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2015年3月25日 (水)

「能の学校」授業ノート〜3時限目「和の発声道場」

毎度ですが誤りご容赦下さい。
お読みになるかたは誤りがあるかもしれないと思ってご用心下さいませ。

山中迓晶先生「能の学校」3時限目。

先生が事前に仰っていた、このお話のことから授業が始まりました。

「発声で悩む私に、先代の観世鉄之丞先生がこんなお話をしてくださいました。それは自分の身体を楽器のように使って発声するという理論でした。『筒』と例えられた自分の身体の『5つの器官』を調え、それを共鳴させるように声を出し、増幅させるという考え方です。これは『腹から声を出す』みたいな大雑把な例えではなく、イメージを凄く体現しやすい理論でした。しかも5つの器官のうち、自信の弱い部分を意識してトレーニング出来るので、発声のバランスも自然と調えられていきました。その甲斐あって少しずつ落ち着いた能の声が出るようになってきました。」

【5つの器官】
・クチ・・・・・・口の開け方などを意識することで口内の筋肉の使われかたが自覚される
・ノド・・・・・・声帯(小指ほどの大きさしかない)。声を出せば自然に分かる
         あまり意識する必要は無い
・ムネ・・・・・・まろやかに響かせる
         胸骨は少し開くことが出来る構造、でも限界がある。
         「ア」を長くのばして苦しく痛くなったときに分かる。
・オナカ(横隔膜)胸骨に限界があるのを補うように(体の)縦の容積を稼ぐ
         「オ」を長くのばすことで分かる。
・ハラ・・・・・・上の四つの器官を支える土台。<---->コシ

*男性の方が、クチ・ノドの発生が多い。〜子供の頃から(スポーツなどで)大きな声を出すのに慣れているが、それがノドからの発声になっている
*女性の方がオナカ・ハラが使える〜骨盤が開く体の構造で使いやすくなっている〜大きな声を出す生活上の習慣が(とくに年配世代のかたは)なかったので、大きな声を出せるようにすればよい

*声は、クチのすぐ前ででは無く、少し先のところで出ている(共鳴している)。
 声を凧としてとらえるとよい。息に乗せてやれば飛ぶ。
 ハラで糸を握っておいて引くことで、飛ぶ姿をコントロールできる。
 声と、ハラで握っている糸の関係を意識していること。

*うたに心を乗せる(感情の乗せかた)は、次の機会に。

・・・充分に文にしきれておらずスミマセン。
・・・お話は、けれど、すっきりまとまっていらしたと思います。

【実習】
ゴマ点や、それを分かりやすい記号にしてのレクチャーでしたが、記号等は埋め込みにくいので、載せずに綴ってすみません。

自由に大きな声でうたう(地謡でなければいわゆるピッチ[音程]が他の人と一致している必要は無い。
*能の笛(能管)は雅楽の龍笛と同じ形と大きさだが、ノド(喉)と呼ばれる細い管が笛の頭と吹口の間に入れられてその部分の内側が狭くなっている。それによってなのか、ドレミのような(音程の定まった)音階にならない。また一本一本がチューニングされていないので、笛ごとに高さなどが違った音が出る。したがって合奏するようなものにはなっていない。一本一本個性がある。〜こういうところにも能のおおらかな音程感が垣間みられる。

*謡は拍を八つに数えるが、等間隔ではなく詰まったりする場合も少なくない。

 以下、フォントが等幅でないと表示が狂うかも知れませんが、等間隔の前提で記しておきます。

1)「老松」の最後の部分(キリ)〜特別な言霊の載った謡、ツヨ吟、大ノリ(拍子合)。
  ※拍子合(ひょうしあい)=リズムに合っている、ということ

  よわいをさずくる〜
  こ〜のき〜み〜の〜
  ゆくすえまもれ[っ]と
  わがしんたくの〜
  つ[ぅ]げ[ぇ]を〜し〜らする【らする、はハシリ】
  ま〜つかぜ【ここまでハシリ】もんめも〜(下)
  ひさしき〜は〜るこそ【るこそ、はハシリ】
  めで[っ]た〜け⇨れ⇨(けれ、でおさめる)

  クリ—つ—      ―げ―
 上音———ぅ(ウミ字)―――ぇ(ウミ字)

2)「高砂」(上ゲ歌)ツヨ吟、平ノリ

  とおくなるお[っ]のおきすぎて
  は【マワシ】やすみよしにつきにけり【り、はオチ】
  はやすみ[ぃ]の[っ]えに〜つきにけ⇨り⇨(けり、でおさめる)

  クリ
  上音 つきにけり   ぁ やすみ  っ
  下音 ーーーーーぃ は あ   ぃの えに〜つきにけ〜〜〜れ〜〜〜

3)「もしもしかめよ」に先生が能の謡風の作曲をしました(写真参照)。
  七五調を八拍におさめる実際の実演、というところで、大変面白かったです。

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授業終了後懇親会。よいひとときでした。

次回は3月28日(土)17時〜 梅若能楽学院にて。
4月19日(日)に山中先生が「鉄輪」をなさるのですけれど、それを面白く見るためのさまざまを、とても面白く話していただけるようです。
FaceBookでまた告知なさると思います。

【補足】

※濁音と鼻濁音〜近年鼻濁音が消えつつある。能の謡では鼻濁音が重要なのだが。
 (参照:http://www.asahi.com/articles/ASH2W5751H2WUCVL00X.html
 西日本方面はもともと鼻濁音は使われない。金沢は関西的アクセントだが鼻濁音がある。

※「ヨワ吟」は弱くうたうということではない。能で弱くうたうことはない。
 「ヨワ吟」はメロディになる。

※「ツヨ吟」では、音が次のようになる。
 下音=下ノ中音
 上音=中音

※よわいをさずく「る」のところなどのゴマ点=音を長く謡う
 (二ツ引キとか三ツ引キがあるんですすね)
 「こ」の「き」「み」の、で「」内のところのゴマ点も同じ。

※老松〜ゆくすえまも「れ」と・・・と、に下ゲのゴマ点
 「と」で下がるのだが、約束事でその前の「れ」は突き上げて
  小さい「っ」が入るように謡い、「と」で下の音に下がる
  実習の例で小さい「っ」が入るところは、同様。

※傍線の部分はハシリ(「老松」の「知らする」等)
 大ノリで一音一拍のところ、ハシリの間は半拍となる。

※「下」(下音と区別するために節譜の記号では上部の蓋の右半分がないように書いてある)
 能の音程で一音下げる

※老松〜「つげ」の「つ」の上に棒線のある「クル」と「入」は(初心では)同じ謡いかた
 クリ音(上音の上)まで上がってから戻ってウミ字(母音)を謡う。

※マワシ
 二音分に謡う。

・・・ちとくたびれたので、補いきっていません。
・・・後日追記かな?

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