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2009年12月18日 (金)

彩りを「聴き」、響きを「見る」

Photodraw ずっと以前に色聴の話題を採り上げてみたことがありました。
「(ドレミファソラシドというオクターヴの範囲内で)音が高くなるにつれて、虹の色と対応するように音に色が付いて聞こえる」
というものでした。

これについては心理的な、しかもデータの古い実験しかなく、生理上どのように受容されているかというデータは私は今のところ目にしていません。で、感覚の心理(あまり「学」と付けたくありません)という意味では「共感覚」という、得体の知れない、物理や生理のメカニズムからは根拠の得がたい現象として認識され続けているようです。

まず、色そのものについて、色彩の専門家さんに耳を傾けますと、
「色は目だけで見ているのではなく、肌でも見ている」
とのことで、これは
「同じ室温でも赤い色の部屋にこもると温度が高く感じ、青い色の部屋にこもると温度を低く感じる」
という・・・これはたしかに体のあちらこちらに電極を貼り付けて体温測定をしたサーモグラフィ結果をテレビで放映したりして、ご存知の方も多いかと存じますが・・・そういうことから、色彩というものが眼球だけでなく肌にも感じ取られているひとつの表れとみてとるのが可能な例の一つだとされています。
「いや、そう言っても、色は目で見ているんじゃないの?」
という反論は出来ます。
ここは、さらに反証となるデータがあるのかどうか、知りません。

12406550026401 ですが、目のないトマトで行った、こんな実験があります。
トマトに、白、黒、赤の布をかぶせて育てます。
白布をかぶせたトマトは順調に育ちました。
黒布をかぶせたトマトは枯れました。
赤布をかぶせたトマトは・・・発酵しちゃったそうです!

闘牛の牛さんが興奮するのは赤い布ですが、人間も赤い色には刺激を受けやすいことも上の結果から分かります。・・・なんと、トマトもそうだったわけです。(光の透過云々、というあたりの話があるんですけどやめときます。野村順一『色の秘密』文春文庫PLUS 2005年)

この話が載っている同じ本に、一音一音(データは1905年と1914年のもの)、および「ドミソ(トニカ〜安定)」と「ファラド(サブドミナント〜開放へ)」と「ソシレ(ドミナント〜安定への志向)」の色聴についてエッセイ風に触れられていますが、調の違いをどうとらえたらいいか、短調はどうなるかへの言及はないし、さほど深入りしているわけではないので、そのままとりあげるのはやめましょう。ただし、「ド・ミ・ソは色の三原色に相当している」とか、「ドとファの#は混色して灰色に聞こえる」とか、興味深い記述がある(読みやすさを考慮し出典云々していないのが残念)ので、お目通しいただければ幸いです。

Cry 同じように、この本の記述によると、低音ほど暗く高温ほど明るい、音が硬いほど明るく軟らかいほど暗い、など、「たしかに」と思えることも書いてあります。音の高低・硬軟で受ける色彩感がどう変わるかのデータもあったかと思います。
低い音は、より低い音に引っ張られて暗くなり、高い音は、より高い音に引っ張られて明るくなる、とのこと。

こうしたことから連想されるのは、たとえばヴァーグナー「神々の黄昏」冒頭部分です。はじめの低くうごめく部分は闇に近い青を感じさせますが、次第次第に赤みを帯び、最後は金色に達する。同じく「パルジファル」の聖杯を表す音響部分は、薄暗い橙色が瞬く間に金色に転じていくさまが、トランペットの上昇する旋律とともに鮮やかに浮かんできます。R.シュトラウスの「薔薇の騎士」第2幕は、メタリックな音響で、見事に銀色の色合いを出しているとはお感じになりませんか?
音楽作品の色合いは、クラシックに限らず、さまざまな曲で感じられるものです。
ヨーデルの底抜けの明るさは彩度の高い黄色。
ジャズはやはり、その演奏される場をわざわざ連想しなくても、ワット数の低い白熱灯の薄暗さが煙った空間をぼやけた朱に染めている。
出来のいいPOPは、明るい空色。

2f8d30829067c390 では、絵画作品から音響を感じ取る、というほうはどうでしょうか?

ゴーギャンの鮮烈な色使いは骨太のリズムで私たちの鼓動を高めるように思います。
ゴッホは、それよりやや霞んだ色合いの中に渦が加わることで、脈拍を少し乱させるような気がします。
ピカソにはより不規則な変拍子の音楽を、ルソー作品には低い音調に移し変えられて童心を回顧させらるような、本来は素朴であっただろう調べの大人向け編曲を聞くような印象を受けます。

こうした例は私が私の個人的な感性で上げているだけですけれど、いかがでしょう、ちょっとそういう音楽の「見方」、絵の「聴き方」を試みると、響きと色彩の関連が「聞こえて・見えて」くるのではないでしょうか?

 



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