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2009年11月29日 (日)

マーラー「さすらう若人の歌」から:好きな曲028

トロンボーン・アンサンブル四人組(埼玉県草加市で!)



自分の打ち明け話であるこのカテゴリも、だいぶ間があきました。
サラリーマンになって3年ギャップがあったらヴァイオリンが全く弾けなくなっていた、というお話まででした。・・・そこからどう回復したか(もともと超低レベルだから、超ダメレベルから超低レベルまへの回復はそんなに難しいことではなかったのですが)もそこに綴ったし、そんなにお役に立つ話ではありませんから繰り返しません。

ただ、
「あー、おいらって、超ダメー」
と自覚すると、いいことも待っているのでして、それまで自分の思い入れで曲を弾いたり聴いたりしていた次元から、少しだけ前に進むことができたのかなあ、とは思います。
もちろん、それ以後の道程は、永遠のド素人にはとても長いものなので、人生の半世紀を迎えてもなお、ちーとも分からんことばかりです。
ただ・・・あるかたに言わせればこのブログはマニアックで理屈っぽいとのことですけれど、それはもともと理屈こねてダダこねてストレス解消しているのだから当然なのです、そういうことはいちおう脇においておいて・・・「分からないことは分からない」と虚心に戻るためには、おのれが
「超ダメー」
であることをきちんと認識しておいた方が、音楽が何でも新鮮に聴こえるようになるメリットはあったのではないかと思っています。
そうなってみて初めて、

「音が<語りかけてくる>って、不思議なことだなあ」

なる感慨が、本当に腹の底から湧いて出るようになった気がしています。
その錯覚の延長で、私は今日を生きているのかもしれません。

錯覚を起こさせてくれた作品には、この頃、母校のオーケストラに再参加を許してもらって、いくつか出会いました。

中でも印象的だったのは、今回掲げる、マーラーの「さすらう若人の歌」でした。

演奏するにあたって、いくつかの録音を自分でも探し、人にも聴かせてもらったはずですが、こんなことに驚きを感じました。

すなわち、
「詩のついた歌曲でも、詩の言葉を理解して歌っている人とそうでない人の歌い方は全く違う」
という驚きでした。
マーラーの管弦楽伴奏による歌曲集は、歌詞は全てドイツ語ですが、そのドイツ語を母国語にしている人が歌っても、歌詞を読みとるちからさえない一日本人が聴いて、詩への理解の深さの有無が肌に感じられるほど差がある。

誰の演奏をどのくらい聴いたか記憶していませんが、当時自分で入手して「なるほど」と思わされたCDは今も宝物にして持っていますので、その中から第2曲「露しげき朝の野辺に」をお聴き頂きましょう。

露しげき朝の野辺に
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ラファエル・クーベリック指揮 バイエルン放送交響楽団(1968年12月録音)
Deutsche Grammophon F35G 50132(発売当時のCDのナンバー)

マーラーの歌曲集はそれぞれ作曲時の交響曲と関連が深く、この歌もお聴き頂ければすぐ分かりますように、彼の第1交響曲(「巨人」)第1楽章の主題そのものであり、オーケストレーションも交響曲に継承されています。
ただ、決して試作品だとは私は思っておりません。
第1曲は交響曲に盛り込めなかった、マーラーの原初的なロマンティシズムが溢れていますし(実は私はこの第1曲の方が大好きです)、第3曲はマーラーが実現し得なかった楽劇の世界を、彼が心酔したワーグナーの書法を忠実に模倣し、3分程度の長さの中にコンパクトにまとめ切ったものとなっていて、特異な世界を築き上げています。第4曲(終曲)は再び第1交響曲の緩徐楽章で使われることになるモチーフを中間部に配していますが、交響曲のほうよりずっと短い分、より凝縮された詩世界を描いてみせています。

第2曲の歌詞前半は、次のとおりです。
(前掲CDのブックレットによります。渡辺 護氏 訳、語順若干改変、一ヶ所補足)
後半省略ご容赦下さい。
なお、ウムラオトは、aウムラオト=ae、oウムラオト=oe、uウムラオト=yに置き換えます。
エスツェットはssとします。

Ging heut morgens ybers Feld,
今朝僕が野を行くと
Tau noch auf den Graesern hing;
草にはまだ露が宿り
Sprach zu mir der lustge Fink:
陽気そうなうそどりが話しかけた
"Ei, du! Gelt? Guten Morgen! Ei gelt? Du!
「お早う」と。
Wird's nichit eine shoene Welt? schoene Welt!?
「世の中は素晴らしくなるだろうよ
Zink! Zink! schoen und fling!
 チッチ、美しい世だ
Wie mir doch die Welt gefaellt!"
 私はこの世が大好きだ」

Auch die Glockenblum am Feld
また野の釣鐘草も
Hat mir lustig guter kling
その小さな鐘の音で
Mit dem Gloeckcken kling, kling,
クリン クリン
Ihren Morgengruss geschellt:
朝の挨拶をして 僕を愉快にした。
"Wird's nicht eine schoene Weit? schoene Welt!?
「世の中は素晴らしくなるだろうよ
Kling! Kling schoenes Ding!
 クリン クリン 素晴らしく
Wie mir doch die Welt t gefaellt! Hei-a!"
 僕はこの世が大好きだ」
 
 


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