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2010年12月11日 (土)

「第九」ファクシミリのみどころ〜第4楽章中盤まで

http://ooipiano.exblog.jp/15549738/

杉山作品が聴けるサイトへのリンクは、こちら。
http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-6321-1.html

前回大井さんが作品を演奏した伊左治直さんによる杉山洋一エッセイ<
http://ooipiano.exblog.jp/15568547/

第4回POCについてのラヂオつくば放送の際のトゥゲッターのURLはこちら。
http://togetter.com/li/76851



第1楽章呈示部展開部

「第九」ファクシミリは、アカデミアミュージックで特価販売中です。
電子データではわからない肌合いが、よい印刷で重層的に伝わってくるのが、冊子出版の最大の魅力です。従来版の4分の1という価格が、また奇跡的です。お手元に置かれることをお勧め致します。

あいかわらずケータイの不鮮明な画像なのをお詫び致します。

まだそれぞれに興味深い箇所のある第1楽章の残り・第2楽章・第3楽章をひとまず措いて、第4楽章を見ておきます。ベートーヴェンの創作が、スケッチより後に至っても、最後の最後まで重層的だったことが窺える部分を含みます。(余談ですが、じつはモーツァルトの、とりわけ「ジュピター」の終楽章にも似たものが読み取れるのですが、そのことについてはだいぶ前に綴りましたし、別の機会にまた見て頂こうと思ってもおります。)

・第4楽章冒頭部。ベートーヴェン名物、「訂正のグチャグチャ渦巻き」はありますが、略記をしているので、印刷スコアよりはスッキリして見えます。

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・第4楽章116~119小節、ヴィオラの主題の出。上部のファゴットは第1しか書いていません。で、長らくこの部分は第1ファゴットだけが吹かれていたのは古いクラシックファンならご承知の通り。が、ファゴットの音符の下に「第2ファゴットはB(バス)と共に」と、明らかにベートーヴェンの手になるエンピツ書きがあるのです。

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・第4楽章187~190小節。このページ(ファクシミリ冊子第273頁)の裏面には何も書かれておらず、新たに書かれた次葉では弦内声部の内声部のこのスッキリした筆跡が、太く荒々しいものへと変貌します。

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・バリトンソロの終わったあとから、テノールソロの部の前(フェルマータによる合唱第1部の終了)までは23段の五線紙が使われるようになります。これは314-315小節ですが、ページがかわった最初に先に315小節を書いてしまっており、それを抹消して314小節から書き直しています。本稿が出来る前に(この筆跡であってもなお!)下書があったことを、この抹消が物語っているわけです。

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・第4楽章331-317小節、6/8拍子に変わるところで、いったんは一葉だけ12段の五線紙に戻ります。このあと3枚だけ再び23段の五線紙が用いられ、379小節からまた12段の五線紙となります(まったく記入のないものを含め37葉、762小節まで)。

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・第4楽章、テノールソロの手前の器楽部を342小節目まで書いたあと、最初はすぐにテノールソロを入れる考えだったようですが、ベートーヴェンはそれを抹消して(現行の375-377小節、ファクシミリ譜には376-378小節とあるのですが・・・)器楽部分を延長しました。これは「下書」にはなかった新たなひらめきだったのだろうと思われる。343小節からは23段の用紙を3枚使用。大きさがこんなに違う!

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