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2010年11月 4日 (木)

松平頼則「近代和声学」(3)目次紹介【第二篇】

大井浩明さん"Portraits of composer"第3回は11月13、いつもの門仲天井ホールにて。リンク先をご覧下さい。
演奏する作曲家さんたちについて、平凡社「日本戦後音楽史」にある記載を下記リンク記事に抜き出しましたので、ご参照頂ければ幸いです。
・塩見允枝子さん http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-b8cc.html
・伊左治直さん  http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-176e.html



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松平頼則『近代和声学』第二篇の目次は、第一篇に比べると地味に見えます。しかしながら実際には内容に立ち入れば斬新な点が多くある点では、第一篇以上です。
発行された昭和三十年頃に、「和声学」を銘打っているわりには338頁の小著に「九の和音」だとか「連結と不規則解決」(連続八度や連続五度を扱っています)、「線的多声法」なる章を設けているのが、似た規模の下総皖一『対位法』ではフーガを取り入れるまでに至らなかったのと対比すると、下総著が独習者の入門書として長く生き残った一方で松平著が消えた理由・・・啓蒙書であるためには難解である・・・を物語っているのではないかという気がします。その難解さは第三章以降の節の名からも充分伺えるのではないかと思います。また、「転調」の章の展開方法が彼独自のものであることも感じ取れるかと思います。「複調」なる話題を積極的に採り上げた本は類書がなかったのではないでしょうか?
また、12音技法についても、節こそ設けていませんが、17頁の紙数の中に、当時としてはおそらく最も早く最も凝縮した情報を盛り込んでいるのではないでしょうか?

松平は、こうした豊かな知識と邦楽への造詣を自身の中で強く結びつけたが故に、晩年までヨーロッパで通用する存在たり得たのでもあろうと感じます。

カタカナ語がフランス風なのも松平らしい特徴です。

第二篇 応用

 第一章 序説

 第二章 種々な和音の構成と建設

 第三章 和声の自由な進行
    第一節 音階上のIIおよびIIIの使用
    第二節 並行進行

 第四章 カダンス

 第五章 七の和音(その発展)
    第一節 準備なき不協和音
    第二節 ”交替”による準備と解決
    第三節 例外的な種々の解決

 第六章 九の和音
    第一節 九度の配置の新しい方法
    第二節 他の種類の九度
    第三節 九の和音の例外解決
    第四章 並行法による九度の連続

 第七章 経過音
    第一節 交替による解決(この節しか存在しない)

 第八章 アポジアチュール

 第九章 保続音

 第十章 連結と不規則解決

 第十一章 不協和音の発展

 第十二章 転調
     第一節 異なる調に属する完全和音によるもの
     第二節 複調又は多調によるもの
     第三節 多様な転調

 第十三章 多声法
     第一節 対位法的手法の発展
     第二節 多声的手法による作品の分析

 第十四章 線的多声法(作品例)

 第十五章 インテルプンクト

 第十六章 ビトナリテーポリトナリテーアトナリテ
     第一節 複調の起源
     第二節 和声的複調
     第三節 対位法的多調
     第四節 アトナリテ

 第十七章 ドデカフォニズム

・・・以上。

ご興味のあるかたはぜひ古書にて検索のうえご入手になってみてはいかがでしょうか?

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