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2010年2月10日 (水)

必聴!「松下眞一追悼個展」(2月27日、京都にて)

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コンサート「麿と素敵で愉快な音楽家さん」は2月7日、満員御礼で大好評終了致しました。画像およびリンクよりレポートをお読み頂けましたら幸いです。



日本で本場のカンツォーネを聴かせて下さることにかけてこれ以上の方はいらっしゃらない、青木純さんの「おすし de イタリア」は、3月12日です。
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2台のピアノによる「モーツァルトピアノ協奏曲全曲演奏会」(東京3月18日:小倉貴久子さんと大井浩明さん、京都4月3日・4日:河野美砂子さんと大井浩明さん)詳しくは記事中のリンク先をご覧下さい。バナーをクリックすると大井浩明氏のブログ記事を閲覧出来ます。
本日記事に致します2月27日の「松下眞一追悼個展」(於:京都)他、今年も瞠目の企画が豊富におありのようです。



以前、故・松下眞一さんというかたについて簡単に記しましたが、それを知るきっかけになったのは、今日ご紹介するこの、大井浩明さん宮本妥子さんのコンサート企画を偶然知ったことです。

*松下眞一:ピアノ独奏のための《スペクトラ》連作の通奏初演
*クセナキスのピアノ曲全曲演奏(クセナキスは松下眞一と同年生まれ、作曲に高等数学を援用)

(図をクリックすると大井氏の本コンサート告知記事を参照できます。)

松下さんは世界的な数学者でありながらまた世界的な作曲家でもあった、希有な存在ですが、死後急速に、一般的には忘れられかけてしまったようです。
それは、松下さんの作品世界が、通常の情緒的な音楽の範疇にはおさまらないものだったからではないか、と私には思われます。現実に、松下さんは同年輩の音楽オンリの専門家の方には理解をされきっていなかったフシがあります。
松下さんがご功績のあった数学・物理学の世界は、松下さんご在世当時の学者さんたちが相対性理論や量子力学について啓蒙活動を精力的に行った成果が近年ようやく出始め、数式不要でも本当に主観的に理解できる書籍がちらほら現れたところです。例として私が読んだものでは橋元淳一郎『時間はなぜ取り戻せないのか』(PHPサイエンス・ワールド新書 2010)がありますが、この本を読んで、私が唯一手に取ることが出来た松下さんの著作『法華経と原子物理学―いのちの力よ、湧きあがれ』 (1979 カッパ・ブックス) の、まだもどかしげな口調が、ようやくスッキリ言い表せるようになったのだなあ、との感慨を持ちました。・・・が、そのことについて語り始めてしまうとあまりに脇道にそれますので、また別の機会があれば、ということに致します。
ただひとつだけ、『時間はなぜ取り戻せないのか』ではこんなことが言われている、すなわち、

「(科学は)主観の問題抜きには宇宙は語れないという日が近づいているのではないか」(p.37)

との視点がベテラン物理学者の口の端に上るようになっている点には注目して頂きたいと存じます。

松下さんは時代的にまだそれが持ち出せなかったばかりに「法華経」を題材に語ったのであり、さらに、これは今なお書物によってだけでは絶対表現できないであろう、「宇宙を観る<主観>」を響きとして造形することに全力を注いだのではなかろうか、というのが私の推測です。
この点では、松下さんの<音楽>は「音楽」という「カテゴリ」におさまらないものとしての取り扱いを受けて来たきらいがあるかも知れません(昨日の記事をご参照下さい)。

そんな松下さんの作品を、中堅の位置を確立しようという音楽家さんが正面からお採り上げになることは、大変な喜びであります。
お近くの方に限らず、京都まで足を伸ばせるすべての方に、ぜひ耳を傾けて頂きたいコンサートです。

前置きが長くなりました。以下、コンサート情報からそのまま転載させて頂きます。



《松下眞一 歿後20周年 追悼演奏会》

2010年2月27日(土)午後6時開演 /午後5時半開場
京都市国際交流会館・イベントホール
(京都市左京区粟田口鳥居町2-1 tel.075-752-3010)
地下鉄東西線「蹴上」駅下車、2番出口から南禅寺方向へ徒歩5分

〈前売〉 学生¥2,000/一般¥3,000 
〈当日〉 学生¥2,500/一般¥3,500(全席自由)
ローソンチケット 0570-084-005 (Lコード 54392)
お問い合わせ アクティブKEI tel:075-255-6586
concert.yoyaku[at]gmail.com
〈助成〉朝日新聞文化財団 関西元気文化圏参加公演

大井浩明(ピアノ)
宮本妥子(打楽器助演※)

●松下眞一: 《可測な時間と位相的時間》(1957-60)
●松下眞一: 《スペクトラ第1番》(1964)
●松下眞一: 《スペクトラ第2番 ~日本神話にもとづく6つの断片》(1967)
  I. オノゴロ島(Île d'Onogaro en ciel)、II. ヨミの国(Le royaume 'Yomi' (sombre royaume))、III. 天照大神とスサノオの尊(La Desse Amaterasu et son frère, Susano-o)、IV. イナバの国の物語(Histoire du royaume d'Inaba)、V. 海幸・山幸の物語(海底の国)(Histoire d'Umisachi et Yamasachi (le royaume sous-marin))、VI. 天孫降臨(Descente des dieux du ciel (Tenson-Kôrin))
●I. クセナキス: 《ヘルマ -記号論的音楽》(1961)
●松下眞一: 《スペクトラ第4番》(1971)

  〈休憩 20分〉

●松下眞一: 《スペクトラ第3番 ~打楽器奏者助演を伴う※》(1970)
●I. クセナキス: 《エヴリアリ》(1973)
●松下眞一: 《スペクトラ第5番 ~図形楽譜による》(1973/世界初演)
●I. クセナキス: 《ミスツ》(1980)
●松下眞一: 《スペクトラ第6番 --d’assez près de poétique (6つのバガテル)》(1984)
  I. 第一プレリュード(Prélude 1)、II. 第二プレリュード(Prélude 2)、III. 過ぎ去りし夏の風のあとに(Après le vent d’été passé)、IV. 深い闇のなかの開裂(Déhiscence dans l’ombre très foncée)、V. 器械体操(Gymnastique à la machine)、VI. モンソー公園の春(Le printemps au Parc Monceau)


松下眞一(松下真一) 1922年10月1日、大阪府茨木市生まれ。旧制第三高等学校(現:京都大学教養)理科を経て九州大学理学部及び同大学大学院修了。理学博士。関数解析学・ポテンシャル論の研究者として国際的に知られる。大阪市立大学助教授を経てハンブルク大学客員教授、同理論物理研究所研究員。理論物理学者パスクアル・ヨルダンとヨルダン代数の共同研究を行う。作曲はほぼ独学であり、幼少時より父・久一より音楽的感化を受ける。1961年5月、第35回ウィーン世界音楽祭より招待(同ISCM:日本代表)。1962年4月、ローマ国際作曲コンクール入選。1965年6月、ザグレブ・ビエンナーレより招待。同年、マドリッド世界音楽祭より招待。1968年5月、スウェーデン国立放送電子スタジオより招聘。世界初のGaborsystemの共同研究。欧米では、ブーレーズ、マタチッチ、ロリオ、サットマリー等により作品が演奏され、また、クセナキス、シュトックハウゼン、ノーノらとも親交を結ぶ。1970年、EXPO’70日本万国博委員。途中、1963年12月より1974年まで国際現代音楽祭「大阪の秋」を創立し常任委員を務める。作曲家としては早くから声明(しょうみょう)や和讚(わさん)に取り組み、東西本願寺・高田派・佛光寺派等の真宗教団連合結成50周年のためのオラトリオ『親鸞』、阿含経(あごんきょう)に基づく交響曲『サムガ』、レコード9枚におよぶ法華経カンタータ《沸陀》などが、晩年の代表作として挙げられる。1990年12月25日歿。本公演は、長らく譜面の所在が不明であった《スペクトラ第5番》世界初演を含む、ピアノ独奏のための《スペクトラ》シリーズの全曲通奏初演であり、また、作曲者歿後20周年にして初の追悼個展となる。



松井卓氏(九州大学数理学研究院教授)によるエッセイ《数学者としての松下眞一》


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