« 【無料です!12月19日(土)】東京ムジークフロー演奏会(練馬文化センター) | トップページ | 【1月24日(日)】大井浩明さん「カーゲル全ピアノ作品」(POC第25回公演) »

2015年12月27日 (日)

川瀬賢太郎・神奈川フィル:ローマ三部作(レスピーギ)【日本のオーケストラのCDを聞く】

素晴らしい若手指揮者とくれば、川瀬賢太郎さんを聴いておかなくちゃなりません。

本2015年のライヴからといっても、春のものがようやく年後半に発売されるので、その中から僕が手にとったのは
・パーヴォ・ヤルヴィ&NHK交響楽団:R.シュトラウス「英雄の生涯」(2月~発売9月23日)
・尾高忠明&札幌交響楽団:シベリウス第6・第7(2月〜発売11月4日)
・川瀬賢太郎&神奈川フィルハーモニー管弦楽団:レスピーギ(4月〜発売12月9日)
・飯森範親&日本センチュリー交響楽団:マーラー「大地の歌」(4月〜発売12月18日)
でした。
どれもいい演奏で、日本のオーケストラによるCDには「買って損する」ものはない、と、すっかり信じさせてもらっています。クラシックがようやく輸入音楽ではなくなったんじゃないかな、とも感じます。

とくに、山田和樹さん(1979年生)や川瀬賢太郎(1984年生)さん世代が確固とした自己をもう築き上げながら、邁進への意欲で脂ぎっているダイナミックさには、頭が下がる思いです。まだ録音でしか拝聴出来ていないのが残念です。

ほんと、もうちょっと早くから日本のオーケストラのおっかけをすればよかったなあ・・・って、いまもまだおっかけするほどお金も時間もないのですが(泣)。

61pa1ooounl_sy355_ 川瀬さんに強い印象を受けたのは、ソプラノの半田美和子さんと共演しているテレビマンユニオン チャンネルにあるリゲティ「ミステリー・オブ・マカブル」の映像で、10分弱ですがたいへん面白い。
定番の曲では定番的な指揮しか見えませんけれど、このリゲティだと、ジャズオーケストラを振るような「ノリ」の良さがくっきりして、コミカルなセンスもよく分かる。
「うるさいんだよおばさん!」と半田さんに向かって言って、半田さんに平手打ちを食うシーンがあるのですが、そこでのふるまいの自然さが川瀬さんのすべてではないか、と思ったほどです。
・・・なんぼスコアの指示であるにせよ、おきれいな半田さんに「おばさん」を、こんなにストレートに言ってしまっていいのだろうか! というくらいのまっすぐさ。

http://tvuch.com/social/166/

神奈川フィルハーモニー管弦楽団(1970年創立、1978年財団法人)は、東京に優れたプロオーケストラが林立し、県内には他に横浜シンフォニエッタが存在する中、たいへん長く地道に活躍していらしてきたオーケストラなのですね。
そこへ若い川瀬さんを昨2014年から常任に、と迎えた英断も素晴らしいと思います。
そして、川瀬さんも見事にそれに応えている。
山田和樹さんが線と線を執拗に浮きだたせ絡めながら音楽を構築して行くタイプだとすると、川瀬さんもデリケートながら、むしろ色合いのような面的なものを大切にしているように聞こえます。

川瀬さん&神奈川フィルの新譜は、レスピーギのいわゆるローマ三部作。日本のオーケストラによるライヴァル盤が出ているだけに、どんなふうに聴かせてくれるのかが、大変楽しみでした。

最大のライヴァル盤だと思うのは、イタリアのたいへんすぐれた若手アンドレア・バッティストーニ(1987年生)が東京フィルハーモニーと行なった2013年5月の演奏のライヴ録音で、これが非常に力強い演奏です(DENON COGQ-68)。これは曲順が「ローマの祭」・「ローマの噴水」・「ローマの松」となっていて、「祭」で僕らの度肝を抜いておいて、「噴水」を豊かに聴かせ、「松」で華麗にしめくくる、と、盛り上げかたも巧みですし、オーケストラも重厚です。

川瀬&神奈川フィルの響きは、うーん、どうでしょう、バッティストーニ&東フィルに比べてしまうと、重みには欠けるかな。極彩色でもありません。
けれども、いい持ち味があります。
曲順を「噴水」・「松」・「祭」としているのも、神奈川フィルの特徴を浮き出させるには適切である気がします。
優れて日本的、とてもいうべきなのでしょうか、「噴水」は霧のかかった夜明けの後に、まだやわらかさを残した朝が来る風情で、昼の日差しもギラギラし過ぎず、黄昏はふうわりとした美しさに包まれている。
「松」終曲は録音の方法のためなのか打楽器偏重に聞こえるのがやや残念でしたが、最初のボルゲーゼ荘の松の繊細さは、他の演奏では気がつかなかった音楽の糸の織り上げかたに感心をさせてくれたりします。カタコンブの松やジャニコロの松のやさしさも、いいなあ、と思います。
「祭」は、川瀬さんが単純な熱狂ではなく、ストーリー性を大切になさっていることが、くっきりと浮き出るものになっているように感じます。チェルチェンセスの残忍さはやや薄い気がしますが、以降、主顕祭まで運ばれて行く流れには、どこにも適度な陶酔感を保ちながら、充分なゆとりを持って最終の戯画的喧騒をしっかりとらえる、きちんとした意思を感じます。

・・・まあ、あたしのような素人は、言いたいことばっかり言うわな。なのですけれど、主顕祭に至って陽気さがはじけまくるのには、とっても嬉しくなってしまうのです。そこへのプロセスがじわじわ楽しめる点では、この演奏は出色なのではないかしらん。

川瀬&神奈川フィル、次は何をリリースなさるのでしょう。是非楽しみに拝聴させて頂きたいと思っております。

fontec FOCD9698

http://www.amazon.co.jp/dp/B017TYT2IU/

|

« 【無料です!12月19日(土)】東京ムジークフロー演奏会(練馬文化センター) | トップページ | 【1月24日(日)】大井浩明さん「カーゲル全ピアノ作品」(POC第25回公演) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 川瀬賢太郎・神奈川フィル:ローマ三部作(レスピーギ)【日本のオーケストラのCDを聞く】:

« 【無料です!12月19日(土)】東京ムジークフロー演奏会(練馬文化センター) | トップページ | 【1月24日(日)】大井浩明さん「カーゲル全ピアノ作品」(POC第25回公演) »