の骨格を抜き出してみます。ただし帰結節はtamen以外の最初の副詞を省かずに置きます。

[条件節] sī omnia dīxerō,
[帰結節] nēquāquam similiter ōrātiō poterit.

*法と態と時制を読み取らなければならないのはdīxerōpoteritです。
 ・論理的条件文なので、直説法であろうと予測しますが、接続法のこともあります。
 ・poteritの語尾は、直説法能動態未来三人称単数でも接続法完了でも同じです。
  (小林『楽しく』p.72、p.209 山下『初級』p.158、p.256参照)
 ・そこでdīxerōを見ると、dīx-は完了の語幹、
   -erōは不規則動詞sum直説法能動態未来一人称単数です。
  これにより、dīxerōの法と態と時制は直説法能動態未来完了三人称単数と分かります。
  もし接続法完了一人称単数なら、語尾は-erimとなります。
 ・したがって、poteritの時制はdīxerōと近接が基本でしょうから、
  語尾から直説法能動態未来三人称単数と判断できます。

[条件節の語彙]
> sī :接続詞「もし~ならば」

> omnia :omnis, omne 第3変化形容詞「すべての」中性複数対格、名詞扱い。(主語の「私」がdīxerōするものの目的語)
> dīxerō :dīcō, -ere, dīxī, dictum第3変化動詞「言う」直説法能動態未来完了一人称単数「言う」~帰結節(未来時制)よりも先なので未来完了。未来完了は、「~してしまうようなら」として読んでみます。

[帰結節の語彙]
> nēquāquam :副詞「決して~でない」
> similiter :副詞「同じように」
> ōrātiō :-ōnis 第3変化女性名詞「弁舌、熱弁」単数主格、poteritの主語。
> poterit :不規則動詞 possum 「出来る」直説法能動態未来三人称単数

以上から、逐語訳は

[条件節] もし(sī)すべてを( omnia~複数対格)私が言ってしまうようなら(dīxerō),
[帰結節]決してない(nēquāquam) 同じように(similiter) 熱弁が(ōrātiō 主語)出来るだろうなど (poterit).

でよさそうです。


② 条件節の中の、動形容詞の格

条件節のなかに、関係代名詞による文がはさまれています。
sī omnia [quae dīcenda sunt ]līberē dīxerō

・はさまれた関係節を除くと、dīxerōの主語は、いまは省いたEgoです。
 それにより、omniaは目的語であることが分かります。

 > omnia :omnis, omne 第3変化形容詞「すべての」中性複数対格、名詞扱い。
 (「私」がdīxerōするものの目的語)

omniaを受ける関係代名詞quae中性であることが分かります。
中性だと、主格と対格は同じ数・形です。
いま、omnia対格ですが、関係代名詞quaeの格は関係節の中でのquaeの役割で決まります。
・[quae dīcenda sunt ]の中で、quaeは主語です。したがって、quae中性複数主格と分かります(sumの直説法能動態現在三人称複数であるsuntから)。
・動形容詞dīcendaの数、格は、quaeに一致するので、これも中性複数主格です。
 *動形容詞=未来に関わる受動分詞(『楽しく』p.202)

・条件節中の、残るlīberēは、「自由に」という意味の副詞です(不変化)。

以上から、
[条件節] sī omnia [quae dīcenda sunt] līberē dīxerō
の逐語訳は、省いたEgo autemを除くと、

もし(sī)言われるべき(dīcenda sunt)ところのものである(quae)すべてを( omnia~複数対格)自由に(līberē)私が言ってしまうようなら(dīxerō~直説法未来完了),

となるでしょう。


③ 語尾が-usだけれど第2変化の中性名詞

帰結節の中に、in vulgus の語があります。これは動詞ēmānāreの補語と読めます。
 ・名詞のvulgusは、辞書を引くと、第2変化中性名詞とあり、主格がvulgusです。
 ・教科書に出てくる第2変化名詞は、ふつう、男性主格単数の語尾が-us、中性主格単数の語尾が-umです。
  しかし、vulgusの語尾は、中性名詞でありながら、主格単数が-usです。
 ・いっぽう、vulgusにかかる前置詞inは、対格か奪格を伴うものです。
 ・そこで思い出すのは、
   中性名詞は(単数であれ複数であれ)主格と対格は同じ形
  ということです。
 ・これにより、帰結節の中にあるvulgusは、単数対格である、と判明します。

以上から、
>ēmānāre(ēmānō, -āre, -āvī, ātum 第1変化動詞「流れ出る、広がり出る」不定法現在)
と併せて、帰結節中の
 in vulgus ēmānāre
は、
大衆(vulgus)~の中へ(in)広がり出ていくこと (ēmānāre)
となると分かります。

帰結節を、省いた語を併せて意味をとります。語彙は以下のとおりです(再出もあり)。
> nēquāquam :副詞「決して~でない」

> tamen :副詞「それでもなお、しかしながら」

> similiter :副詞「同じように」

> ōrātiō :-ōnis 第3変化女性名詞「弁舌、熱弁」単数主格、poteritの主語。

> mea :所有形容詞1人称 meus, -a, -um 「私の」女性単数主格

> exire :exeō, exīre, -iī, -itum 不規則動詞「外に出る、発する」不定法現在

> atque :接続詞「そして、また、なおかつ」~exīreとēmānāreをつなぎます。

> in :対格支配前置詞「~へ」

> vulgus :vulgī 第2変化中性名詞「民衆、大衆」単数対格

> ēmānāre :ēmānō, -āre, -āvī, ātum 第1変化動詞「流れ出る、広がり出る」不定法現在

> poterit :不規則動詞 possum 「出来る」直説法能動態未来三人称単数

以下は、私の出した答案を、先生が逐語訳に仕立て直して下さったもの。[]は、①の骨組みにはなかったもの。

[しかし(tamen)]
決して(nēquāquam)同じようには(similiter)、
[私の(mea)]
熱弁は(ōrātiō
[表に出ることも(exīre)]、
[さらには(atque)]
[大衆(vulgus)]
[のほうへ(in)]
[広まっていくことも(ēmānāre)、]
出来(poterit)ないだろう

これで、帰結節は読めました。


④ 文頭に一人称の人称代名詞

ラテン語は動詞の語尾で人称が分かるため、ふつうは人称代名詞がでてこない、とは、どなたもご存じのことでしょう。
この文は、頭にEgoが出てきます。
> ego :人称代名詞「私」主格(一人称単数)。人称代名詞は強調のときに現われるので「この私が」と訳してみます。

また、続くautemも、ここまでは省いて読んでいました。
> autem :接続詞「それに反し、しかしまた、なおかつ」

これを加味して、条件節も読めたことになります。

以下も、先生が逐語訳に仕立て直して下さったもの。
この私が(Ego)、
このうえ(autem)
もし()、
言われるべき(dīcenda)
である(sunt)所の(quae)
すべてを(omnia
自由に(līberē)
言ってしまう(dīxerō)ようなら

・・・これで、全体が読めました。


> この私が、このうえもし、言われるべきであることのすべてを自由に言ってしまうようなら、しかし決して同じようには、私の熱弁は表に出ることも、さらには大衆のほうへ広まっていくことも、出来ないだろう。


以下、ご指導。
「訳された通りです。autemは「しかし」でよいかもしれません(一般的にその使い方が多い)。
実際には前後の文脈を考慮して、個々の単語の訳語をさらに考えていく必要が出てきますが、こうして抜き出した一文を訳す場合、この直訳がひとつの到達点となります。」

・・・ふぅ。。。

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2017年10月15日 (日)

【ラテン語】Disticha Catonis(D)(ど素人古典答案)

カトーの二行詩の続きです。
あいかわらず韻律はあてずっぽうですみません。
お気付きになったことはどうぞご指摘下さい。


Disticha Catonis(D)(『ラテン詩への誘い』p.34)

1. Irātus dē rē incertā contendere nōlī :
    impedit īra animum, nē possīs cernere verum. (2.4)

【語彙】
irātus :-a, -um 第1第2変化形容詞「怒った、腹を立てた」男性単数主格
dē :前置詞(奪格支配)
rē :rēs, reī 第5変化女性名詞「こと、もの」単数奪格
incertā :incert-us, -a, -um 第1第2変化形容詞「不確かな」女性奪格
contendere :contendō, -ere, -ī, contentum 第3変化動詞「主張する、争う」不定法能動態現在
nōlī : nōlō, nōlle, nōluī 不規則動詞「欲しない」命令法能動態現在二人称単数
impedit :impediō, -īre, -īvī, -itum 第4変化動詞「妨げる、混乱させる」直接法能動態現在三人称単数
īra :-ae 第1変化女性名詞「怒り」単数主格
animum :animus, -ī 第2変化男性名詞「精神、心」単数対格
nē :副詞「決して〜でない」
possīs :不規則動詞possum 接続法能動態現在二人称単数
cernere :cernō, -ere, crēvī, crētum 第3変化動詞「区別する、識別する、はっきりと見分ける」不定法能動態現在
verum :第2変化中性名詞「真実、真理」単数対格

【和訳】
不確かなことを腹を立てて言い立ててはなりません。
怒りは心を乱し、あなたが真理を見分けることを不可能にします。

【韻律】
I-rā-tus dē rē in-cer-tā con-ten-de-re nō-lī :
-  - | -    -  | -  v  v  | -    -   | -     v   v| -  -

im-pe-dit ī-ra a-ni-mum, nē pos-sīs cer-ne-re vē-rum.
-    -  | - - | -  v v |  -     -   |  -    -   | -    v  v  | -   -


2. [Quod nimium est] fugitō, parvō gaudēre mementō :
    tūta mage est puppis modicō quae flūmine fertur. (2.6)

【語彙】
quod :関係代名詞中性単数対格
nimium :nimius, -a, -um 第1第2変化形容詞「法外の、過度な」中性単数対格
est :不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
fugitō :fugiō, -ere, -ī, -itūrus 第3B変化動詞「逃げる、のがれる、しりぞける」命令法能動態未来二人称単数
parvō :parus, -a, -um 第1第2変化形容詞「小さい、ちっぽけな、価値の低い」中性単数与格
gaudere :gaudeō, -ēre, gāvīsus sum 第2変化動詞(s.dep) 「満足する」不定法能動態現在
mementō :meminī, meminisse 不完全動詞「覚えている、忘れていない」命令法能動態未来二人称単数
tūta :tūtus, -a, -um 第1第2変化形容詞「安全な」女性単数主格→puppis
mage:magis 副詞「いっそう大きく、すぐれて」
est :不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
puppis :-is 第3変化女性名詞「小舟、船」単数主格
modicō :modicus, -a -um 第1第2変化形容詞「ほどよい」中性単数奪格→flūmine
quae :関係代名詞女性単数主格
flūmine :flūmen, -inis 第3変化中性名詞「川(の流れ)」単数奪格(手段)
fertur :ferō, ferre, tulī, lātum 不規則動詞「運ぶ」直接法受動態現在三人称単数

【和訳】
度を越すものは避けなさい。ちっぽけなものに満足するのを忘れぬように。
ほどよい流れで運ばれる小舟は、いっそう安全なのです。

【韻律】
Quod ni-mi-um est fu-gi-tō, par-vō gau-dē-re me-men-tō :
   -     v   v |  -        v  v | -    -   | -    -   | -   v  v  |  -     -

tū-ta ma-ge est pup-pis mo-di-cō quae flū-mi-ne fer-tur. ←テキストにより補正
-   v   v |   -       -    |  -    v  v |  -   -     | -   v  v  | -    -      


3. Nōlō putēs prāvōs hominēs peccāta lucrārī :
    temporibus peccāta latent, et tempore pārent. (2.8)

【語彙】
nōlō :不規則動詞「望まない、思わない」
(この間にutが略されている由〜テキスト)
putēs :putō, -āre, -āvī, -¯tum 第1変化動詞「思う」接続法能動態現在二人称単数
prāvōs :-a, -um 第1第2変化形容詞「歪んだ」男性複数対格
hominēs :homō, hominis 第3変化男性名詞「人間、人」複数対格
peccāta :peccātum, -ī 第2変化中性名詞「誤り、悪行、不品行」複数対格
lucrārī :lucror, -ārī, -ātus sum デポネント動詞「手に入れる、得る」不定法現在
temporibus :tempus, -oris 第3変化中性名詞「時、期間」複数奪格(手段)
peccata:peccātum, -ī 第2変化中性名詞「誤り、悪行、不品行」複数主格
latent:lateō, -ēre, -uī,  第2変化動詞「かくれている」直説法能動態現在三人称複数
et :接続詞「そして」
tempore :tempus, -oris 第3変化中性名詞「時」単数奪格
pārent :pāreō, -ēre, -uī, -itum 第2変化動詞「現れる」直説法能動態現在三人称複数

【和訳】
歪んだ人々が悪行で利益を得ると思ったりしないように。
悪行はいっとき隠れていて、時期がくれば明らかになるのです。

【韻律】
Nō-lō pu-tēs prā-vōs ho-mi-nēs pec-cā-ta lu-crā-rī :
-   -v  v  |  -   -  |  -    v  v   | -    -     | -   v  v | -   -  ←テキストにより補正

tem-po-ri-bus pec-cā-ta la-tent, et tem-po-re pā-rent.
  -     v  v| -     -    | -   v  v |  -    -  | -     v   v | -    -


4. Quid deus intendat, nōlī perquirere sorte :
    quid statuat dē tē, sine tē deliberat ille. (2.12)

【語彙】
quid :疑問の副詞〜間接疑問文を示す(テキストによる)
deus :deī 第2変化男性名詞「神」単数主格
intendat :intendō, -ere, -ī, -tum 第3変化動詞「意図する」接続法能動態現在三人称単数
nōlī :nōlō, nōlle, nōluī, - 不規則動詞「欲しない、望まない、拒む」命令法現在二人称単数
perquirere :perquirō, —ere, -sīvī, -stium 第3変化動詞「問いただす」不定法現在
sorte : sors, -tis 第3変化女性名詞「くじ、おみくじ」単数奪格
quid :疑問の副詞~間接疑問文を示す(テキストによる)
statuat :statuō, -ere, -ī, atatūtum 第3変化動詞「定める」接続法能動態現在三人称単数
dē :奪格支配前置詞「〜について」
tē :二人称人称代名詞 tū 単数奪格
sine :奪格支配前置詞「〜なしに」
tē :二人称人称代名詞 tū 単数奪格
deliberat :delīberō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「熟考する、吟味する」直説法能動態現在三人称単数
ille :指示代名詞「あれ」単数主格

【和訳】
神がどう意図しているのか、と、籤で問いただそうとしてはなりません。
あなたをどうするか、を、神はあなたなしで吟味しているのです。

【韻律】
Quid de-us in-ten-dat, nō-lī per-qui-re-re sor-te :
   -     v   v |-   -   |  -    - | -  -   |  -    v  v | -   v ^

quid sta-tu-at dē tē, si-ne tē de-li-ber-at il-le.
  -     v   v  | -   -  | -   v v  | -  v  v | -  -   | -  -   ←違っている気がする。


5. Luxuriam fugitō, simul et vītāre mementō
   crīmen avāritiae : nam sunt contrāria fāmae. (2.19)

【語彙】
luxuriam :luxuria, -ae 第1変化女性名詞「贅沢」単数対格
fugitō :fugiō, -ere, -ī, -itūrus 第3B変化動詞「逃げる、のがれる、しりぞける」命令法能動態未来二人称単数
simul :副詞「その上に、同時に」
et :接続詞「そして」
vītāre :vītō, -āre, -ātum 第1変化動詞「避ける」不定法現在
memento :meminī, meminisse 不完全動詞「覚えている、忘れていない」命令法能動態未来二人称単数
crīmen :-inis 第3変化中性名詞「罪」単数対格
avāritiae :avāritia, -ae, 第1変化名詞「けち」単数属格
nam :副詞「たしかに、じっさい」
sunt :不規則動詞 sum 直説法能動態三人称複数
contrāria :contrārius, -a, -um 第1第2変化形容詞「対立している、向き合っている、有害な」女性単数主格→fāmae
fāmae :fāma, -ae 第1変化名詞「名声、評判」単数属格

【和訳】
贅沢から逃れなさい、そして同時に忘れず避けなさい、
けちであることの罪を。じっさいそれらは評判に有害なのですから。

【韻律】
Lux-u-ri-am fu-gi-tō, si-mul et vī-tā-re me-men-tō
  -   v  v|  -   v  v | -   - | -     v  v| -   v   v  | -     - 

crī-men a-vā-ri-ti-ae : nam sunt cont-rā-ri-a fā-mae.
  -   v     v|-    v v| -    -     |  -       -   | -  v v | -   -

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2017年10月 9日 (月)

【ラテン語】Disticha CatonisからC(ど素人古典答案)

テキストではGまであります。この二行詩集については、そこまで勉強しておきたいと思いますが・・・
あいかわらず、とくに韻律はテキトーですみません。
ご教示おまちしております。


Disticha Catonis(C)(『ラテン詩への誘い』p.34)

1. Nē tibi quid dēsit, quod quaesistī, ūtere parce ;
    utque, quod est, servēs, semper tibi dēsse putātō. (1.24)

【語彙】
nē :副詞「決して・・・でない」
tibi :二人称人称代名詞tūの与格。iは長音でも単音でも良い。
quid :副詞「なぜ、どうして」〜不定代名詞の由(テキストによる)
desit :dēsum, dēesse, -fuī 不完全動詞「欠けている、不足する」接続法受動態完了二人称単数
quod :関係代名詞中性単数対格
quaesistī :不完全動詞「得ようとする」直説法能動態完了二人称単数
ūtere :ūtor, ūtī, ūsus sum 形式受動態動詞「使う」命令法受動態現在二人称単数
parce ; 副詞「節約して、控えめに」
utque :ut「〜するように」+que「(接続詞)そして」
quod :関係代名詞中性単数主格
est :不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
servēs :servō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「見守る、注意する」
semper :副詞「いつも、常に」
tibi :二人称人称代名詞tūの与格。iは長音でも単音でも良い。
dē(e)sse :dēsum, dēesse, -fuī 不完全動詞「欠けている、不足する」不定法能動態現在
putātō :putō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「きれいにする、思う」命令法能動態未来二人称単数

【和訳】
あなたに何かが欠けることのないよう、得てしまっているものを節約して使いなさい。
そしてそれが、常にあなたには欠けているのだと注意して、念頭に置いているようになさい。

【韻律】
Nē ti-bi quid dē-sit, quod quae-sis-tī, ū-te-re par-ce ;
  -   v v |  -    -  | -      v       v   | -    - | -    v v  | -   -

ut-que, quod est, ser-vēs, sem-per ti-bi dēs-se pu-tā-tō.
  -  v       v    | -    -   |  -      -   | -    v v | -     v   v | -   - ←テキストによる


2. Quod dare nōn possīs, verbīs prōmittere nōlī,
    nē sis ventōsus, dum vir bonus esse vidēris. (1.25)

【語彙】
quod :関係代名詞中性単数対格
dare :dō, dǎre, dedī, dătum 不規則動詞「与える」不定法現在
nōn :副詞「・・・でない」
possīs :possum, posse, potuī 不規則動詞「できる」接続法能動態現在二人称単数
verbīs :verbum, -ī 第2変化中性名詞「言葉」複数奪格(手段)
prōmittere :prōmittō, -ere, -īsī -issum 第3変化動詞「約束する、請け合う」不定法現在
nōlī :nōlō, nōlle, nōluī, - 不規則動詞「欲しない、望まない、拒む」命令法現在二人称単数
nē :副詞「〜するな」
sis :不規則動詞 sum 接続法(能動態)現在二人称単数〜否定命令文の接続法現在は禁止をあらわす。
ventōsus :-a, -um 第1第2変化形容詞「風のように変わりやすい、移り気な、不安定な」男性単数主格
dum :接続詞「〜している間に」
vir :-ī 第2変化男性名詞「男、人」単数主格
bonus :-a, -um 第1第2変化形容詞「よい、善良な」男性単数主格
esse :不規則動詞 sum 不定法現在
vidēris :videō, vīdī, vīsum 第2変化動詞「見る」直説法受動態現在二人称単数

【和訳】
与え得ないことを、言葉で約束してはなりません。
風のように変わりやすくあってはなりません、善良な人だと見られているうちには。

【韻律】
Quod da-re nōn pos-sīs, ver-bīs prō-mit-te-re nō-lī,
    -     v   v |  -   -    |  -    -  |  -    -   | -    v  v | -  -

nē sis ven-tō-sus, dum vir bo-nus es-se vi-dē-ris.
-    - |  -    -  | -     -     | -   v   v   | -   v  v | -  v ^ ←テキストによる


3. [Quī simulat verbīs nec corde] est fīdus amīcus,
    tū quoque fac simulēs : sic ars deluditur arte. (1.26)

【語彙】
quī :関係代名詞男性単数主格
simulat :simulō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「似せる、見せかける、装う、いつわる」直説法能動態現在三人称単数
verbīs :verbum, -ī 第2変化中性名詞「言葉」複数奪格(手段)
nec :副詞「そして〜でない」
corde :cor, cordis 第3変化中性名詞「心、精神」単数奪格
est :不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
fīdus :-a, -um 第1第2変化形容詞「正直な、いつわりのない、信頼できる」男性単数主格
amīcus :-ī 第2変化男性名詞「友」単数主格
tū :二人称単数の人称代名詞主格
quoque :副詞「〜もまた」
fac :faciō, -ere, fēcī, factum 第3B変化動詞「作る、生じさせる、なす」命令法能動態現在二人称単数
(simulēsとのあいだにut「〜するように」が省かれている〜テキストによる。)
simulēs :simulō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「似せる、見せかける、装う、いつわる」接続法能動態現在二人称単数〜動詞単独で副文になっている。要求や忠告の接続法、名詞的目的文
sic :副詞「そういうわけで、たいそう」
ars :artis 第3変化女性名詞「技術、たくらみ、ごまかし」単数主格
deluditur :delūdō, -lūdere, -lūsī, -lūsum 第3変化動詞「あざむく」直説法受動態現在三人称単数
arte :第3変化女性名詞「技術」単数奪格(手段)

【和訳】
言葉でいつわっても心でいつわらない人が、信頼できる友です。
あなたもまた、いつわるようになさい。かようにごまかしはごまかしによってあざむかれるのです。

【韻律】
Quī si-mu-lat ver-bīs nec cor-de est fī-dus a-mī-cus,
  -    v  v  | -   -  |  -    -  |  -    v    v  | -  v    v | -   -

tū quo-que fac si-mu-lēs : sic ars de-lu-di-tur ar-te.
-    v     v  | -    v   v | -     -   | -    -  | -  v   v  | - v^


4. Quod vīle est, cārum, quod cārum, vīle putātō :
    sic tū nec cupidus nec avārus nosceris ūllī. (1.29)

【語彙】
quod :関係代名詞中性単数主格
vīle :vīlis, vīle 第3変化形容詞(見出し二種類タイプ)「安い、廉価の」中性単数主格
est:不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
cārum :cārus, -a, -um 第1第2変化形容詞「高価な」中性単数主格
quod :関係代名詞中性単数主格
putātō : putō, -āre, -āvī, -ātum 第1変化動詞「きれいにする、思う」命令法能動態未来二人称単数(韻のための語形の由。本来はputā)
sic :副詞「そういうわけで、たいそう」
tū :二人称単数の人称代名詞主格
nec〜nec:「〜もなければ〜もない、〜もせず〜もしない」
cupidus :-a, -um 第1第2変化形容詞「貪欲な」男性単数主格
avārus :-a, -um 第1第2変化形容詞「けちな」
nosceris :noscō, -ere, nōvī, nōtum 第3変化動詞「分かる、認める」直説法受動態現在二人称単数男性単数主格
ūllī :ūllus, -a -um 代名詞的形容詞「いかなる人も」男性単数与格

【和訳】
廉価なものを高価だと、高価なものを廉価だと思うようになさい。
そうすればあなたは誰からも、貪欲だともケチだとも認識されないのです。

【韻律】
Quod vī-le est, cā-rum, quod cā-rum, vī-le pu-tā-tō :
   -     - |  -        -  |   -      -    | -   -     |  -  v v  | -  - ←テキストによる

sic tū nec cu-pi-dus nec a-vā-rus nos-ce-ris ūl-lī.
  -  -  |  -     v  v | -     v   v| -   -   |  -    v  v  | -  -


5. Linque metum lētī ; nam stultum est tempore in omnī,
    dum mortem metuās, āmittere gaudiam vītae. (2.3)

【語彙】
linque :linquō, -ere, uī, - 第3変化動詞「捨てる」命令法能動態現在二人称単数
metum :metus, metūs 第4変化男性名詞「恐れ」単数対格
lētī :lētum, -ī 第2変化中性名詞「死」単数属格
nam :副詞「じっさい、なぜなら」
stultum :stultus, -a, -um 第1第2変化形容詞「愚かな」中性単数主格
est :不規則動詞 sum 直説法能動態現在三人称単数
tempore :tempus, -oris 第3変化中性名詞「時間」単数奪格
in :奪格支配前置詞「〜において」
omnī :omnis, omne 第3変化形容詞「すべての」中性単数奪格
dum :接続詞「~している間に」
mortem :mors, -tis 第3変化女性名詞「死」単数対格
metuās :metuō, -ere, -ī, -metūtum 第3変化動詞「恐れる」接続法能動態現在二人称単数
āmittere :āmittō, āmittere, āmīsī, āmissum 第3変化動詞「失う」不定法現在
gaudiam :〜gaudium? 喜び 単数対格
vītae :vīta, -ae 第1変化女性名詞「生命、生涯」単数属格

【和訳】
死への恐れを捨てなさい。なぜなら あなたが死を恐れているうちに
すべての時間から(=いつも)生きる喜びを失っているのは、愚かなことだから。

【韻律】
Lin-que me-tum lē-tī ; nam stul-tum est tem-po-re in om-nī,
-      v     v |  -    - | -    -   |  -     -          | -   v  v       | -   -   ←テキストによる   

dum mor-tem me-tu-ās, ā-mit-te-re gau-di-am vī-tae.
  -      -   |  -     v   v | -   - | -    v  v  | -    v   v  | -   -

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