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2010年4月21日 (水)

マーラーとチェンバロ

昨日記事に掲載した音でチェンバロが使われているせいでしょうか、
「ホントにマーラー編曲?」
とのお声を頂きましたので、これについて渡辺裕『マーラーと世紀末ウィーン』にある記述を引用しておきます。

「・・・編曲作品は彼の演奏活動と作曲活動の結び付きを示す繋ぎ目であるといってもよいだろう。こうした編曲作品の一つにバッハの《管弦楽組曲》の編曲版がある。全部で4曲あるバッハの《管弦楽組曲》のうち第二番と第三番から数曲ずつ集めて編曲を施した『ダイジェスト版』である。/この『ダイジェスト版』バッハをマーラーは1909年11月10日のニューヨーク・フィルの演奏会で初演している・・・(中略)・・・注目すべきことはマーラーがこの演奏に当たってチェンバロらしきものを使用しているということである。」(157頁)

「こんにちの推測ではこれはピアノを改造したもので、ハンマーのところに画鋲のような金属製のものを取り付け、チェンバロの音色に近い金属音を出すようなメカニズムのものと考えられており、その点からいうと『チェンバロ風ピアノ』とでも呼ぶべきものである。・・・(中略)・・・どうも彼にとっては『モダン』なことと『古に倣う』こととが同義で捉えられているようであり、そのことから察するに彼はチェンバロというエキゾチックな楽器を使って『新しい音の世界』を開こうとしたと言う方が当たっているようである。・・・(中略)・・・少なくともこのマーラーの意識は『歴史的復元』を目指す今日のオリジナル楽器運動の意識ではない。」(158〜159頁)

以上からすると、昨日掲載のシャイーの録音の背景に流れるチェンバロは、もっと別の楽器であるべきだったのでしょう。ですが、現在では逆にそうした「チェンバロ風ピアノ」の方が調達しがたいのではあろうと思われます。

シャイーの演奏の再掲
 (マーラー編バッハ)
Riccardo Chailly/Royal Concertgebouw Orchestra DECCA 475 514-2

参考までに、同じ曲のメンゲルベルクに依る録音(1931年)
 (メンゲルベルク編バッハ)
Willem Mengelberg/Concertgebouw Orchestra of Amsterdam NAXOS 8.110880-82


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コメント

こんにちは。

以前、村上春樹の『1Q84』における古楽器CDの扱いについて書いたことがあります。

このほんのBook3でも、ちょっと音楽が出てきます。91頁です。

「老婦人はクラッシック音楽のカセットテープを段ボール箱に詰めて届けてくれた。マーラーの交響曲、ハイドンの室内楽、バッハの鍵盤楽器、様々な種類と形式の音楽が入っていた。彼女が頼んだヤナーチェックの『シンフォニエッタ』もあった」。

私は、マーラーとバッハのチェンバロ曲かよ!とメモしておきました(笑)そして、そのメモを活かす機会が、このブログだったというわけです!

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余談ですが、私は娘に頼まれて浅田舞央の音楽CDを2枚注文しました。その後、「仮面舞踏会」をかなり何度も聞いたようです。なんとなく、村上のヤナーチェックを想起しました。

投稿: shakti | 2010年4月22日 (木) 18時04分

shaktiさん

諸々あり、お返事遅くなってすみません。ごらんの通り記事も新しいものは綴れずにおります。

村上春樹の『1Q84』の該当箇所を探してみたのですが、ざっと立ち読みでは分かりませんでした。村上文学はどうにも苦手で・・・

「仮面舞踏会』は、ハチャトリアンその人が指揮した録音がありますが、お聴きになられました? なかなかに良いですよ!!!

投稿: ken | 2010年4月26日 (月) 00時04分

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