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2009年7月 9日 (木)

クリスチナのアカデミー:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【4】

Yamatouchiharu蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル
(バロックリュート&バロックヴァイオリン、ケルン在住)、是非お出掛け下さい。

千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。

総合連絡先:スパティウム・ハルモニエ(電話050-5539-8845、mail:duo@angel.nifty.jp

HP:http://abe.hasumi.de/



〜若き天才作曲家が世に問うた「作品1」〜

《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》

(護国寺:同仁キリスト教会にて、18時開演)はリンク先(←ここをクリック!)、この演奏会への私の期待については「サヨナラ『古楽』」をご覧下さい。

連絡先:オフィス・アドック(電話:050-5532-5562、mail:office.adhoc@gmail.com

blog:http://ooipiano.exblog.jp/11686543/

吉田美里さんヴァイオリンリサイタル

・7月25日(土)ペンション・モーツァルト (山中湖) 残あり。

※8月22日(土)14:30〜  荻窪:衎芸館(かんげいかん)・・・は満席となりましたそうです!

プログラム等は、こちらをご参照下さい。

阿部さん蓮見さんの選曲は、後半はドイツのビーバー、ロイスナーで固めていて、作品自体も大変に興味深いものであることが特徴の一つです。

Kristina特徴のもう一つは、ヘンデルをも含んでいますけれど、このことも併せて、コレッリ繋がりの、日本ではまだまだなじみの薄い、しかし同時代を生きて美しい音楽を残した、ローマの作曲家たちを取り上げていることです。

ヘンデルに関してだけは時期的にコレッリ以外との直接の接点はありません。

ですが、他の3人は、コレッリを、というよりはむしろ、1668年にスウェーデン王位を投げ捨ててローマに定住したクリスチナ女王の別荘(じゃなくてローマ本宅、ということになるのでしょうね)で活躍したことによる繋がりを表看板として捉えるべきでしょう。

クリスチナは祖国で女王位にある間はデカルトら当時の先進的な哲学者・思想家の庇護者として高名でした。
ですが、英雄的な行動で有名だった父グスタフ2世アドルフの死後に即位(1632)し、44年から親政を行うようになって以降は、祖国のやや偏向的なプロテスタント指向に嫌気がさし、もともとカトリックとプロテスタントの融和こそが平和につながるとの信念も持っていたことから、既に将来の退位を念頭において行動し続けたようです。
クリスチナは1674年、定住するようになったローマにアカデミアを創設、白羽の矢を立てられてこのアカデミアの音楽を美しく飾ったのがストラデッラ(アレッサンドロ、1644-1682)でした。彼のどれだけ後輩かは分かりませんが、コレッリも同じくクリスチナのアカデミアで活躍しており、ストラデッラとは顔なじみだったといわれています(コレッリはストラデッラの9歳年下なので、ストラデッラの行状から考えると、そんなによく知り合っているというほどだったとは思えませんが)。ただし、今回はコレッリについては、ひとまず措きます。

さて、ストラデッラというひと、作品は天国的な響きのものばかりを残したものの、案外ワルでして、ローマで悪友とともに公金を着服し、それがバレて放浪生活を送ることになり、いったんはローマに戻ったらしいものの1777年以降はヴェネツィアで某貴族の愛人といい仲になったのを恨まれ、ジェノヴァに逃亡しますが、とうとうその貴族の放った刺客に見つかって殺されたのでした。(この逸話は1844年にドイツの作曲家フロトーの手でオペラに仕立てられ、彼の名前はいまだに、彼自身の作品よりもオペラの物語のほうで知れ渡っているありさまです。)
今耳にすることの出来る作品数は少ないとされ、これは上のような事情で彼の生涯が短かったからだといわれていますが、そうではないでしょう。
音楽は、イタリアでは上演ごとに回収し、作品内容がライヴァルたちにばれないようにするのが常態だったらしく、そうした慣行が、ストラデッラの現存作品を少なくする要因になったのではないか、と私などは思うのですが、どうなのでしょうか?(ちなみに、モンテヴェルディの現存する三大歌劇のうち、イタリアで出版されたがために楽譜がきちんと残った「オルフェオ」を除く2作は、いずれも後年ドイツ語圏で筆者譜によって発見されたがゆえに日の目を見たものです。)

で、話はまた遡りますが、ストラデッラがローマで公金を着服したときの相棒が、これまた今回のプログラムで作品が取り上げられるロナーティ(カルロ・アンブロジオ、1645-1710?15?)です。1歳年下なのでストラデッラにうまいこと丸め込まれたのか、それともロナーティのほうもワルだったのか、は、分かりません。
ナポリの出身でしたが、やはりクリスチナのアカデミアに参加し、後年はジェノヴァで活躍しました。彼の作風は、ワルだった前歴に似合わず(?)晴朗そのものです。のちにはコレッリに頼み込まれて、その優秀な弟子ジェミニアーニの教育を引き受けており、ヴァイオリン奏者として優れた存在であったことが伺われます。また、ヴェラチーニも彼の弟子です(日本語版Wikipediaにはその旨の記載がありません)。
悪友ストラデッラが合奏協奏曲の分野で後年に強い影響を与えたといわれている一方で、ロナーティのほうはヴァイオリンソナタやトリオソナタの方面の開拓者だったとされています。

ストラデッラ、ロナーティは、ヴァイオリン音楽の歴史の上で非常に意義深い存在だったにもかかわらず、その作品は(特に日本では、なのでしょうか)私たちはあまり耳にする機会がありません。

ヴァイオリン音楽ファンに限らず、バロックファンを自認なさる方には、是非お聴き逃しがないよう、阿部さん・蓮見さんの、最寄地域でのデュオコンサートにお出かけ頂ければ、大変うれしく存じます。

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