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2010年12月 1日 (水)

【クリスマスの音楽】「いざ来ませ異邦人の救い主よⅠ」BWV.61(J.S.Bach)

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大井浩明さんの第4回Portraits of Composers「平義久×杉山洋一」2010年12月15日(水)19:00開演(開場18:30)門仲天井ホールにて。

杉山作品が聴けるサイトへのリンクは、こちら。
http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-6321-1.html



そんなに持ち合わせがある訳ではないのですが、クリスマスやその前後にまつわる音楽を、少し聴いて行きたいな、と思っております。

有名作品もあるでしょうし、そうでないものもあるでしょうが。

キリスト教の教会暦は「アドベント」(ラテン語のadventus=降臨に由来、ローマ・カトリックやルター派教会では「待降節」、聖公会では「降臨節」)から始まるそうですね。
その「第1主日First Sunday」は、早い年で11月27日、遅い年でも12月3日で、12月25日のクリスマスの前に必ず4回の日曜日がくるように定められていますから、今年は11月28日でした。
(11月30日の「聖アンデレの日」にいちばん近い日曜日が「アドベント第1主日」となる、と定めてあるのだそうです。聖アンデレは、シモン・ペトロの兄弟で、十二使徒の1人で、小アジア~ギリシャに伝道し、アカイアでX型の十字架で刑に処せられたとの伝説を持ちます。以上、八木谷涼子『キリスト教歳時記』平凡社新書Y860 2003による。)

J.S.バッハがこの主日のために2度にわたり、カンタータ「いざ来ませ異邦人の救い主よ」(BWV61、BWV62)を書いたことは有名ですね。

BWV62のほうは1724年12月3日の演奏を目的に書かれたものですから、ライプツィヒ時代の初期の作品です。

BWV61は、ヴァイマール時代の作品としては珍しく自身の手で作曲年が書き込まれている4作の内のひとつで、1714年12月2日に演奏されたものです。ただし、このカンタータの第1曲だけは同年6月17日以前に書かれたと推定されている由(クリストフ・ヴォルフ『ヨハン・ゼバスティアン・バッハ 学識ある音楽家』秋元里予訳、春秋社2004)。この前年か前々年に、彼は1708年から手掛け始めていた「オルガン小曲集」の第1曲(やはり「いざ来ませ異邦人の救い主よ」)を書いています。

ヴァイマール時代のカンタータであるBWV61のほうから、ヴォルフの著書で
「序曲風のコラール編曲といった非常に革新的な作品」
と評価されている第1曲を、カール・リヒター指揮 ミュンヘン・バッハ合唱団および管弦楽団の演奏で聴いておきましょう。(ARCHIV 439 369-2)

大バッハ音楽の演奏はさまざまな変遷を経て(メンデルスゾーンによる『マタイ受難曲』蘇演が大バッハの名を不朽にしたとはいえ、演奏の変遷は鍵盤作品を通して、メンデルスゾーンよりも前から醸成され継続していたものと考えてよいのだろうと思います・・・息子エマヌエル・バッハや弟子キルンベルガーの著述、要約としては小林義武『バッハ 伝承の謎を追う』38-92頁、春秋社1995 を参照)、こんにちではこのリヒターの演奏も、もはや非正当のものとみなされるようになりました。そのいっぽうで何故グールドのバッハが以前もてはやされるのか、私は別にグールド嫌いではありませんが、たいへん訝しく思います(・・・などと言ってしまうのは、クリスマスには似つかわしくないか)。

ステレオ録音がようやく普及し、LPの時代に最も敬愛されたバッハの演奏は、カール・リヒターによる、このようなものだったことを、回顧しておきましょう。
今聴くと、これでも重過ぎるように聞こえるかもしれません。
が、リヒターによる普及がなければ、バッハのカンタータは、その器楽作品や大規模な劇的宗教作品の陰に埋没してマニアだけのものになっていたかも知れない、という点は、(少なくとも日本の)愛好家としては肝に銘じておくべきではないでしょうか。

ただし、念のためですが、その後の考証による良い演奏もどんどん出ています。今後はそちらがいっそう聴かれるようになって行くべきなのではあろうな、と感じております。

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コメント

これまたすばらしい。Morzart, 平曲と併せ、聴講させて下さい。予習もろくにしない、ただぼんやりはいちょうするだけの学生でどうもすみませんが、よろしくお願いいたします。

投稿: 高井 章 | 2010年12月 1日 (水) 02時33分

高井さま、もったいないおことばありがとうございます。
「聴講」だなんて、とんでもありませんで、素人の物好き文ですから(たぶんよそさまには相当マニアックだったり理屈っぽく見えたりしているのではないかと思います・・・自分自身の素の「おキラクな」音楽の聴き方とも実は違っております)、お気軽にお付き合い下さり、お気づきの点は遠慮なくご指摘頂けましたら幸いです。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

御礼遅くなって申し訳ございませんでした。

投稿: ken | 2010年12月 1日 (水) 23時41分

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