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2016年7月10日 (日)

「アルルの女」組曲とストーリー

訳書(岩波文庫 1958年改版 1987年第3刷)の具体的ページとの対照をしましたが、それではさっぱり分かりませんので、2つの組曲の各曲(関連する劇音楽【のみ】を含む)と劇の筋書きとの関係を記しておきます。
前回は9日の練習前に、とアワを食って記しましたので、その際拾い落としたことについても、気付いた限り補います。

組曲の各曲を劇中に配置されている順番について、ざっとまとめると、
第1幕・・・・・・第1組曲第1曲
第2幕第1場・・・第2組曲第1曲
第2幕第2場・・・第2組曲第2曲
【間奏曲】・・・・第1組曲第2曲
第3幕第1場1・・第1組曲第4曲
第3幕第1場2・・第1組曲第3曲
第3幕第2場・・・第2組曲第4曲
となります。
よく知られている通り、第2組曲第3曲のメヌエットは、劇音楽「アルルの女」には含まれていません。

序曲〜第1組曲第1曲(前奏曲〜劇音楽第1曲)
   王様の行進(第3幕で歌われる)
   中間部(サキソフォンの旋律=劇中「ばか」が治っていくジャンのモチーフ)
   最終部へのつなぎ(木管とハープ〜純粋な愛のモチーフ、とでも言うべきもの?)
   最終部(アルルの女に焦がれるフレデリによって起こされる悲劇の象徴のモチーフ)

第1幕
第1景
フランセが下僕のバルタザールに、愛孫フレデリの婚儀が整いそうな旨を嬉しそうに話す。
その傍で、フレデリの弟で幼児の知能のままのジャンが、おとぎ話をバルタザールにせがむ。
(劇音楽第2曲〜ジャンのモチーフ)
三ヶ月前にアルルの女に一目惚れしたフレデリは、母ローズの骨折りで彼女との縁談がうまくまとまりそうになっていた。が、フランセから話を聞いたバルタザールは、せっかちに縁談が進むことに危機感を持つ。
第2景
フランセの去った後、バルタザールは、女手ひとつで子どもを育ててきたローズも、その父フランセも、フレデリばかりを溺愛して、知能の幼いままのジャンをかえりみないことを嘆く。
ジャンはバルタザールにおとぎ話の続きをなおもせがむ。
(劇音楽第3曲~ジャンのモチーフ:劇中ここで語られるおとぎ話は、作者ドーデが『風車小屋便り』の中で書いた「スガンさんのヤギ」です。『風車小屋便り』には戯曲「アルルの女」の元となったお話も書かれています。)
第3景
そこへ、村娘ヴィヴェットがやってくる。
(劇音楽第4曲〜純粋な愛のモチーフ)
バルタザールが昔恋したルノーばあさんの面倒を日頃みているヴィヴェットは、じつはフレデリに恋していることをジャンにばらされる。
第4景
ヴィヴェットは、そこにやってきたローズの話から、密かに恋していたフレデリに結婚話が進んでいることを知る。
第5景〜第7景
婚儀の整う見込みがいよいよ立ち、フレデリが満面の笑みで帰ってくる。
第8景〜第10景
皆が前祝いで盛り上がろうとする矢先、ある男がやってきてフランセと密かに面会、フレデリと結婚しつつあるアルルの女が、実は自分の愛人であることを告げて、証拠の手紙をフランセに渡して去る。
第11景
戻ってきたフランセに証拠の手紙を見せられたフレデリの失意で幕が下りる。
(劇音楽第6曲、悲劇の象徴のモチーフ)

第2幕
第1場
第1景幕開け〜第2組曲第1曲(パストラル、ただし幕が開いてのちに聞こえる中間部は合唱、最初の部分に戻らない)・・・劇音楽第7曲にあたる。
第1景〜第3景
ローズとヴィヴェットは、未の牧草を刈るため蘆の繁みにいるはずのフレデリを探すが見つからない。その間、ローズはヴィヴェットにフレデリとうまく恋仲になってくれるように、とけしかける。
二人と入れ替わりにバルタザールがジャンを連れてきたところへ、・・・(劇音楽第9曲・・・ジャンのモチーフの切片【前回触れませんでした】)
第4景
うるさい女たちを避けていたフレデリが姿をあらわす。
(劇音楽第10曲、悲劇の象徴のモチーフ)
バルタザールは、いっそ死にたいと思っているというフレデリに、自分の長い片恋の物語を聞かせる。(ここのバルタザールの恋語りも、『風車小屋便り』中の「星」を用いたものです。)
(劇音楽第11曲、第2組曲第1曲中間部最後のモチーフ、牧童のエコー)
第5景
バルタザールが去ったあとに残ったフレデリのもとへ・・・
(劇音楽第12曲、悲劇の象徴のモチーフ)
第6景~第7景
ヴィヴェットが現れ、なんとかフレデリの目を自分の方に向けようと懸命に話すが、フレデリは怒って走り去ってしまう。泣いてしまうヴィヴェットのところへローズが駆けつけた、ちょうどそのとき、フレデリが走り去った方角で銃火がひらめいた。鴨撃ちに失敗した銃のものだと分かったものの、女たちはフレデリが自殺するのではないか、と不安に駆られる。

第2場
第2組曲第2曲(舞台上は夜明けの農家内部の設定)・・・劇音楽第15曲にあたる。
第1景〜第7景
ヴィヴェットは失意のあまり去って行こうとしていたが、ローズがフレデリの自殺を心配し招集した家族会議の場へ、バルタザールに呼ばれて現れたフレデリが、ヴィヴェットを嫁に、と乞うことで、劇はいったん、めでたし、めでたし、となる。
(劇音楽第16曲、第2組曲第2曲の素材による。)

間奏曲〜第1組曲第2曲(メヌエット)・・・劇音楽第17曲にあたる。

第3幕
第1場
祭のために飾り付けられた農家の前庭の設定。
第1景幕開け~第1組曲第4曲(カリヨン、中間部を含む)・・・劇音楽第18曲にあたる。
第1景〜第2景
バルタザールが昔の恋のことでからかわれ、怒り心頭に達する。
(劇音楽第19曲1・・・第1組曲第4曲中間部の旋律)
そこへ、祭の祝いに招かれたルノー婆さんがやってくる。彼女がバルタザールの恋の相手だった。二人は晴れて抱擁しあう。
(劇音楽第19曲2・・・第1組曲第3曲)
一同退場したところへ、・・・
(劇音楽第19曲3・・・第1組曲第4曲中間部の旋律)
フレデリとヴィヴェットが連れ立って現れる。フレデリはヴィヴェットに自分の気持ちを移しきったと装い、ヴィヴェットはフレデリをすっかり信じる。
(劇音楽第20曲・・・第2組曲第2曲の旋律)
第5景
しかし、折悪しく、そこへアルルの女の愛人と称する男がやってきて、そこにまたやってきたバルタザールに、先に渡した証拠の手紙を返せ、と迫る。自分をごまかしきれなくなったフレデリは男に殺意を抱いて半狂乱で飛びかかるが、バルタザールに制止される。外から、人々の踊るにぎやかなファランドールが聞こえてくる。
(劇音楽第21曲・・・第2組曲第4曲のファランドール部分)

第2場
第1組曲第3曲が、幕開けに奏でられる。(劇音楽第22曲)
続いてファランドールが聞こえてくる
(劇音楽第23曲1・・・第2組曲第4曲のファランドール部分)
さらに、ファランドールに重なって「王様の行進」の歌も聞こえる。
(劇音楽第23曲2・・・第2組曲第4曲の「王様の行進」と重なる後半部分)
第1景〜第3景
養蚕室にひとりたたずむローズの元に、疲れきった表情のフレデリが「おやすみ」を告げにくる。ローズはフレデリの気持ちに探りを入れるが、フレデリはそれをかわして寝室に去る。ひとり不安に苛まれるローズの耳に、ふたたび「王様の行進」が響いてくる。
(劇音楽第24曲・・第2組曲第4曲の「王様の行進」)
第4景
そこへジャンがやってきて、兄フレデリのことでいやな予感がする、とローズに語る。
(劇音楽第25曲・・・純粋な愛のモチーフ)
第5景
知能を年相応に取り戻したかに見えるジャンにローズは喜びを覚えるが、これが不幸の始まりになりはしないか、と、いっそうの不安に陥る。(知能が回復する、すなわち当時の認識で「白痴が治る」のは不幸の始まりである、反対に一家のなかに「ばか」がいると幸せがもたらされる、との俗信があった、と昔教わりましたが、いわれは分かりません。)
第6景
夜中に階段に現れたフレデリは、自分の中にあるアルルの女の不義の影にとうとう狂乱し、呼び止めるローズを無視して階段の戸口を閉め、とびおりて死んでしまう。

劇音楽としての「アルルの女」は、諸資料に共通して書かれているところでは、次のような編成で演奏されたとのことです。

フルート2(1本はピッコロ持ち替え)
オーボエ1
クラリネット1
バスーン2
サキソフォン1
ホルン2
タンブール1
ティンパニ
ヴァイオリン7丁
ヴィオラ1丁
チェロ5丁
ダブルベース2
ピアノ

録音では、数種類出ているらしい劇音楽全曲盤では、ミッシェル・プラッソン指揮トゥールーズ・カピトール管弦楽団のもの(ERATO 現Warner WPCS-23116 1985年録音)が入手しやすくなっています。タワレコやHMVのサイトで品番で検索してみて下さい。ただし音響的にはオリジナル編成であるようには感じられません。
初演当時の編成を再現しての演奏は、ホグウッド指揮バーゼル室内管弦楽団が録音しています(ARTE NOVA 82876 61103 2 2004年)。メンバー表を確認すると、人数を完全に再現しているようです。これはぜひ聴いてみて頂きたいと思います。

今回のために調べなおしていてビックリしたのが、
「アルルの女組曲は第1、第2ともビゼー自身によるピアノへの編曲がある」
とも解釈できる記述を、NAXOSの”BIZET Complete Music for Solo PIano”の売り文句に見つけたことでした。
第2はビゼーの死後に有人ギローが組んだ、というのが普通の記述ですから、これが事実なら組曲成立の事情も時期も違っていることになります。
で、第2組曲第3曲のメヌエットをビゼー自身が「アルルの女」に釣り合う音楽だと考えていたことにもなってしまいます。

ちょっと焦って、NAXOSのこのCDの現物を確認してみました。
ケース裏には
“Georges Bizet’s L’Arlècienne Suites are seldom heard in the composer’s own piano transcriptions.”
とあります。
これはヤバい、と思ってリーフレットを読みましたが、解説には曲の構成についての説明しかなく、ビゼー自身の編曲だとはひとことも書いていませんでした。
いまのところ、なんかの間違いだろう、と思うようにしています。

なにせ、日本でビゼーの伝記は出てないんだよな・・・

さらに調べる価値があるようなら、調べなくてはなりませんが・・・

以上、資料等の現物へのリンクはとりあえず貼っていません。すみません。

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