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2012年11月25日 (日)

戸塚囃子(東京都新宿区指定無形民俗文化財)を拝聴しました

2012年11月23日、東京都新宿区の四谷区民ホールで、「伝統芸能フェスティバル」がありました。

5年来存じ上げていながらじかに拝聴するチャンスのなかった、新宿区地元の「戸塚囃子」(同区指定無形民俗文化財)を、そこでやっと初めて拝聴することが出来ました。
お客さんが身を乗り出す好演で、心地よく耳を傾けさせて頂きました。

昨年の映像ですが、どうぞ、お聴き下さい。(約17分)


戸塚囃子のHP
http://2nd.geocities.jp/waseda_fuekichi7/

パンフレットによると、戸塚囃子は江戸末期に阿佐ヶ谷の田淵初五郎により編み出された祭囃子とのことで、昭和初期にいったん途絶えたものが第二次世界大戦後にゆるゆる再開、昭和51年以降本格的に復興されたものだそうです。

復興は保存会の会長さんをお勤めになっている吉田紘一さんの努力のたまものです。

祭囃子は「伝統文化」と呼ばれるにはまだ新しい部類なのかもしれず、文化財としての認知度は定番の歌舞伎〜能〜雅楽クラスまでには及んでいません。
が、おそらく江戸祭囃子については、江戸末期までの舞台芸や巷間芸の中で流行したものを巧みに取り入れ、それを中世期に形が整っていただろうと思われる祇園囃子の備えた定型に当てはめて、江戸ならではの華やかなものに仕立て上げたのではなかろうか、と推測しております。
如何せん、私には、そのあたりの根拠まで調べ上げる力量も環境もありません。
けれども、その価値の高さについては、今後徐々に定評を得て行くものと確信をしております。

吉田さんの工夫は、ご自身がご幼少期に能楽囃子などの経験をなさったことを踏まえて、伝承の仕方に定番のない祭囃子に「唱歌(しょうが・・・笛や太鼓で 演奏するものを、習い覚える際にまず口で歌ってみられるようにすること)」を取り入れ、笛譜も戸塚囃子ならではのものに整えてこられたところにありました。
それで、若いお弟子さんにも優秀な方が育ち、地元では小学生の皆さんも習得に励んでいるという、都会のお囃子の世界の中ではなかなか得難い豊かな環境を築き上げることに成功なさっています。
それでも、万年少年の精神をぱりぱりっ、と持ち続けている吉田さんは、心配と情熱を絶えずお持ちになり続け、休まる暇がありません。

伝統の泉は、まず「正しく伝承しよう」との熱意が源になります。
その熱意が豊かに受け継がれていき、次第に川の姿を整え始めると、やっと「伝統」と呼ばれる世間的な資格を得ます。
そこからさらに、流れを太く確かなものにするためには、その文化が発祥したときに、作り手の人たちや受け止めた人たちが感じたであろう新鮮な楽しみと謹厳な喜び、を、さらに進取の精神で新たな世の中の空気の中で、新たな命を呼吸出来るものに仕立て上げて行く、不断の努力が必要です。
後続の人の大変さは、その新しい呼吸が、源泉源流の「かたち」をそこなわずになされなければならないうえに、仮にそれをなしとげても、創案者の名声は決して得られない地味な存在に甘んじなければならない・・・自己に名声は決して求められないことではないかとおもいます。

しかしながら、名声のためにではなく、空気は絶えず変転する時代を経ても、変わらない何かがあることを人間が悟って行くためには、「変わらないけれど新しい」・「新しいけれど変わっていない」ものを真摯に見つめつづける常緑樹のような若さが、これまた絶えることなく注がれなければなりません。

吉田さんの精神を汲み取ったお若いみなさんの、いっそうの充実を、心から応援したいと存じます。

 

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コメント

お褒めのお言葉に感謝申し上げるとともに、心してこれからも精進いたします。

今回初めて私から区の方に話して、少しばかり長い解説?をさせて戴ました。
この事も常々思ていましたが、解説の方に答えるとの区の方針に従っていました。
 
 お客様と言えど、江戸祭囃子の事をそんなにはご存知無い事は確かです。
之まで当事者自身も、よく解っていないことも事実です。
何か門を開く必要を感じて、今回のことになりました。

 考えれば40年近く昔の事、道具が残っていた事から祭囃子が復活されて、強引に取り込まれたところ30名ほどの大人も殆ど止めました。
そして残ったのが、我が家と流れの憲くん。今は懐かしい思い出です。

 つい最近まで戸塚囃子は、ただ祭でやっている程度しか認識されていませんでした。
之も私に責任はありました。
『ただ只管にやるだけでは駄目だ』この事から方針を変え、外に出る事を始めました。

 讃岐金刀比羅宮一日奉納・第一回世界民族音楽祭でドイツ公演・日本全国こども郷土芸能大会東京代表・・・と、神社も氏子さんも驚き始めました。
この事は自慢するためでなくて、祭囃子というものに目を向けてもらう為でした。

 とにかく小学生の時から大の音楽嫌い、師匠からの『ダメ出し』がいつも悩み!
巳歳の性格が幸いし、しつこさからトラウマはいつの間にか消滅?
幸いなことに戸塚のみんなが、付いて来てくれていることが最大の幸せです。

 今私がなんとかあるのは、北海道新冠町のおかげにであることも大きいのです。
一介の商人が、大きなことを言って新冠町に乗り込んで引っ掻き回した訳ですから。
幸いなことに多少の努力が実を結び、北海道では指折りの祭ができる町になりました。
之も私の書いた『唱歌の楽譜』が、正しかったからだと今感じています。

 さて今回 ken様のお蔭で、戸塚囃子を取り上げて戴きただ感謝申し上げます。
中には、二人間の討論?を知っていらっしゃる方多いでしょう。
音楽無知の私ですが、事江戸祭囃子については譲れない物がありました。
事は逐次囃子連中とは討議していましたので、今回お見えになったことに全く自然い対応してくれたとおもっています。

 私一人の団体のように思えますが、殆どの事は皆と話をして進めています。
稽古にしても、やる度にお互いが話し合いここまで来ました。
「昨日より今日。今日より明日はうまくなりたい」これがみんなの願いです。

 これからの戸塚の使命は、江戸祭囃子に陽が当たる日が一日も早く来るように頑張ることと思っています。

 余談ですが、音楽とともに大嫌いな絵も声が掛かって出かけた御礼状のために始めたことです。これもひとえに祭囃子のおかげです。

投稿: 凸家笛吉 | 2012年11月25日 (日) 09時56分

凸家笛吉様

ご丁寧にありがとうございます。
取り急ぎ手短ですが深く御礼を申し上げます。

日ごろのご努力にはたいへん頭の下がる思いです。
音楽無知とか絵がお嫌いとか、とんでもないことで、それは「出来合いの、これみよがしのが」お嫌いなのだ、と受け止めております。また、日ごろなさっている手仕事の見事さも、鑑定眼の確かさも、たくさんのかたに戸塚囃子のサイトや笛吉さんのサイトをご覧になっていただいて、知って頂きたいな、と思っております。

どうぞ、ご健康第一で。
皆様とのいっそう充実したご活躍を心より祈念いたしております。

投稿: ken | 2012年11月25日 (日) 11時40分

以下、別記事にですが、吉田さんの真摯さをよくご存知で高く評価していらっしゃる,
さざ波mooさんから頂いた「訃報」のコメントを転載致します。

kenさま
 もう、お忘れかもしれませんが、以前、時折お邪魔していたさざ波mooです。お願いがあり ご連絡したく思い
ましたがブログに疎いもので、こちらに書かせていただきます。先月の22日、凸家笛吉(吉田紘一)さんが、
お亡くなりになりました。私は、笛吉さんの絵手紙展を 年賀状や暑中見舞いの都度 お願いし、多くの方達を
楽しませ元気付けて頂きました。

 戸塚囃子も、新宿へ伺い、伝統芸能フェスティバルで拝聴したこともあり、笛吉さんが30年来の念願でいらした
金刀比羅宮の奉納演奏にも、岡山から車で伺いましたが、私は音楽の素養もなく、何を書こうにも幼稚なことしか
書けません。また、笛吉さんのフアンは大勢おいでですが、ブログを拝見してもコメントが少なく、有っても、
良かった・感動したと在り来たりの文言で、誰をどう褒めているのか判りません。

 その点、kenさまの下記のご感想は、洋楽の専門家でいらっしゃる上、笛吉さんの様々な面にご配慮の記述があり、
お言葉の品性の良さも相俟って、心打たれるものでした。笛吉さんご本人も、誰に褒められるより感動し 有難く
思われたことでしょう。私も、心温まる文章の思い出としてずっと記憶に残っていました。
http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-8933.html

 前置きが長くなりましたが、この tadaさまと笛吉さんの記事を、私のmixiに転載させて頂けないでしょうか。
今、昨日の日記で、URLだけ無断でご紹介しましたが、やはり文章もお願いしたく存じます。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1953886458&owner_id=10827658

 私のマイミクさんは50人ほどですが 亡くなられた方や音信不通の方が多く、来訪者は日に数人ほどです。でも、
転載で tadaさまにご迷惑をかける方は無いと思います。笛吉さんのご葬儀には、新冠の方も三人いらしてました。
色々お話を伺えたので、その方たちにもコピーしてお送りさせて下さい。よろしくお願いいたします。
ご迷惑でしたら、URLのご紹介だけに留めます。失礼をお許しください。

投稿: ken | 2016年7月 7日 (木) 23時12分

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