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2014年12月20日 (土)

「ためらいのタンゴ」タンゴ・コレクション(「いま」を聴く・・・最初の1枚)

「いわゆる現代音楽ってやつをCDで聴いてみたいんだが、とっつきにくくて・・・」

と、ためらいがおありだったら、最初の1枚にはこれをオススメします。
無心に楽しめるCDです。
とくべつ現代音楽のCDというものではありません。

高橋アキさんのピアノ演奏による51suwlmbal_sx355__2
「ためらいのタンゴ」タンゴ・コレクション1890-2005
 カメラータ CMCD-28105
 http://www.camerata.co.jp/music/detail.php?id=57
 Amazon:http://www.amazon.co.jp/dp/B000E9816C/
 *ダウンロード販売は残念ながら見つけられませんでした。
  とってもいい企画なので、もしダウンロード販売されていないのなら惜しい!

現代音楽の素晴らしいピアニストとして有名な高橋アキさん(http://www.aki-takahashi.net)ですが、繰り返しますけれど、これは特段、現代音楽のCDというものではありません。

いま高橋アキさんがコツコツと録音を積み重ねているのはシューベルトのソナタで、最新の第4弾がこの11月25日に発売になったところです(http://www.amazon.co.jp/dp/B00PG3UO2U/)。
人間が弾けるとはとても思えないリズムも、高橋アキさんは超人的な感覚で明確にこなしてしまうのですが、これまた素敵で自然な歌心があって、シューベルトなんかほんとにピッタリなかたなんですよね。

技術だけの人でも歌心だけの人でもない高橋アキさんならではの、異色のセレクションが、このアルバム「ためらいのタンゴ」です。

何が異色か。

・サブタイトルに「1890-2005」とあるとおり、年代の異なる20曲のタンゴがこのアルバムには集められています。・・・115年も年代の幅のある選曲がされることがまず、そうあることではありませんよね。

・でも決定的にユニークなのは、これらの並べられ方です。最初が19世紀末のアルベニスから始まって、順々に新しいものになっていき、10曲目に最新の2005年作が置かれていて、そこをピークに今度は創作年を遡っていって、20曲目は1904年のサティの作品で終わります。・・・順番に聴いていくと、音楽の合わせ鏡を眺められるのです。

気に入った1曲を抜き出して聴いても楽しいです。
そうして曲に馴染んでおいて、時間が許すときにいちどはこのアルバムを最初から通して聴いてみて下さい。
ちょうど真ん中あたり、折り返し点に、日本の「いま」の作曲家さんたちの手がけたタンゴが集中して現れますけれど、通して聴くと、この「いま」のタンゴたちが自然にスウッと、耳に受け入れられている。そんな自分に、ある瞬間ふと気づくはずです。

素材が「タンゴ」と規定されているので、ごくごく一部を除いては「おお前衛!」の印象がありません。そのおかげで「とっつきやすい」んですよね。

まあ細かいことは言いません(って、ここまででも充分細かいか!)、よろしければ、まずこれをお手に取ってみて下さいね。

ついでながら、締めがサティ、しかもフェイドアウトする、というところが、密かにミソだったりします。
なんといっても、高橋アキさんは、日本でエリック・サティが流行る大きなきっかけを作ったかたですから(これまた最新の演奏が10月25日に発売されていて、これはダウンロードでの購入も出来ます http://www01.hqm-store.com/store/item_new.php?album_no=HQMD-10040)。

曲のリストはこんなです。
(カメラータのサイトから引用し、作品の発表された年を追記しました。)

この中の6曲から引用したサンプルをお聴きになりながらリストを眺めて下さい。
2分です。

http://music-hongou.art.coocan.jp/audio/TANGOsample.mp3

[ 1] I.アルベニス:タンゴ(組曲「スペイン」作品165より)1890年
[ 2] S.バーバー:ためらいのタンゴ 
 (組曲「スーヴェニア」作品28より)1952年
[ 3] A.カラン:タンゴ No.1 1971/83年
[ 4] M.サール:流浪者のカフェ・タンゴ 1984年
[ 5] C.ナンカロウ:タンゴ? 1984年
[ 6] ジェイムス・セラーズ:タンゴ・タカハシ 1999年
[ 7] 三宅榛名:北緯43度のタンゴ 1986/95年
[ 8] 近藤 譲:記憶術のタンゴ 1984年(*)
[ 9] 西村 朗:タンゴ 1998年(*)
[10] 佐近田展康:ニュー・センチュリー・ソング 2000/2003/2005年
[11] AYUO:ユーラシアン・タンゴ No.1 1998年
[12] AYUO:ユーラシアン・タンゴ No.3 1998年
[13] AYUO:ユーラシアン・タンゴ No.5
  (ビザンチウム~ペルシャの美)1998年
[14] アストル・ピアソラ:ミケランジェロ 70 1969年
[15] イゴール・ストラヴィンスキー:タンゴ 1940年
[16] ステファン・ヴォルペ:タンゴ 1927年
[17] ダリウス・ミヨー:フラテリーニのタンゴ
  (バレエ「屋根の上の牡牛」作品58より)1919年
[18] ジャン・ヴィエネ:タンゴ 1955年
[19] アンリ・クリケ=プレイエル:タンゴ No.1 1920年
[10] エリック・サティ:ル・タンゴ
  (「スポーツと気晴らし」より)1914年

ギター系のファンには・・・アルベニスもピアソラもあるでよ!
濃いめ系のファンには・・・バーバーにミヨー、えっ? ストラヴィンスキー?
でもってナンカロウでございますから、どんな嗜好の方でもピッタリくるんじゃないかと思います。

この中で佐近田展康さんは三輪眞弘さんと「父親違いの異母兄弟によって2000年に結成された作曲・思索のユニット」フォルマント兄弟を組んで面白い活動をなさっています。
って、私はまだよくわかっていないんですが、ず〜っと前に「ライバルは初音ミク」と言っていた記憶があるんで、これからいっぱい好きになりたいと思っております。
(リンクはりたいYouTubeとかあるんですけど、今回は逸れるからやめておきます。 いちおう、こちら♪ http://formantbros.jp/j/top/top.html


*:近藤譲「記憶術のタンゴ」(http://ooipiano.exblog.jp/22690684/)・西村朗「タンゴ」(http://ooipiano.exblog.jp/23165600/)は、大井浩明さんが今2014年のPOCシリーズで演奏しました。2015年1月は細川俊夫・三輪眞弘作品、2月は南聡作品です(http://ooipiano.exblog.jp/22321199/)。

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