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2010年11月 1日 (月)

「日本戦後音楽史」中の伊左治直

11月13日には折返点の第3回となります、大井浩明さん"Portraits of composer"で採り上げる作曲家さんのうち、塩見允枝子さんについて「日本戦後音楽史」(平凡社上下2冊、2007年)にあった記述は前回抜き出しました。

塩見さんのプロフィールと、第3回POCでの演奏曲目については、演奏者大井さんのブログに掲載されていますので、そちらを是非ご覧下さい。

http://ooipiano.exblog.jp/15379131/


Isajialbum今回は伊左治直(いさじ すなお)さんについての記述を抜いておきます。
こうしたまとめの書籍の通例で、中堅・若手のかたに関する記述はそれほど多くない上に、ベテランのかたよりいっそう、他の人たちと並記の状態のままですが、基本情報としては貴重なので、その形態のまま拾い出しておきます。


芥川作曲賞は、新進作曲家に与えることをめざし、公開審査を行うという画期的な賞として始まった。演奏会の当日、演奏が終わったあとに舞台上で行われる公開討議では、多くの場合、選考委員となった作曲家たちが、自身の方法論を語るのと同じ用語で評価理由を語っていく。・・・2000年までに、猿谷紀郎(1960~)、菊池幸夫(1964~)、江村哲二(1960~2007)、伊左治直(1968~)、権代敦彦(1965~)、川島素晴(1972~)、伊藤弘之(1963~)、菱沼尚子(1970~)、望月京(1969~)ら比較的若い世代が受賞した。(下291頁)

第五回芥川作曲賞作品である伊左治直の《畸形の天女/七夕》(1994)は、特殊奏法を多用して装飾的な音型を連ねて進行する。伊左治が委嘱を受けて発表した《美貌の青空----ジャズ・トランペット、テープ、ヴォイスとオーケストラのための》(96)では、作曲者自らがヴォイス・パフォーマーとして上演に参加した。《畸形の天女》やシアターピースである《墜落舞踏演奏会》(97)など、伊左治作品のタイトルは、言葉としての印象が深く、独特のファンタジーを持つが、訓練された演奏家の身体という具現と音の抽象との間に創造的に付けられる結節点がそのファンタジーを基礎づけている。(下292頁)

「冬の劇場」は、「Music Today」の終焉を背景に、杉山洋一、伊左治直、福島康晴、新垣隆という四人の若手作曲家によって92年に開始された。この四人は、前年には、「ABOUT->1965?」と題して、南聡、久木山直を加えた作品展を開催している。「共存の場を創り出す」ことを主眼として、内外の先輩作曲家の新作と自分たちの作品とを同じ土俵に置いて評価しようという積極的な試みを続け、ダンス・パフォーマンスや奏者の歩行など、「劇場」と呼ぶに相応しい視覚要素と型破りな音楽構成で話題を呼んだ。(下308頁)

93年に始まった「現在形の音楽」では、「文化の再構築に挑む」という大きな野心をかざして、伊左治直、川島素晴、田村文生、山口淳、宮木朝子、福井知子、橋本智、土屋雄らが集まり、藤枝守、近藤譲、野平一郎、松平頼暁らに委嘱しつつ新作を発表している。(下309頁)

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