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2017年6月 7日 (水)

【漢文】列子天端1(ど素人古典答案)

書き下し文を作ることを課題にやってみます。そこからさらに現代日本語に訳することはしません(内容からみて複雑怪奇になるため!)。
文の形を眺めて、そのかたまりごとに行分けしてみました。分かりやすくなるからです。
返り点は縦書きで来るべき位置に、小さな赤い字で入れてみました。間違いはぜひご指摘・ご教示下さい。


01.子列子居鄭圃,四十年人无識者。國君卿大夫眎之,猶眾庶也。
02.國不足,將於衛
03.弟子曰:
「先生往无反期,弟子敢有謁;先生將何以教?先生不壺丘子林之言乎?」
04.子列子笑曰:
「壺子何言哉?雖然,夫子嘗語伯昏瞀人,吾側聞之,試以告女。其言曰:
05.有生不生,
06.有化不化。
07.不生者能生生,
08.不化者能化化。
09.生者不生,
10.化者不化,
11.故常生常化。
12.常生常化者,无生,无化。
13.陰陽爾,四時爾,
14.不生者疑獨,
15.不化者往復。
16.往復,其際不終;
17.疑獨,其道不窮。
18.《黃帝書》曰:
19.「谷神不死,
20. 是謂玄牝
21. 玄牝之門
22. 是謂天地之根
23. 綿綿若存,
24. 用之不勤。」
25.故生物者不生,化物者不化。
26.自生自化,
27.自形自色,
28.自智自力,
29.自消自息。
30.謂生化、形色、智力、消息者,非也。」


【読み下し文】

我流で書き下し文(訓読文)を作り、岩波文庫版の書き下し文と対照し、結果的に岩波文庫での書き下し文となりました(元のままが良かったかも・・・)。
書き下し文は現代仮名遣いで、が慣行ですので、あえてわざと古典仮名遣いにしてみました。ここにも間違いがあるかもしれませんのでご指摘おまちしております。
対照の結果直したところには(岩波文庫での書き下し相当部分に)紫色を付けてあります。

01.子列子 鄭圃に居ること四十年、人 識る者なし。国君 卿大夫の 之を眎(み)ること、なほ衆庶(もろびと)のごとし。
02.国足らず、まさに衛に嫁(ゆ)かんとす。
03.弟子曰く、「先生ゆかば反(かへ)る期なからん。弟子敢て謁(と)ふ所あり。先生まさに何を以てか教えんとする。先生 壺丘子林の言を聞かざりしか。」
04.子列子 笑ひて曰く
「壺子 何をか言はんや。然りといへども、夫子 かつて伯昏瞀人に語り語[つ]ぐ、吾 側(かたはら)にて之を聞けり。試しに以て女(なんじ)に告げん。其の言に曰く
05.生あり生ぜず,〜生ずるものと生ぜざるものあり
06.化あり化せず。〜化するものと化せざるものあり
07.生ぜざるものはよく生ずるものを生じ,

08.化せざるものはよく化するものを化す。

09.生ずるものは生ぜざるあたわず,

10.化するものは化せざるあたわず,
11.故に常に生じ常に化す。
12.常に生じ常に化するものは,時として生ぜざるは无く,時として化せざるは无し。

13.陰陽しかり,四時しかり,

14.生ぜざるものは疑獨し,

15.化せざるものは往復す。

16.往復するものは,其の際 つくすべからず;

17.疑獨するものは,其の道窮むべからず。

18.《黃帝の書》に曰く:

19.『谷神は死せず,

20. 是れ玄牝と謂ふ。

21. 玄牝の門,

22. 是れを天地の根と謂ふ。

23. 綿綿と存するがごとし,〜綿綿若として存し

24. これを用ふれども勤(つ)きず』と。

25.故に物を生ずるものは生ぜず,物を化するものは化せず。

26.自づから生じ自づから化す,

27.自づから形自づから色,

28.自づから智あり自づから力あり,

29.自づから消(へ)り自づから息(ま)す。

30.これを生化形色智力消息と謂ひなすは,非なり。」


【語彙】
鄭圃:鄭は周の時代の国名、圃は菜園・畑。鄭圃は現・河南省の圃田の古い地名。
國君:(使用漢和辞典になし。ここでは鄭の国主。)君=諸侯。
卿大夫:天子・諸侯の臣下で最高位の、国政を司る者。けいたいふ。
眎:=視の古字。
眾庶:眾=衆。衆庶(使用漢和辞典になし)一般の人民。並の人。諸人。
国不足:(岩波文庫の註から)鄭の国が飢饉になって。
衛:周の時代の国名。
壺丘子林:人名。『列子』中に数度登場とのこと。
伯昏瞀人:人名。『列子』中に数度登場とのこと。
爾:しかり=そのとおり。のみ=それだけ(限定する意味)〜『漢文法基礎』p.221参照
疑独:(使用漢和辞典になし)疑=なぞらえる? 独=ひとり 唯一絶対のもの(新書漢文体系)
往復:行きと返り。往ってはまた復(かえ)る〜岩波文庫註p.234参照
際:さかい。かぎり(岩波文庫の訳から)。
道:すじみち。ありかた(岩波文庫の訳から)。
窮:つきつめる。
黃帝:古代中国の伝説の王。文化の創始者とされる。天の中央の神。
谷神:谷の中の空虚の所。奥深い道理(『老子』での用例とのこと)。
玄牝:げんぴん 万物を産み出す道。雌牛が子を産むことを譬えにつかっている。
天地之根:天地=あめつち。世の中。世界。根=はじめ。よりどころ。
生化:(熟語としては使用辞典にない)生〜文脈からは生成することだろう。化(か)=自然の移り変わりの原理、自然が万物を育成する力。
形色:(熟語として)かたち、ようす。形=すがた。ありさま。色=ようす。形にあらわれたいっさいのもの。
智力:(熟語としては使用辞典にない)智=ちえ。力=はたらき。いきおい。作用。
消息:消えることと生じること。


*列子の素性については書籍には説明があるものの、日本語サイトにはあまり記載がありませんで、中国語サイトで見つけました。中国語は分かりませんし、いまの用字なので読めないところがありますが、読める漢字をたどるだけで概ね分かることには驚きました。・・・こいつを書き下してみようかしらん?(笑)
http://baike.baidu.com/item/%E5%88%97%E5%AD%90/190377

テキストは「中國哲學書電子化計劃」サイトによりました。
http://ctext.org/liezi/zh
日本の書籍にはない区切りの入れ方で文が理解しやすくなっていました。

他に参照したテキストは次の二つですが、主に岩波文庫によりました。
・岩波文庫『列子』上(小林勝人 訳注)33-209-1
・新書漢文体系24『列子』(小林信明著 西林真紀子編 明治書院 平成16年)
後者には書き下し文しか載っていません。書き下し文は二著間で異なるところがあります。
語彙は『新選漢和辞典』で調べることを基本としたうえで、この二書の註により意味を記しました。

漢文の参考書は、加地伸行『漢文法基礎』(講談社学術文庫 2010年)です。
いい本だと思います。感想など別途。

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コメント

学校教育では、書き下し文は歴史的仮名遣いなのですね。教えて頂いて知りました。『漢文法基礎』の86ページあたりから、書き下し文の説明があります。

投稿: ken | 2017年6月 8日 (木) 07時55分

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