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2010年10月24日 (日)

ど素人 平曲考(1)いりぐち

(1)入口(2)曲節概観(3)琵琶の手(4)平曲の構成(5)口説(6)初重(7)三重(8)中音(9)拾等(10)折声、差声、歌



習える環境にないので、ちと独学、ただし雑学座学に徹しますが。今後お詳しい方による是正等頂ければ大変有り難く存じます。

平家琵琶、平家琵琶、と言われるものに興味を持ってからだいぶたちました。
仙台で育った子供時代、館山甲午という大名人がいらっしゃるので、そのお名前は始終きかされるものの、肝心の平家琵琶なるものは一向に耳にする機会がない・・・なぜそうだったのかは未だに分かりません。
で、館山さんの死後になってようやく、CDとなった(実際には金田一春彦氏の尽力で平成9年にバンダイミュージックからかなりの録音がCDになったそうですが、私は当時それを知りませんでした)館山さんの「祇園精舎」を手に入れて、愕然としました。
平家琵琶、と称されていながら、琵琶なんかほとんど鳴らない。
平家物語を歌うように語る合間に、それは一寸だけぼろん、ぼろんとかき鳴らされるだけなのであって、一聴しただけでは、およそ高い技術なんかいりそうにない。高校時代に原典で通して読んだ最初の古典でもあった『平家物語』の劇的な内容から、私は平家琵琶に勝手に激しい琵琶の音をイメージしていましたので、その点では大いに失望したものでした。
ですが、琵琶の方はともかく、『平家物語』を諄々と歌い語りするその調べには、しっとり、などという言葉では言い切れないほどの「寂び」があり、だんだんそちらのほうに魅かれるようになりました。

平家琵琶、というのは俗称に過ぎない、というのは、後年知りました。
正式には「平家」とだけ言わなければならないのですね。あくまで物語を語るのが主で、琵琶は従なのでした。ただし、それは印象とは違って、そんなに簡単なものではなさそうです。(「平曲」というのはいつ誰が言い出したのか分からないようですね・・・。)

そうしたことを含め、何回かかけて、「平曲」の勉強をして行きたいと思います。

最初ですから簡単に、どなたでもご存知の入口の話だけを、とりあえず綴っておきます。

「平曲」は慈円(新古今和歌集の有名な歌人、歴史書『愚管抄』の著者)が庇護した信濃前司行長(正しくは前下野守であって、慈円の兄で関白だった九条兼実の家司だったらしいとのことです)がまとめた『平家物語』に生仏という僧(綾小路家の出身だった由)が琵琶を手にして節付けしたものが起こりだとは、『徒然草』にあるとおりだ、と考えられています。行長も生仏も当時の音楽の名家出身であったことも、『徒然草』の記述の信憑性を高めているようです。
琵琶は「平曲」の成立当初から使われていたのか、それとも「平曲」はもともと声だけで演じられたのか、が論じられたこともあるようですが、「当初から」であったというのが今日の定説であるかと思います。

「平曲」の語ることばには、平安期までの古態を留めるもの、鎌倉期成立と思われるものが混在しているとのことです。これは勉強の回を少し重ねて行きながら再度触れたいと思います。

「平曲」のうちの8つほどを五線譜に採譜した『採譜本 平曲』(藤井制心著、名古屋市教育委員会・平曲保存会 昭和41年 限定出版)という本があるのですが、その語るところによりますと、「平曲」の節(ふし)は天台声明を下地としてなされたとみなされながら、江戸期に成立した「陰旋法(みやこぶし)」への移行の跡が見られる、との趣旨のようで、このあたりも回をちょっと重ねながら観察したいと思います。

ちなみに、天台声明はこんな感じです。

「平曲」そのものはYouTubeへのアップはないようです。内容に触れる際に、手持ちのものから部分引用で話を進めたいと存じます。
とりあえず、天台声明の響きの感じをご記憶頂けましたら幸いに存じます。

なお、館山甲午氏は、忘れていた「読物」の語り方を、「天台」ではなく「真言声明」の「錫杖」という曲を聴いている時に思い出した、というエピソードがありますので、付言しておきます(金田一春彦『平曲考』あとがき、平成9年、三省堂)。

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