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2010年12月26日 (日)

片岡祐介さん木琴談義

8月にご著書の紹介をし()、監修なさったCDについてもご紹介させて頂いた、私の尊敬する打楽器奏者で作曲家の片岡祐介さんが、木琴についてまとまったツィートをなさっていらして、大変に興味深いので、お許しを頂いてこちらに引き写させていただきます。


【1】それにしても今年は「木琴再発見」の年だった。今日はヒマなので「自分と木琴」について、何のオーダーもないのに書くとするか。

【2】それにしても今年は「木琴再発見」の年だった。今日はヒマなので「自分と木琴」について、何のオーダーもないのに書くとするか。小学5年の時、ふとつけたテレビで妙な音楽に出会ったのが、音楽に興味を持ったきっかけ。故芥川也寸志と黒柳徹子が司会をつとめる「音楽の広場」という番組だった。

【3】(かなり後になって判明したことだが)そこで演奏されていたのは、ドイツの現代作曲家ヘンツェのマリンバソロ曲「雪国からの五つの情景」。演奏は高橋美智子だった。たぶん抜粋演奏。休符、沈黙の多い、超渋い曲で、時には低音部を指でそっと叩いたりしていた。

【4】それを聴き、当時のぼくは「デタラメ弾いてる!」と思った。しかし凄くカッコよかった。なんだか全然分からない!けど凄い!

【5】すぐに「デタラメ演奏」を真似したくなり、お小遣い(お年玉?)をはたいて卓上木琴を買って来た。幼稚園によくある、音板が黒いヤマハのアレです。半音付きで当時3400円だった。

【6】安物の木琴は、テレビで聴いた音とは全然違っていた。いくら手を速く動かしてもトレモロ音がしょぼいし… 今思えば当然。テレビで使ってたのは、5オクターブの、バスの音域まである巨大マリンバだったはずだから。

【7】それで、お中元の鰹節が入ってた缶を下に付けて響かせたり、水を入れたコップで高音域を追加したりしていた(笑)。即興をラジカセで録音し「さっきの演奏の方が良かったな」とか何とか… 今の録音好きは最初からだったんだな。(ピアノのデタラメ弾きも平行して始めていたが、この件は省略…)

【8】「テレビでやってたアレは、たぶんジャズっていうやつだ。ジャズは楽譜を使わずにデタラメ弾くらしいし…」と勝手に勘違いし、豊橋で一番大きいレコード屋へ行き「マリンバが入ってるジャズのレコード」を探した。当時小六か中一だと思う。

【9】それで一枚だけ見つけたのが、マリウス・コンスタンとマーシャル・ソラールの共作品が入っているレコード。なんでやねん(笑)

【10】いま検索したらそのレコード出てきました。CD化はされてないみたい。このページの『31-8』がそれです。http://www7b.biglobe.ne.jp/~konton/gaibanAclass-2.htm

【11】ジャズだと思い込んでいたのに、結果かなりマニアックな現代音楽のレコードに辿り着いたあたり、我ながら運と勘が良かったね。でも、買って来て針を落とした時は「あれ〜?なんか違うなあ」。

【12】余談ですが、このレコードに収録の「ストレス」という作品は、金管楽器隊が、ペダルを踏んだピアノの中に向かって音を吹き鳴らす場面があります。(ライナーノーツに配置図あり)もろクセナキスの「エオンタ」やん!

【13】そんなこんなで、中学2年の時、ついにマリンバを買ってもらった。楽器が家に来た日、喜び勇んで弾いたのに「ちょっと響きすぎて胸焼けする」と感じたのを鮮明に覚えている。この時は木琴の固い音色にすっかり耳が慣れていたため。

【14】その後、譜面の読み方を覚え、現代音楽というジャンルの存在も知り(NHK-FMの番組『現代の音楽』にはお世話になりました)音楽科のある高校へ潜り込み、おもちゃみたいな「木琴」は置いておかれ、すっかりマリンバ一色に。

【15】音大1年生の時、アフリカの木琴「バラフォン」にハマり、少ない仕送りをカバーするために路上演奏をやり始めた。2、30回はやったかな。当時はまだバブルの名残もあり、けっこう稼いだ。でも完全にお金目当てなので、妙に媚びた表現をしてしまうのが嫌になって止めてしまった。

【16】(音大時代はいろいろ省略)それから長い年月を経て、2000年、愛知芸術文化センターが主催の「若手邦楽家の挑戦」というコンサートで、義太夫三味線の田中悠美子さん、野村誠さん(鍵盤ハーモニカ)とトリオ演奏することになった時、

【17】「三味線にはマリンバより卓上木琴の方が合うだろう」と思い、卓上木琴(いくぶん上等の物)を用意し、アンサンブルしたのが「木琴再浮上」の幕開け。http://www.aac.pref.aichi.jp/aac/aac30/aac30-6-3.html


【18】あと、「あいのてさん」のツアー中、マリンバの運搬やレンタルが大変なので、卓上木琴で代用してたら「こっちの方がいいじゃん」ってなったりとか… (特に口琴と木琴の相性は最高ですね)

【19】そんなこんなが、今年の「木琴再浮上」(再々々浮上くらいか…)までのいきさつ。今年の木琴、極めつけは、今年の3月におこなった「野村誠×北斎」のコンサート。http://www.youtube.com/watch?v=C_pdadBr98A
   ↑
 引用者注:必見、おもろいですっ!!!

【20】11月には、小学校で、1930年代に一世を風靡したジョージ・ハミルトン・グリーンのラグタイム作品も弾いた。(この人は木琴界ではそれなりに有名なので、マニアック自慢する話でもないけどね)

【21】「木琴」はある種、古楽器みたいな感じかもしれないな。マリンバがモダンピアノだとすれば、木琴はクラヴィコードみたいな…。倍音の繊細さ、タッチの難しさ…。クラヴィコードについて詳しいわけではないけど…

【22】マリンバは、音が大きいわりに、響くホールに弱い。すぐにフレーズがコモってしまう(モダンピアノもわりとそうですよね)。木琴は逆に、小さく叩いても、どこまでもハッキリ聞こえる。

【23】あと、木琴はピアノとの相性も悪くない。マリンバは、倍音的、音色的に「ピアノよりも低い」感じなので、ピアノに伴奏させて上でメロディーを弾くのには無理がある。

【24】今思い出した(話がそれます)。中学の時「岡田知之打楽器合奏団」が学校公演に来たんだった。すごく楽しみにしていたのに、実際聴いたら拍子抜けするくらい何も感じなかった。たぶん中学生に媚びたプログラミングだったんだね。体育館の音響も悪かったな。

【25】小五の子どもにヘンツェがぐっと来たわけで、何が子どもの心に引っかかるか分からないものですよね。小学校で演奏する時、対象が五年生だと気が引き締まります…(←ほかの学年の時も引き締まれよ!)

【26】ちなみにヘンツェの例の曲、いま聴くとそれほどいいとは思えない。「意外とロマンチックな音楽だったんだなあ」というのが感想。不思議なものだねー。

【27】唐突ですが、これでおしまい。来年も木琴たくさん弾きま〜す!

TgetterのURL:http://togetter.com/li/83067
(ここと同じ内容です。)

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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株取引の流れ | 2012年11月20日 (火) 19時46分

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