« 長い前置き【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(0) | トップページ | 新旧印刷譜の相違点:【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(2) »

2014年2月22日 (土)

入手しやすいスコアのこと【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(1)

0:前置き1:入手しやすいスコア2:新旧印刷譜の相違箇所3:20世紀の演奏から4:校訂者泣かせの自筆譜5:ブライトコップフ新版前書き(上)6:ブライトコップフ新版前書き(下)7:旧校訂系の楽譜成立への小さな推測   


【はじめに】=「本題の前置き」と【入手しやすい印刷総譜について】=「手に入りやすい総譜」を記します。(入手しやすい、とは、2014年現在の日本に於いて、でのことであります。)

【はじめに】は、またも無駄書きですので、【入手しやすい印刷総譜について】のほうだけ読んで下さったほうが、これから演奏をお考えのアマチュアのかたには、少しはお役に立つと思います。


【はじめに】

Gya00000451 このたび所属のアマチュアオーケストラで「ハフナー交響曲」(ニ長調、K385 作曲1782年7〜8月)をやることになりまして、いつもはモーツァルト作品については専ら新全集を眺めていれば幸せ、でいたものを、つまらん野次馬根性がメラメラしだして、数種のスコアを眺める暴挙に走り出しているところです。
長い前置きをしましたとおり、それはもともと、『何が「オリジナル」なのか』を確かめたい気持ちからではあります。
そのきっかけとなったのは、最初のリハーサルで第1・第4楽章を試奏した際、オーケストラ側にはブライトコップフ&ヘルテル社が1965年に印刷した楽譜が用いられ、指揮者はモーツァルト新全集版(ベーレンライター、新全集そのものは本曲については1970年印刷)依拠のスコアを用いたため、面白いちぐはぐが起きたのに興味を引かれたことにありました。

で、スコアを幾つか斜め見したあげくにたどり着いたこちらのサイトで、実は楽譜の問題は既に語り尽くされていたのでした。

http://www.asahi-net.or.jp/~rb5h-ngc/j/k385.htm
(神戸の野口秀夫さんのサイトで、モーツァルトの諸作品についてとっても突っ込んで語っていらっしゃいます。以前から何度も、モーツァルト関係を綴る時は頼りにさせて頂いたことがあります。野口秀夫さんについては何も存じません。)

私には参照する手段のないハフナー交響曲の初期の楽譜(アルタリア1785年など、および旧モーツァルト全集)に関係することも、ここで豊かに触れられています(6.7および6.9)ので、楽譜の由緒についてはもう特段の検討をする必要はないと考えています。

だったらもう野次馬しなくていい、のではありますが、もう少しモーツァルト自身に即さないことも考えてみたいので、無駄にあがいてみます。

だいたい、次のような組み立てでやって行くつもりですが、参照したい資料で本日現在まだ目に入っていないものもあり、サラリーマンのヘタの横好きではもともとどうにもならないものもありますので、この通りにいかないかも知れません。

1)入手しやすい印刷総譜の概略〜練習の参考にすることが目先の目的なので、最後までここで揚げた楽譜を基本材料にします。
2)総譜相互の差異についての概略(分かるだけの変遷史を含めたい)
3)上記の差異の原因についての勘ぐり(推理、とまでは口幅ったくて言えない)
  ・演奏史の面から
  ・楽譜そのものが孕む問題から

・・・こんな感じかなぁ。

・・・ということで、はじめます。


【入手しやすい印刷総譜について】

先日から泡を食って数ヶ所のお店を歩いて目に入ったものを掲げます。
上の野口さんのサイトを参照すれば推測できる通り、「ハフナー交響曲」の総譜は2系統のものが印刷・出版されています。今後それを「旧校訂系(旧)」と「新校訂系(新)」と呼びます。
それぞれ、次に掲げることを確認すれば容易に見分けがつきます。

旧校訂系=第1楽章が2分の2拍子(Cに縦線)、第4楽章が4分の4拍子(C)になっている。
新校訂系=第1楽章が4分の4拍子(C)、第4楽章が2分の2拍子(Cに縦線)になっている。

 

旧モーツァルト全集が(旧)の、新モーツァルト全集が(新)の、それぞれ代表的な総譜ですが、(旧)には先行する、(新)には後行の校訂や出版がありますので、旧全集系・新全集系とは呼べません。

この呼び方にしたがって、区分けして印刷譜リストにしますと、以下の通りとなります。
(オイレンブルク版等、私が店頭で内容を見ることができていないものは上げません。)


<旧校訂系>

大型スコア
DOVER版 "Symphonies No. 35-41 'Later Symphonies'"
https://www.academia-music.com/academia/search.php?mode=detail&id=0999159200

スタディスコア(小型スコア)
全音楽譜出版社 C3073 諸井三郎解説(依拠版不明、ただしブライトコップフ版ではない)

インターネット
国際楽譜ライブラリープロジェクトIMSLP
http://imslp.org/wiki/Symphony_No.35,_K.385_%28Mozart,_Wolfgang_Amadeus%29
ここで入手できる三種ともが(旧)。ただしGoryとあるものは個人打込み版か? ページ数が多く、記号に欠落多数で、実質、使用に堪えないので注意。
パート譜も入手可です。

・・・(旧)での演奏は現代の価値観では推奨されません。これについては今回は述べません。


<新校訂系>

大型スコア
新モーツァルト全集版(ベーレンライター社)〜赤い表紙のものです。
http://t.co/KYutCJmjq0

大型スコア
1501717399 Breitkopf Urtext (校訂Henrik Weise) Partitur-Bibliotek 5373  2013年
https://www.academia-music.com/academia/m.php/20130410-13
現在最新のものではないでしょうか。右近大二郎さんに教えて頂きました。
ザルツブルクでの初演の際に一緒に演奏された行進曲KV408/2(385a)を含みます。
この総譜の意義については後日述べることになるはずです。

スタディスコア
音楽之友社 OGT780 ベーレンライター版で新全集と同じ版下です。
(いま売っているものは冒頭ベージが薄い印刷になってしまっています。)

インターネット
新モーツァルト全集は現在(個人利用に限り、コピー不可で)インターネット上のサイトから利用できます。
http://bit.ly/1gLqeij
校訂報告も読めますが、新モーツァルト全集にはドイツ語のものしかついていません。
(Wikipedia記事参照 http://ja.wikipedia.org/wiki/新モーツァルト全集


ここに掲げたもの以外をお手になさる場合は、再掲しますが、最低限これだけはチェックして下さい。

旧校訂系=第1楽章が2分の2拍子(Cに縦線)、第4楽章が4分の4拍子(C)になっている。
新校訂系=第1楽章が4分の4拍子(C)、第4楽章が2分の2拍子(Cに縦線)になっている。

旧校訂系と新校訂系の特徴的な差異については、次回に述べるつもりです。

長くなりましたので、今回はここまで。

|

« 長い前置き【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(0) | トップページ | 新旧印刷譜の相違点:【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 入手しやすいスコアのこと【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(1):

« 長い前置き【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(0) | トップページ | 新旧印刷譜の相違点:【楽譜の問題】モーツァルト「ハフナー交響曲」(2) »