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2010年3月28日 (日)

音名・階名はじまり話

ギタリストの増井一友さんが、4月11日に世良美術館(阪急御影駅そば)で新作を含む演奏会をなさいます。詳しくはまたご紹介します。
こちらに掲載されています。


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2台のピアノによる「モーツァルトピアノ協奏曲全曲演奏会」(東京終了:小倉貴久子さんと大井浩明さん、京都4月3日・4日:河野美砂子さんと大井浩明さん、各々30名様限定です)詳しくは記事中のリンク先をご覧下さい。バナーをクリックすると大井浩明氏のブログ記事を閲覧出来ます。
大井さんの新譜(ベートーヴェン:ヴァルトシュタイン・アパッショナータ)、HMVにリンクを貼ってあります。


ブラームスは、身内のかたの関心もあんまりお読み下さっているようではないので、全曲分は中止しました。ご関心のある方がいらっしゃれば、なお努めますので御一報下さい。完了次第メール等でお送りいたします。(恐縮ですが所属するアマオケメンバーに限らせて下さいね。)


先日ちょっとお尋ねにあって、曖昧な記憶でしか答えられなくて、手持ちの本をめくりなおしました。
日本音名の方はともかく、西欧関係は日本の人の記述なので、
「いや、ちがうのよ」
ということがあればご教示頂けると有り難いです。
(なお、引用した部分だけだと大事なことが抜けてるんですが、面倒くさくなるから補足しません。)

ティンクトリス「音楽用語定義集」訳書付章第3章から。高野紀子氏筆:中世において、音名をしるすには種々の方法があったが、10世紀には、い音からイ音までの1オクターヴの全音階的各音に、AからGまでのアルファベットの7文字を順に付し・・・(中略)・・・この方法は、クリュイニのオドOdo(942没)の著述に初めてみられる・・・(中略)一方、階名の基礎は中世の修道士グイド・ダレッツオGuido d'Arezzo(995ごろ~1050)によって築かれた。(1975記)

・日本音名のこと:・・・平調等の律名を用うるは、・・・記譜上等に不便少なからざるを以て、本掛(音楽取調掛)に於ては、従来イロハ等の仮字を以て其用に供せり。(明治二十年以前)東洋文庫188「洋楽事始」~57頁

補記をいくつか。

1)音楽取調掛ってのは、東京音楽学校(だっけ)・・・いまの東京芸大の音楽のほうの前身で、明治12年に政府命令で出来た機関です。邦楽の素養がある人をアメリカに派遣して洋楽を勉強させたうえで設立しました。東洋文庫にまとめられた文書(おそらくほんの一部)の中に、古代ギリシアのアポロン讃歌を雅楽譜にしたもの(各楽器別の文字譜)が載っていますから、当時のあちらの音楽学の最新知識までを必死で勉強したものと思われます。当時は、古代の楽譜の解読は、欧米でも特殊なものに属していたかと思います。
(詳しくは千葉優子氏 著「ドレミを選んだ日本人」音楽之友社)

2)僕らの世代の日本の音楽教育は、いわゆる「移動ド」という楽譜の読み方を使いました。シャープがひとつ付いた長調は、「ソ」を「ド」に読み替えるのです。
いつからだったか忘れたのか知らなかったか曖昧なのですが、あるときから「固定ド」という楽譜の読み方で音楽を教えるようになりました。この場合、シャープのひとつ付いた「ト長調」は、ソラシドレミファソ、と読むことになります。
「固定」だの「移動」だのと騒ぐのは、たぶん、日本に独自のことだと思います。専門家さんによる「高尚な」・「難しい」・わけわかんないお話はいっぱいあります。
音名と階名、って、厳密には「考え方」が違う(「音名」は、音の高さの絶対的な位置を「音の絶対的な名前」にしたもの、「階名」は、音の場所が変わっても音の階段幅が変わらない場合の関係を「音の相対的な名前」にしたもの、とでも言ったらいいのでしょうか? 本来は両方使い分けられるといいのでしょう。
イタリアやフランスでは、音名と階名が、いま「階名」として上げたものに一本化されています(いかにもラテン系っぽいです)。これを「誤解」したのが、日本の「固定ド」唱法なのですが・・・日本音楽の音の読み方(中国の音楽の理屈に倣って生まれたもの)は基本的に「音名」しかありませんので、まあ、仕方がない面もあるのかなあ、と思っております。
長調とか短調とか、その「調べ」がどういうものかを身につけるには、古代ギリシア式「音名」よりはラテン語式「階名」が便利ですが、20世紀の中盤以降の音楽には「音名」が便利で、ここの区分が分かっていないで学者さんも作曲家さんも不毛な議論をしている気がします。
本来あるのは「音名唱」か「階名唱」か、と言うことに過ぎないはずです。
いまのイタリアがどうか分からないのですが(お詳しい方がいらっしゃるから今度ご教示を仰ごう・・・)、トージの本をアグリコラが訳した有名な「歌唱芸術の手引き」だと、アグリコラの注釈部分ではなくて、トージその人の本文では、「階名唱」を勧めています。最初の章にこうあります(東川清一氏 訳)。
「§12 ついで教師は生徒に、フラットがいくつも現れる音階も階名唱(solmisiren<-アグリコラの本からの翻訳なのでドイツ語ですが)することを教えよ(以下略)」

関連記事:http://ken-hongou.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_486e_1.html


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