« おさらい〜バッハの創作対象となった舞曲(1) | トップページ | おさらい~バッハの創作対象となった舞曲(3) »

2010年3月 5日 (金)

おさらい~バッハの創作対象となった舞曲(2)

日本で本場のカンツォーネを聴かせて下さることにかけてこれ以上の方はいらっしゃらない、青木純さんの「おすし de イタリア」は、3月12日です。
oguraooi.jpgご予約はお早めに!



F9120周年記念 ナーシャムジカマンドリンコンサート(川口雅行氏を迎えて)は、3月13日(土)静岡市「静岡音楽館AOI」にて。
幅広いレパートリーの音楽をいっときに楽しめるのはマンドリンアンサンブルならではです!

oguraooi.jpg

2台のピアノによる「モーツァルトピアノ協奏曲全曲演奏会」(東京3月18日:小倉貴久子さんと大井浩明さん、京都4月3日・4日:河野美砂子さんと大井浩明さん)詳しくは記事中のリンク先をご覧下さい。バナーをクリックすると大井浩明氏のブログ記事を閲覧出来ます。2月27日の「松下眞一追悼個展」は大好評終了、「暗いとこでダイヤモンドが光ってるみたいにきれい」等の感想が寄せられています。音楽評論家、白石知雄さんが「はてな」でまとめていらっしゃる当日までの経緯、当日の充実ぶりが手に取るような文章で拝読できるのは嬉しいかぎりです。



(1)(2)(3)

前回は列挙だけで終わりましたし、今回も簡単な引用で終わってしまうのですが、主に「パルティータ」で定型的に並べられている舞曲の一般的な説明を見ておきましょう。・・・これは、本来の「舞曲」としての曲の機能を見つめたときには、ものによっては若干、あるいは大幅に変わる、というところに着目しておきたいと思います。そういう点で、まだ音楽鑑賞の前段階の話です。

橋本英二『バロックから初期古典派までの音楽の奏法』に依拠しておきます。

アルマンド:17世紀には器楽用に様式化されて踊らなくなり、やがて遅いアルマンドが代表的なものになった。ゆっくりしたアルマンドの特徴は、4拍子で、前半後半ともほぼ同じ長さの二部形式、アウフタクト始まり。

コレンテとクーラント:イタリアのコレンテは3/4または3/8拍子で敏速軽快、流れるような旋律と比較的単純な伴奏からできている。フランスのクーラントは6/4とか3/2で、テンポはコレンテに比べてずっと遅く、声部の絡み合い、ヘミオラのリズムが特徴。

サラバンド:16世紀にペルシャからスペインに伝わった舞曲。もともとは速いテンポで、身体をくねらす淫らな踊りだったので、スペインでは16世紀に禁止された。17世紀に大陸全般に行き渡り、やがて遅くなって格調の高い舞曲になった。第2拍にアクセントがつくことが多い。

メヌエット:menuは「小さい」という意味で、小さい踊りのステップを表すといわれるが、amener「もってくる、導く」からきたと節もある。起源はフランス西海岸の農村の踊りだったのが1653年にリュリの書いたものをルイ14世が踊ったのがきっかけで大流行した。

ブーレ:オーヴェルニュ(南フランスの中央部)地方のひなびた2拍子の踊り。

ガヴォット:フランス南部のガプの住民を意味するGavotsに由来する中庸のテンポの2拍子舞曲。リュリが普及させた。小節の後半で始まるのが特徴。

ジーガとジーグ:イギリスやアイルランドでjig(蹴る・・・足を跳ね上げる踊り)として流行したのが大陸に渡ってイタリアのジーガ(presto gigue、とても速い三連符のパッセージが低音の上を走り回る)とフランスのジーグ(跳ねかえるような付点リズムが特徴)に分かれた。

(パスピエについては省略)

・・・舞曲の説明は案外曖昧で、踊りのイメージが湧きにくいのですが、2005年の橋本著のこうした説明(だいぶ端折りましたが)でもかなり丁寧な方です。
しかしながら、これは曲の由来についての定説をうまくまとめたものであるとはいえ、曲の例を漁ったり、実際の踊りに即した説明を見ると、やはり「あくまで一つの説」であることが明らかになったり、実用的な知識にはほど遠かったりします。とはいえ、気にしなければ、普通私たちはこれくらいの説明で大満足していたことも否めません。

映像資料も出ていますが、日本語の著作としては、浜中康子『栄華のバロックダンス』(音楽之友社 2001年)が既に、上記のような記述からすると、ステップの図(舞踏譜、浜中氏によればブルボン王朝期のものが350種類程度現存するとのこと)を用いつつ、具体的イメージ、舞曲の種類それぞれの関連性等がもっと輪郭を明確にしています。

浜中著から、上記と同じ舞曲についての背景記述だけを、だいぶ省略しながら見ておきましょう。

アルマンド:16世紀半ば、ドイツやイタリアでは単に舞曲(Tanz)あるいはドイツ風舞曲(Bal todesco)と称されている器楽作品をフランスやオランダでアルマンドとタイトルづけるようになった。器楽の発展とダンスとしての歴史は重なり合う部分が少ない。ルネサンス期の記述では、男女が一列に手をつないでステップを踏みながら前進し、広間の端まで行ったら進行方向を変える、というダンスである。2拍子系の音楽に合わせて左足から3歩進んで4歩目の右足を前方に上げる。17世紀には器楽としてのアルマンドと踊りとしてのそれは分離して行った(バッハのは器楽側)。17世紀、18世紀の振付譜が残っていて、踊りの変貌がたどれるが、軽快なダンスであったことが分かる。

クラント:イタリアのコッレンテとフランスのクラントの分離は17世紀末に分離。元来、いずれも、2拍子系の音楽に【三連音符に合わせて】軽快な跳躍(ホップ)を多く用いたものであった。

サラバンド(フォリア・シャコンヌ・パッサカリア【もとは舞曲ではない】はサラバンドの関連舞曲):起源は16世紀のラテンアメリカやスペインで歌とともに踊られた民族ダンス。スペインで禁じられたときの踊りかたの実態は明らかではない。17世紀初頭にギターやカスタネットで伴奏される音楽とともにイタリアにもたらされた。器楽曲としてはイタリアやフランスでそれぞれ独自に発展した。特にフランスでは、テンポのゆっくりした荘重な雰囲気をもつ舞曲として、元来のスペインのサラバンドとは独自の道を切り開き、ドイツにも影響をもたらした。一方、スペイン、イタリア、イギリスの器楽曲においては速いテンポのサラバンドが主流となっていたが、ダンスとの関わりは明らかではない。サラバンドには特定のサラバンド・ステップというものは存在しない(注記:これはフランスのサラバンドのことを言っています)。3拍子に対応させる場合、(注記:2拍目に相当する)パ・マルシェ【歩み】と(注記:次の1拍目に相当する)プリエ【膝を曲げたポーズ】は途切れることはなく、したがって3拍目はエルヴェ【プリエの状態から膝をのばしたポーズ】からかかとを降ろす柔軟性とスピードをコントロールするテクニックを要する。

メヌエット:宮廷舞踏として洗練される以前のダンスの起源については諸説あるがはっきりしない(注記:実際に、リュリよりも古い作例は存在します)。宮廷舞踏の花形として一世紀以上にもわたり踊られ続けた。劇場用のダンスとしても17世紀に重要な位置をに定着していた。メヌエット・ステップは1種類に限られたものではないが、1回のステップに6拍すなわち2小節を要する点では共通している。(踊りかたやステップについて浜中著には詳細に語られていますが、その部分のまとめはしきれませんので省略します。)

ブレ(リゴドンはブレの関連舞曲):オーヴェルニュ起源説はルソーやラモーに記述されているが、宮廷舞踏とのつながりは明らかではない。音楽は2拍子系で単純明快で、深刻な雰囲気は無い。「ブレは・・・まさに貴族的な生きる喜びを表現している」(M.リトル)。パ・ド・プレ(およびフルレ)という固有のステップがある。フルレは、アウフタクトから1拍目にかけて左足に重心をかけたポーズ【ドゥミ・クペ】をとり、2拍目で2つの歩み【パ・マルシェ】をするもの。

ガヴォット:ルネサンス・ダンスにおいてはブランル(説明省略)の一種として採り上げられているが、楽譜からはバロック舞曲の特徴となるようなアウフタクトでの開始は見られない。ダンスとしても楽曲としても、1720-30年代に流行のピークを迎える。これは貴族達の「パストラル」趣向に関連しており、この趣向は羊飼いたちがバグパイプに合わせて野外で踊る雰囲気を理想化したものであった。特定のガヴォット・ステップは存在しない(コントルタン・ガヴォットというステップは、「ホップ-ステップ-ステップ」)。

ジグ:(要約してしまうと橋本著の説明と大きな差はないため、省略するが・・・また、イタリアのジガは振付けが残っていないため詳細不明だが)器楽曲として、(イタリアの)ジガはヴァイオリン音楽として発展。

・・・以上、拙い要約で恐縮ですが、「どう踊られたか」に即して舞曲を見直したほうが、それぞれの舞曲について体の動くイメージがハッキリしてくるのが分かりますし、このことから、舞曲については単に歴史的な起源を云々しても、曲種の区分は曖昧なまま残ってしまうことにもあらためて気づかされるものだ、と感じております。

では、なぜ、バッハのパルティータのような配列に、あるいはOuvertureのように自由な配列に、これらの舞曲が並べられるようになったのか、というところが疑問として残りますが、これはサロンでの舞踏会のプログラムでも豊富に参照しなければ分からないかもしれません。
ヒントの為にはフランスのバロックオペラを観察するのはいい手段かも知れず、それを試みてみたいと思っております。

・・・時間が取れるかなあ。。。


L4WBanner20080616a.jpg


クラシックCD・書籍検索に便利!バナーをクリックして下さい!


sergejOさんの記事の便利なインデックスも是非ご活用下さい。

|

« おさらい〜バッハの創作対象となった舞曲(1) | トップページ | おさらい~バッハの創作対象となった舞曲(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: おさらい~バッハの創作対象となった舞曲(2):

» ピアノ 引越し [ピアノ 引越し]
ピアノの引っ越しを安く済ませる方法 [続きを読む]

受信: 2010年3月 6日 (土) 12時20分

« おさらい〜バッハの創作対象となった舞曲(1) | トップページ | おさらい~バッハの創作対象となった舞曲(3) »