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2010年4月30日 (金)

ショパンはどう弾いたか

深谷明弘さん、野崎浩孝さん「マンドリンDuoコンサート ~青山忠マンドリンDuo曲集4に寄せて~」は、5月9日(日)静岡市みずほ公民館で。14時開演です。


似たタイトルの本がありましたが。

こうした話は、推測は出来ても描ける像には一貫性を求め得ず、結局、正確に明らかに出来るのはショパン本人しかいないのです。

そこで、推測がいかに多様な像を織り成すか、を例示することにしてみます。
時間の関係上、推測の典拠を明示参照できませんので、後日付加し、本日記す内容に誤りが確認出来れば、その際に修正致します。

さて、ショパンは定まったテンポの枠組みの中でルバートを駆使したことが前回のリストらの証言から第一に推測しえるのですが、また別の証言で、彼がペダルを羽ばたくように駆使したこともうかがわれます。
となると、往年の名ピアニストの中で、やはり羽ばたくようなペダル使用をし、かつテンポも安定していて、「伝統の継承者」と讃えられたアルトゥール・ルービンシュタインあたりの演奏が妥当なのではないか、というのが、最初に浮かぶことです。お聴き下さい。

ルービンシュタイン
RCA(品番は今確認出来ず)

タッチのレガートが素晴らしいのですが・・・ショパンは滑るようなタッチをよく使用したことが記譜された運指の研究から明らかになっており、それを考慮すると、ルービンシュタインの運指はあきらかに一音ごとの明瞭さを最重要視しており、この点では実は、ショパンのペダル指示を「クレイジーだ」と評したらしいヴラディミール・ホロヴィッツの演奏の流麗さの方に分があるように感じられてくるのです。

ホロヴィッツ
SONY SICC 1029

さて、しかし、ショパンがテンポの枠を守った音楽観の持ち主だったと信じますと、今度はホロヴィッツの演奏では、その揺れが大き過ぎる気がしてくる。
そこで、ショパンの「精神」をよく理解していたと言われるアルフレッド・コルトーの演奏を持ち出してみますと・・・

コルトー
EMI TOCE-3561

ホロヴィッツの方が、近い。いや、コルトーの方がいっそう大きく揺れているようでさえあります。
この録音では聞き取りにくいのですが、コルトーの奔放さの背景には秘密があります。左手を集中して聴きますと、基本的にバス音の前でペダルを踏み込むかなにかして、バス音を先行して響かせ、そのスピード感で小節中の三拍子の枠を決めてしまい、こちらは右手のようには崩さない。

ディヌ・リパッティの演奏にも、バスに対する同じ姿勢が聞き取れます。

リパッティ
EMI TOCE-14051

ショパンその人は生前
「タッチが弱いのではないか?」
と評されましたから、リパッティのこの演奏は元気が良すぎに聞こえるかも知れません。が、これはリパッティが死期を悟りつつ行なった渾身の演奏だということを勘案すべきかも知れず、また、使用楽器がなんであるかをも考慮する必要があるかも知れません。
コルトーやリパッティ、かつ戻ってお聴き頂けるならホロヴィッツの、バス先行の奏法は、ショパンが自筆ではよく、バス音の前にペダル指示していたことと一致します。

さて、困りました。
今日的感覚ではテンポにより厳格なルービンシュタインが、本当はショパンがしたであろう演奏に最も遠い、なんてことが、あり得るのでしょうか?


oguraooi.jpg 2台のピアノによる「モーツァルトピアノ協奏曲全曲演奏会」第2回が楽しみです。なお、門仲天井ホールで年9月に「松下眞一《スペクトラ》全6曲(歿後20周年)+野村誠」演奏会が行われる模様です。バナーをクリックすると大井浩明氏のブログ記事を閲覧出来ます。 大井さんの新譜(ベートーヴェン:ヴァルトシュタイン・アパッショナータ)、HMVにリンクを貼ってあります。
oguraooi.jpg 日本で本場のカンツォーネを聴かせて下さることにかけてこれ以上の方はいらっしゃらない、青木純さんの今後のスケジュールは、こちらをクリックしてご確認下さい。

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