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2017年6月17日 (土)

【古文】『古本説話集』上 三三 貧女盂蘭盆歌事(ど素人古典答案)

例によって、間違いをお見つけの際はご指導下さい!


今は昔、七月十五日、いみじう貧しかりける女の、親のためのことをえせで、薄色の衣(きぬ)の表を解きて、ほときに入れて、蓮(はす)の葉を上に覆(をを)いて、愛宕(おたぎ)に持て行きて、拝みて去りにけるを、人の寄りて見ければ、蓮の葉に書きつけける、

  たてまつる蓮(はちす)の上の露ばかりこころざしをもみよの仏に


【現代語訳】
もう昔のことだけれど、寺々で盂蘭盆会がある旧暦七月十五日に、ひどく貧乏な女が、親の供養も出来なくて、薄紫の衣装の表地を解いて、素焼きの皿に入れて、蓮の葉をその上の覆いにして、愛宕寺に持って行って、拝んでいなくなったのを、人がその置いて行った皿に近づいて見たところ、蓮の葉に書いてあったそうだ。

  蓮の葉の上におく露ぐらいしかたてまつれませんが
  三世の仏様、どうぞ、私のまごころをご覧下さい


【語彙】
七月十五日:旧暦で、寺々で盂蘭盆会の行なわれる日(『平安時代儀式年中行事事典』による)
いみじう:形容詞シク活用 優劣ともに程度がはなはだしいさま 連用形
貧しかり:形容詞シク活用 連用形
ける:助動詞ラ変型 「けり」 過去の事柄(伝聞が多い)の回想など。連体形
の:格助詞 従属節(「去りにける」まで)中の主語を表す
親のためのこと:死んだ親の供養
え:副詞 下の打消の表現と呼応して、不可能の意を表す
せ:他動詞サ変「す」 ある動作を行なう、ある行為をする。未然形
で:接助詞 打消の助動詞「ず」の連用形に接助詞「て」が付いたものの変形
薄色:薄紫
衣(きぬ):衣服、着物
表:表面、表面を覆うもの
解き:他動詞カ行四段活用「とく」(むすびめなどを)ほどく 連用形
て:接助詞 「・・・したうえで」「・・・て、それから」
ほとき:湯水を入れる素焼きの土器。また平らな皿状の土器。(本文脚注)
愛宕(おたぎ):六道珍皇寺(愛宕寺[オタキテラ])。盂蘭盆会には精霊迎えで賑わう。(本文脚注)
去り-に:自動詞ラ行四段活用「去る」(いなくなる)連用形+完了の助動詞「ぬ」連用形
ける:(前出)助動詞ラ変型 「けり」 過去の事柄(伝聞が多い)の回想など。連体形
を:格助詞 
寄り:自動詞ラ行四段活用「寄る」 近づく 連用形
て:(前出)接助詞 「・・・したうえで」「・・・て、それから」
けれ:助動詞ラ変型 「けり」 過去の事柄(伝聞が多い)の回想など。已然形
ば:接助詞 活用語の已然形に付く。順接の条件、並列を表わす。
書きつけ:他動詞カ行下二段活用 連用形 
ける:(前出)助動詞ラ変型 「けり」 過去の事柄(伝聞が多い)の回想など。連体形
たてまつる:他動詞下二段活用 
ばかり:副助詞 程度を表す。中古以後〜限定を表す ・・・に過ぎない ・・・だけ。
こころざし:誠意。(感謝の意を表すための)贈り物。お礼。故人の追善供養(近世?)。
も:格助詞 列挙・添加、希望する最低の程度「せめて・・・だけでも」
みよ:「見よ」に「三世(さんぜ)」を懸ける


【テキスト】新日本古典文学大系42
【辞典】佐藤謙三・山田俊雄編『角川最新古語辞典』1995年増補版60版

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