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2010年1月 4日 (月)

「ミクロコスモス」第1巻だけいってみましょ。(いちからピアノ2)

いまさらバイエルでもないでしょ、という話で、じゃあバイエルの代わりになるっていうものはどーなんかいな、どうせなら有名作曲家のものでいっちゃったほうが巷のあれこれで楽しみが失せるより・・・巷の熱心な教本作者さんには大変申し訳ございません、価値を否定するつもりはさらさらありません・・・まあとにかく、最初っから
「あー、おいら、有名作曲家の曲弾いてるー!!!」
っていう過大な自己満足を手にするには最高にいい方法なのではないか。
そんなお話でございます。

で。

Mikrokosmosしょっぱなに見つける教材は、もうネタバレ見え見えの、

・バルトーク「ミクロコスモス」

なのであります。なんと、CDだって出ているような作品です。自己満足にはピッタリです!
しかも、この作品、ケラーという私の知らない偉い人が
「現代音楽の最も適切な教材である」
と誉め、ヴァルター・ヴィオラというひとには
「単にピアノ教育の作品であるばかりでなく、新しい音楽理論の概論でもある」
と言わしめている。

すごそうです!

ちゃんと勉強したいまじめな人向けには、分かりやすいものと、結構本格的なものと、日本人の方が書いた手引書もありますが、これは下のsergejOさんのリンクからアマゾンで探して下されば見つかります。
私の手元にあるものは

フランク・オスカー『バルトーク ミクロコスモスの世界』(原著1977、照澤惟佐子訳 全音楽譜出版社 1993)

という本で、上の賛辞もこの本の序文から引いたものですが、これは『ミクロコスモス』の曲順にはよらず、この<教本>を俯瞰的に読み取ろうとする試みで、全体が弾けるくらいにならないと、ちと難しい・・・ということで、書棚で眠りっぱなしです。

『ミクロコスモス』とにかく、後ろに行けば行くほど難しくなっていきますから、勉強もしながら、というのであればこの本でないほうがいいでしょう。

ミクロコスモスの正式タイトルには、「はじめの第一歩からのピアノ曲集」と付いています。第一歩、とあるからには、最初は易しい。でも、巻が進むにつれて、けっこう急に難しくなっていきます。
欲張らず、このひと月は、第1巻だけやっていく、くらいの気持ちでいいんじゃないかと思います。

私が手にしているのは、ドレミ楽譜出版社のものです。各曲に用いられている「旋法」が、右上にきちんと明示されていて(原典も明示していたはずですが)、弾く上での注意点も「注釈」として要領よく記されているので、独習者にもいいのではないかと感じております。

第1巻は、付属する追加練習を除いて36曲。構成は

1〜 6:6つのユニゾンのメロディ(1には変奏の練習の例あり)
7〜10:付点音符やシンコペーションなど、リズムの変形例
11〜13:ユニゾンではない、手の基本的な動き
14〜17:以上の復習を兼ねたリクレーション
18〜21:4つのユニゾンのメロディ(東欧民謡風)
22〜31:初歩的な対位法書法の演奏練習
32〜36:2声の小曲集

という感じでしょうか。

あらかじめ「調号」の知識があると、『ミクロコスモス』の楽譜は妙なところに調号がある、とお感じになるはずです。位置は巷の普通の楽典のほんとは異なりますが、「普通の位置」が単純に場所を変えているだけのもの(8番)もあります。10番はフラット一つですが、Aを半音下げる位置に付いています。25番はシャープ一つですが、Cを半音あげる位置に付いています。

全体に留意したいことがたくさんあるわけではないのですが、一番大事なのは、スラーでひとまとまりにされたフレーズをきちんとひとまとまりとして弾くこと、かも知れません。それより長くだらだら続けてしまうのは当然だし、それより短いところで区切れてしまうのもよろしくなかろうと思います。

ピアノには弦楽器のようなポジションがある、ということは、あまり意識されていませんが、そういう意味では13番は「キモ」になる曲かもしれません。これを目を閉じて弾けるようになる感覚を味わっておくべきなのではないかと思います。

楽譜を見ていて気が付くのは、曲頭のメトロノーム記号はともかく、どの曲も必ず末尾に奏演奏時間が何秒、と記されていることでしょう。
バルトークは自分の生徒をレッスンするときにストップウォッチを持っていたそうで、「速さ」に厳格だったのですけれど、そんな彼の性格が楽譜に現れているのですね。
ただし、その時間を守るためにメトロノームをカチカチならしっぱなしで練習すると体や気持ちにこわばりが出てくる、という支障を感じるのでしたら(たとえば32番はLentoですが四分音符=104とのメトロノーム記号があります。留意すべきは、この曲は2分の3拍子なので一拍は二分音符=52である、という点です。次の33番に付いても同様のことが言えます)、メトロノームは最初に4回ほど鳴らしてみてスピード感を覚え込んでおいて、あとはメトロノームを止めてお弾きになるのがよろしいのではないでしょうか? ・・・バルトーク先生に叱られるかな?

という次第で、ピアノが弾けない私なんぞのこんなたわごとよりも立派な解説書なんかを片手になさって、まずこの『ミクロコスモス』第1巻をマスターすれば、それであなたは、もう立派に
「おいら、バルトークの曲が弾けるんだぜ!」
と胸を張れる、という次第なのでありました。

またまたお粗末様でした。



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