モーツァルトのフォルテピアノ:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【2】
蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル
(バロックリュート&バロックヴァイオリン、ケルン在住)、是非お出掛け下さい。
千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。
総合連絡先:スパティウム・ハルモニエ(電話050-5539-8845、mail:duo@angel.nifty.jp
HP:http://abe.hasumi.de/
〜若き天才作曲家が世に問うた「作品1」〜
《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》
(護国寺:同仁キリスト教会にて、18時開演)はリンク先(←ここをクリック!)、この演奏会への私の期待については「サヨナラ『古楽』」をご覧下さい。
連絡先:オフィス・アドック(電話:050-5532-5562、mail:office.adhoc@gmail.com)
blog:http://ooipiano.exblog.jp/11686543/
吉田美里さんヴァイオリンリサイタル
・7月25日(土)ペンション・モーツァルト (山中湖) 残あり。
※8月22日(土)14:30〜 荻窪:衎芸館(かんげいかん)・・・は満席となりましたそうです!
プログラム等は、こちらをご参照下さい。
実は、蓮見さん阿部さんのデュオコンサートの方には「リュートだけで通奏低音を演奏することによる新鮮さ」という大きな目玉がありますし、その曲目についても、私の僅かな理解から、とくにリュートについてはもっとご紹介しなければならないことがあると思っております。 ですが、これは、あと少しだけご猶予下さい。・・・それでも残念ながら理解は仕切れないのですが。
同じく、理解しているとは到底言えないのですが、昨日、演奏者である大井さんがBS hiに出演することについてお知らせした兼ね合いもあり、阿部さんと大井さんでモーツァルトのソナタを演奏する際に使用されるフォルテピアノのほうについて、もうちょっとだけご紹介をしておきたいと思います。
何度か繰り返して来ましたが、7月25日の阿部さん大井さんの演奏会で使用されるフォルテピアノは「アンドレアス・シュタインモデル」です。
なぜそれが選択されたか、は、きわめて重要です。
なぜなら、こんにち録音で、あるいは実演で、モーツァルト時代の響きを味わってみようとする際に用いられるのは、圧倒的に「ヴァルター型」のフォルテピアノが多いのですけれど、これでは明らかに音色が違うのです。
それをお伝えしたいがために、音色が比べられるサンプルを探しておりましたが、こんなものでどうだろうか、というのを見つけましたので、ちょっとお聴き下さい。「キラキラ星変奏曲」の最初の部分です。
・先に、ヴァルターモデル(1795年原型のものの復元)の音。
Bart van Oort (Briliant 93025)現在入手不可
・上を聴いてから比べてみて下さい。シュタインモデル(1788年の晩年型の復元)の音
Jos van Immerseel (ACCENT ACC 10018)
比べてみる前はヴァルター型もモダンピアノとは違った音に聴こえたかも知れません。
シュタインモデルの音を聴いてから、もう一度ヴァルター型に耳を傾けて下さい。・・・ずいぶんと、モダンピアノと差異が少ないように聴こえてくるはずです。
ここが、ミソです。
モーツァルト自身がヴァルター型のフォルテピアノに出会ったのはウィーン時代(1782)以降であると思われ、この時期、ヴァルター型自身がまだ完成の域には達していなかったと思われます。かつ、のちにベートーヴェンが
「モーツァルトのピアノ奏法は音が切れ過ぎる」
と言ったとされている(ベートーヴェンはレガートを好んだそうです、ロビンズ・ランドン『モーツァルト』石井宏訳、中公新書1103 p.60)ことを考慮すると、ヴァルター型はシュタイン型に比べて、スタカートよりレガートに向いていることは、上の音のサンプルからも明らかです。・・・ということは、ベートーヴェンの証言を考慮すると、シュタイン型こそがモーツァルトのフォルテ作品にはふさわしい、といえるのではないでしょうか?
同じ書に、ハイドンが、ヴァルターのピアノは(値段が高すぎる上に)タッチが重過ぎる、と思っていた旨も記されています(同書p.61)。
モーツァルト自身が、シュタインのピアノを誉めて手紙に綴った文もまた、有名です。
「・・・今はシュタインの方が好きです。というのは・・・音を止めるのが速いからです。強い音を叩いたあと、鍵盤に指をつけたままでも、放しても良いのですが、放せばその瞬間に音は止まります。どんなふうなやり方で鍵に触っても、音は均等に出ます。音は軋まず、強過ぎたり、弱過ぎたり、出なかったりするようなことはありません。要するにいつも同じなのです。」(以下略、同書p.58)
アンドレアス・シュタイン(1728-1792)はアウグスブルクの優れた鍵盤楽器製作者ですが、彼はまず1748-9年頃、ヨハン・アンドレアス・ジルバーマンの元で修行し、1751年に死去したヨハン・クリストフ・レオの工房を引き継いでオルガン製作者として独立し、以後、クラヴィコード(モーツァルトの父レオポルトはその1台を1763年に購入して7歳のヴォルフガングに弾かせています)、フォルテピアノ製作に手を染めています。彼のメカニカルな知識、それにまさるとも劣らない音楽センスは非常に定評のあるものであったらしく、彼の手になるフォルテピアノの安定した質感はモーツァルトが生涯にわたって愛し続けたものと考えて間違いなく、したがって、モーツァルトの「フォルテピアノ」作品は、ヴァルター型よりもアンドレアス・シュタイン型で演奏されることによって、よりモーツァルトの「アイディア」に近づいた音楽が私たちの耳に届くのである、と、信じて疑いません。
| 固定リンク


















コメント