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2009年8月11日 (火)

My Life, My Music/ Wand(ギュンター・ヴァント、DVD)

大井浩明さん、BSに登場です!下記リンクをクリック、是非お見逃し無く。
8月5日(BS hi)終了・9月15日(BS2)
大井さんのブログでの情報はこちら。http://ooipiano.exblog.jp/11605999/
・・・「フォルテピアノ」について貴重な知見の得られる番組となることでしょう!!!



吉田美里さんリサイタル・・・キャンセル待ちですよー。

サントリー音楽財団創設40周年記念サマーフェスティバル2009は8月21日(金)~31日(月)です!

ドキュメント映像は、集中出来る時間がないと、見るのがなかなか難しいですね。
それでもどうしても、の一心で、ギュンター・ヴァントの最後のインタヴューのDVDを、なんとか2回に分けて、夢中で見ました。

828766388893My Life, My Music RCA 8287663888

「音は人格である」
なる格言を、私の卒業した大学のオーケストラでは先輩連中が連綿と言い続けていましたが、好きな言葉です。
とはいえ、これほど余りに残酷な言葉もないと思っております。

憧れに目をくらまされていれば、音楽などというものは、なんぼでも見かけでごまかされます。
ですから、「音は人格である」なる言葉は、一方では、人気に振り回されて<ニセモノ>(もしそういう演奏があるのであれば)に気がつかないでいる聴き手を軽侮する言葉にもなり得ます。

しかしながら、もっと残酷なのは、弾き手・吹き手・叩き手・歌い手がこの言葉を背負うとき、自分の出す音で彼・彼女の全てが常に他の人たちの前であらわになっているのを、容赦なく思い知らされる厳しさの前に晒されることでしょう。音楽を職業とする人は特に、そんなおのれを真摯に見つめていなければ、自らの敵に回った連中からの非難を毅然と受け止めることが出来ない。受け止められないそこのところが、音楽家としての自己の限界点になってしまう。

インタヴューの中で、温厚なヴァントが唯一怒りで頬を染める場面があります。
彼が生涯にわたり、敢てケルン・ハンブルクといった、20世紀の著名指揮者としては例外と言えるほどに狭い地域にしか本拠を置かなかったことに対する世間の悪口をインタヴュアーに告げられたときです。彼は、自分はアメリカでもイングランドでも自分は存分に活動して来た(その他に日本でも読売日響やN響を指揮しています)、そんなことで後ろ指をさされる覚えはない、何をバカなことを、と語調を荒げます。・・・この怒りは、上に述べた「限界点」を、外部世間が彼の本拠の狭さという極めて物理的なもので計っていることに対する怒りであって・・・ある意味では、コマーシャリズムを拒み続けたことによる「名声」の広がりの遅さ、という彼の急所を突かれたからではあるのです。
ただ、ヴァントは、この場面とはまったく関連のない個所で、彼自身がコマーシャリズムを否定的に評価しているのでして、そうした彼の精神の姿勢をマイナス評価するのは、ヴァントがオーケストラで実現して来た響きの本質を見極めたいとなると、むしろ「急所」をはずしているのだと言うべきでしょう。

シューベルトの「グレート」、ブルックナーの第5といった、現在の私たちがギュンター・ヴァントの十八番(おはこ)だと信じ切っている作品の演奏を、実はヴァントは60歳を過ぎるまで指揮したことがなかった、という驚くべき事実についても、彼はインタヴューの中で、理由を明確にしつつ述べています。曰く、他の指揮者たちの元での演奏をさまざま聴いても、一度も納得がいくことがなかった・・・

「ならば、自分がやってみようではないか」

というのが、常人の口にするところでしょう。
ヴァントは違います。

「これでは、私にはなおさら出来ないと思った」

だから、60歳を過ぎて、まずブルックナーの5番について、ある放送での演奏を要請される・・・一度は断り、一晩逡巡する・・・翌日、おそるおそる、「もう代役は決まりましたか?」と依頼者に電話し、「そんなに簡単に決まるわけがありません」との答えを聞いて初めて引き受ける決意をした、という偶然がなければ、その後私たちが当たり前に聴くことになるブルックナー第5のヴァントによる名演は永遠に生まれなかったかも知れないのです。

「これでは、私にはなおさら出来ないと思った」

とは、なんと恐るべき、深い自己洞察でしょう!!!

その他は見て(インタヴューを聴いて)のお楽しみとなさって下さい。

ボーナスCDが1枚ついていて、ヴァントのエッセンスをゆっくりと耳にすることもできます。

・ベートーヴェン:第4交響曲第1楽章(NDR)
・モーツァルト:ポストホルンセレナーデ第5楽章(同上)
・ブラームス:第1交響曲第2楽章(シカゴ交響楽団)
・シューベルト:「グレート」終楽章(ケルン放送響)
・ブルックナー:第9交響曲第1楽章(ハース版、ベルリンフィル)

「音楽が音楽そのものとしてある。それが私の理想です。解釈が聴こえたとたん、それはニセモノになる」

CDに収録された音楽も、彼のこのモットーを遺憾なく聴かせてくれる、ひとつの「理想の音楽」です。


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sergejOさんの記事の便利なインデックスも是非ご活用下さい。

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コメント

ああうれしい。僕はヴァントが大好きなのです。

投稿: とん | 2009年8月18日 (火) 06時48分

とんさん、ありがとうございます!

いちばん嬉しいお言葉です!!!

投稿: ken | 2009年8月19日 (水) 22時49分

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