« モーツァルトのフォルテピアノ:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【2】 | トップページ | クリスチナのアカデミー:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【4】 »

2009年7月 7日 (火)

ビーバー「描写ソナタ」とパッサカリア:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【3】

Yamatouchiharu蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル
(バロックリュート&バロックヴァイオリン、ケルン在住)、是非お出掛け下さい。

千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。

総合連絡先:スパティウム・ハルモニエ(電話050-5539-8845、mail:duo@angel.nifty.jp

HP:http://abe.hasumi.de/



〜若き天才作曲家が世に問うた「作品1」〜

《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》

(護国寺:同仁キリスト教会にて、18時開演)はリンク先(←ここをクリック!)、この演奏会への私の期待については「サヨナラ『古楽』」をご覧下さい。

連絡先:オフィス・アドック(電話:050-5532-5562、mail:office.adhoc@gmail.com

blog:http://ooipiano.exblog.jp/11686543/

吉田美里さんヴァイオリンリサイタル

・7月25日(土)ペンション・モーツァルト (山中湖) 残あり。

※8月22日(土)14:30〜  荻窪:衎芸館(かんげいかん)・・・は満席となりましたそうです!

プログラム等は、こちらをご参照下さい。

12日の千歳を皮切りに始まる蓮見さん・阿部さんのデュオコンサートも、おたおたしている間に、あと1週間に迫りました。
この際、皮相に走ることを恐れず、どんどん進めなければなりません。

ストラデッラ・ロナーティ・コレッリ・ヘンデルといったイタリア一派(ヘンデルも含めてしまいます!)は次回としまして、まず、ハインリッヒ・イグナーツ・フランツ・フォン・ビーバー(1644-1704)について手短に触れます。(名前に、Wikipediaへのリンクを貼りました。)

Biber
ボヘミア出身で後年ザルツブルクで活躍したビーバーは、ヴァイオリンを現在の一定した調弦(E-A-D-G)ではなく、D-A-E-AとかA-E-A-Dといった、いわゆる「スコルダトゥーラ調弦」という方法で用いた人物として有名ですが、なぜ彼がスコルダトゥーラにこだわったのかについては、読んだ限りの日本語の文献からは明らかになりませんでした。
しかしながら、ビーバーの活躍した時期以降影を隠して行く独奏楽器としてのリュートが、これまた様々な調弦方法を採っていたことが明らかになっており、恐らくはその延長線上にビーバーの発想が生まれたのではないだろうか、というのが、いつもながらの私の勝手な推測です。・・・これはまた、蓮見さんや阿部さんにじっくりレクチャーしてもらいましょう。
(ちなみに、スコルダトゥーラを前提に記譜された楽譜は、オリジナル手槁譜もしくは印刷譜ではそのまま素直に読むと音を間違えることになり、読譜に当たっては訓練が必要です。)

ビーバーに先行するリュート音楽家たちは、ロイスナーにしても、先日垣間見たソナタ群の他に、「音楽による食卓の楽しみ(1668)」やアレゴリーを用いた作品「新しいリュートの果実(1668)」などを創作しており、ビーバーにはこうしたジャンルに対応するものとしてやはり「響く食卓(1680)」や、「ソナタ・レプレンタティーヴァ(描写ソナタ)」を作っています。少なくともジャンル面では、一線から身を引きつつあったリュート音楽の系譜は、ビーバーのヴァイオリン音楽に引き継がれていることが、これらの事実から明白になります。(参考:佐藤望『ドイツ・バロック器楽論』慶応義塾大学出版会 2005)言うまでもなく、こうしたバロック的なジャンルは、演奏する楽器こそ擦弦楽器とチェンバロに変貌して行くものの、テレマンらによって脈々と受け継がれています。

では、奏法面ではどうか、と言いますと、先のスコルダトゥーラにしてもリュートによる繊細な調弦の探求の延長線上にあると見てよいような気がしますし、後のバッハの無伴奏作品、とくにパルティータの方となると、ロイスナーの時代にはドイツでも枠組みが出来上がっていた舞曲による組曲の伝統をそのまま引き継いでいます。

今回のプログラムの中で演奏されるビーバーのパッサカリアも無伴奏ヴァイオリンのための作品ですが、擦弦楽器ならではの伸びやかな音を生かしながらも、装飾においては先輩作曲家たちによるリュート奏法の伝統に沿ったものとなっているように、私には思われます。


もうひとつ取り上げられる

"Sonata Representativa"

は、なぜ日本では演奏機会が稀なのだろう、と残念に思ってしまうくらい愉快な作品です。

このソナタについては、

http://imslp.org/wiki/Sonata_violino_solo_representativa_(Biber%2C_Heinrich_Ignaz_Franz_von)

から楽譜をダウンロード出来ますので、眺めてみて下さい。

Allegroの晴れやかな前奏のあと。ナイチンゲールが鳴き出し、カッコーはさえずりながら跳ね回り、カエルがゲコゲコとやりだし、ニワトリどもがウロチョロし、フクロウが「まあ、おちつけ」とやるところへ狩人が飛び込んでくるという、ヴァイオリニストにとっても、その伴奏者にとっても、コメディアン根性丸出しでないとちょっと太刀打ち出来ない冗談音楽で、阿部・蓮見ペアの<吉本新喜劇デヴュー>にふさわしい作品ではなかろうかと感じております。(あ、怒られる!)

是非、お楽しみあれ。

|

« モーツァルトのフォルテピアノ:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【2】 | トップページ | クリスチナのアカデミー:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【4】 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ビーバー「描写ソナタ」とパッサカリア:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【3】:

« モーツァルトのフォルテピアノ:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【2】 | トップページ | クリスチナのアカデミー:蓮見さん・阿部さん・大井さん演奏曲目関係【4】 »