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2009年9月27日 (日)

オーケストラ映像のどこを見るか:音楽の愛し方 番外2

メンデルスゾーンコーア & ハインリッヒ・シュッツ合唱団によるメンデルゾーン『パウロ』演奏会は10月2日、東京カテドラルにて。


紳士的名ギタリスト増井 一友さんのリサイタル(クラシックギター)は、11/21(土)東京:近江楽堂 5時開演 、11/28(土)大阪:ザ・フェニックスホール 5時開演です。素晴らしい音色をお楽しみ下さい!


赤津眞言さん他「フランス ヴァイオリン音楽の流れ」については、複数日程につき記事にリンクを貼りましたのでそちらをご覧下さい。(後日加筆予定)


3・7・8・9(7から9は当面欠番)
101112131415
番外1 番外2


オーケストラの画像は指揮者が大写しになっているシーンが圧倒的に多いですね。
ですから、映像をご覧になるとき、指揮者の振り方だけを見てしまう、ということのほうが自然でもあり一般的でもあります。

ですが、音楽の映像ですから、耳をも動員して見ているわけで、振り方が見事だと
「おお、この指揮者が音楽を良くコントロールしている!」
で、指揮者がよぼよぼでオーケストラがきれいだと
「指揮者は老いたけれどオーケストラはその意を汲んで素晴らしい演奏をしている!」
という感想になる。

ほとんどの場合、本番の映像しかないから、こうなる。

本番の映像で、指揮者のみのシーン以外に着目するのが、しかし、その演奏の響きがどのようにして作られているのかを知る上では、非常に重要です。
残念ながら、ここの響きが素晴らしい、だから、ここで演奏者のとっている方法を見ておきたい、という箇所でも、必ずしも奏者側は映っていません。
クラシックの場合は、幸いにして同じ作品の映像が数種出ている場合がある。同じ指揮者の元で同じ指揮者が演奏している映像があれば、それを見比べることで演奏者のとっている方法を目撃して納得することも可能です。最近私が見ることの出来た最もいい例は、ギュンター・ヴァント指揮下のNDR(北ドイツ放送交響楽団)によるシューベルト「未完成」の映像ですが、2000年の日本公演では第1楽章の展開部に入るところでコントラバスがクレッシェンドをかけています。2001年のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭でも同じことをしている。後者にはこの箇所のコントラバスが何をやっているかがよく映っていなかったと思うのですが、前者にははっきり映っています。
で、ヴァントの没まで2年未満という時期のものですから、視覚像優先で指揮姿だけを見てしまうと、このときの「未完成」の演奏のテンポの遅さ(第1楽章が16分半)にだけ気をとられがちになり、コントラバスのクレッシェンドとそのあとのトレモロ・・・少なくともひとりの奏者ははじめのうちはトレモロにせず延ばして弾いている、チェロは全員トレモロであるかと見受ける・・・がもたらす重量感をつい聞き落とすことにも繋がります。かつ、
「ヴァントが老けたからテンポが重くなったのだ」
という表面的な判断をしてしまう。
この組み合わせには1995年の映像もありますし、CDも残っているのですが、そちらでは実はこのコントラバスのクレッシェンドやトレモロのトリックは仕掛けていないのです。演奏時間は1分短い15分半ですが、この1分の違いが大きく聞こえるのは、実は「早さ」による要因は少なくて、例えばこの箇所でなされているような「音楽の仕上げかた」の違いに大きな原因があるわけです。
管楽器群、とくに木管楽器が音を繋がって聞こえるようにするためにカンニングブレスをお互いどのように取り合っているかも、この3つの映像を見比べることで、実によく分かります。

一方で、違う指揮者・違うオーケストラでなぜ違う響きがするのか、というときにも、奏者のとっている方法の違いを観察することは大切です。

多くは申しませんが、下の2例を見比べて下さい。
曲がブラームスの交響曲第4番であるために分かりにくいのですが、一方は弦楽器がフレーズの変わり目のたびに弓が弦から「次のフレーズに向かっての運動を伴って」離れるいることが見て取れますし、音楽の始まりの部分で基本的に「弓を弦に<付けて>おいて弾きはじめる」ことはしていません。管楽器群は体と目線でコンタクトをとり合うことで、音楽が一体となるように心掛けていることが分かります。

比較した時、もう一方の「動きのなさ」が自主的なフレージングの生成を伴うものか、コミュニケーションを伴うものか、がはっきり見て取れるはずです。・・・こちらをおとしめたくてこのような比較をしたのではないことは、どうぞ、ご理解下さい。後者の団体をも、指揮している方をも、私は尊敬はして来ております。最初の例に近似した努力をメンバーの皆様が日々なさっていることもきちんと映し出されてはいます。・・・でも、出来ることなら、もう一歩先に進んで下さることが、ファンである私たちにとっても「虚栄ではなく素直に」胸を張れる「洋楽づくり」に向けては絶対に必要意なってくるものであると信じます。

音作りに対する姿勢がどんなものか、を、まず知ることは、指揮のスタイルが素晴らしいかどうかより遥かに重要なのです。それぞれの奏者の体の柔軟度の違い・・・とくに頬から下、首、肩に視点を定めると判別しやすくなります・・・もよくご観察頂ければ幸いに存じます。

指揮者名団体名は、ご覧になれば分かりますので上げません。

1)

2)


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