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2009年6月14日 (日)

フォルテピアノ(シュタインモデル)のこと

Yamatouchiharu蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル(バロックリュート&バロックヴァイオリン、ケルン在住)是非お出掛け下さい。

千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。

総合連絡先:スパティウム・ハルモニエ(電話050-5539-8845、mail:duo@angel.nifty.jp

HP:http://abe.hasumi.de/



阿部千春さんとフォルテピアノ奏者大井浩明さん共演のリサイタル(7月25日)

~若き天才作曲家が世に問うた「作品1」~

《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》

(護国寺:同仁キリスト教会にて、18時開演)はリンク先、この演奏会への私の期待については「サヨナラ『古楽』」をご覧下さい。

連絡先:オフィス・アドック(電話:050-5532-5562、mail:office.adhoc@gmail.com

blog:http://ooipiano.exblog.jp/11686543/

吉田美里さんヴァイオリンリサイタル

・7月25日(土)ペンション・モーツァルト (山中湖)

・8月22日(土)14:30〜  荻窪:衎芸館(かんげいかん)です!

プログラム等は、こちらをご参照下さい。

アマチュアオーケストラ、東京ムジークフロー定期演奏会は6月28日(日)です。

ピースフル・コンサート越谷 ’09は、8月5日です。

・・・さて、ドカーンとオリジナル楽器(ピリオド楽器、もしくはバロック的ないしはクラシカルな状態で調整されたり作成・複製されたりした楽器)の演奏会をズウズウしくご紹介して来たくせに、私はじつはこれらの楽器についてほとんど何も知りません。
手に入りやすい本で確認するしか方法がなく、とくに、リュートについては全くお手上げ状態です。
ヴァイオリンについても、古い楽器は19世紀から20世紀にかけて改造されたものがほとんどのようですが、何をなんのために改造したのか、になると、頼りになるような書籍はアマチュアにはほとんど入手不可能に近い状態です(以前はもっとあった気がするのですが)。
フォルテピアノについては、日本語の手軽な文献が、いちばん手に入りやすい。ですが、じかに触ったことがなかったり覗いたことがなかったりすると、ほとんどチンプンカンプンと言ってよい。

そんなおぼつかない状況ではありますが、自分の予習のためにも、それぞれの楽器について最少限のまとめをしておきたいと思います。

いずれも、さらっと流します。



Steinいちばん書籍の豊富なフォルテピアノを、7月25日(18時開演)に護国寺・同仁キリスト教会で大井浩明さんがお弾きになるシュタインモデルの位置づけを確認するところから始めてみます。(写真は名古屋市の音楽教室 テメラネンテさん所有のシュタインモデル。大井さんの使用楽器は梅岡楽器さんのご提供によるものとなります。)

フォルテピアノという楽器が発明された経緯、その仕組みについては、いくつかの書籍を末尾に上げますので、ご興味のある方はお目通し下さい。

簡単に追っかけておきますと、現在のいわゆる「ピアノ」に繋がるこの楽器は、フィレンツェの楽器制作者、クリストフォリが17世紀最末から18世紀初頭にかけて発明したクラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(弱音と強音を持つチェンバロ)に端を発し、大バッハの生前にドイツでその改良型の制作に心血を注いだゴットフリート・ジルバーマンが実質的にそれを受け継ぎ、その甥の工房で学んだアウグスブルクの制作者ヨハン・アンドレアス・シュタインが、さらに良質のものを作ったところをモーツァルトが気に入ったりしつつ、ウィーンのアントン・ヴァルター、シュトライヒャーなどといった制作家によって18世紀中にどんどんとメカニズムの工夫が重ねられていったものです。
他に、イギリス・フランスでの、また独自の発展がありましたし、19世紀にはまずイギリスのメカニズム(現在の足ペダルに繋がるもの)が各地に取り入れられ、さらにフランスのエラールやプレイエルといった一流どころの職人が現れるなどの動きがあって、だんだんに整理された結果、今日見るようなピアノになって行ったのですが、それについては省略します。

ヴァルターの楽器はウィーン定住後のモーツァルト、ベートーヴェンが愛用しました。
ですので、モーツァルトのピアノ音楽の録音にも、ヴァルターモデルを用いているものが多いように感じております(オランダの演奏家、Bart van Oortによるモーツァルトのピアノ作品全集 Briliant 93025 は、1795年頃作られたと思われるヴァルターのフォルテピアノを模した楽器を用いて録音されています)。ウィーン系のフォルテピアノは、ヴァルターの楽器をもとに復元されているものが圧倒的に多いそうです。

ですが、7月25日に大井さんがシュタインモデルを弾くことに執念を感じているのは、演目がモーツァルトのパリでの出版作であること(作品1とされた一連のヴァイオリンソナタ K.301〜306)であることと深い関係があります。この作品集は1778年のものであり、モーツァルトのウィーン移住の4年前に出版されているのです。
(ついでながら、K.301ト長調、K.304ホ短調は、どなたも耳になさったことがあるメロディが登場しますし、他の4曲も、お聴きになると「ああ、この曲だったのか!」とお思いになるのことと存じます。)

あくまで録音を通しての印象ですが、シュタインの楽器は、より近代化へと歩を進めたヴァルターの楽器よりも柔らかめである気が、私にはします。

この時期のドイツ・オーストリア系フォルテピアノの機構として興味深いのは、現在の足ペダルに当たるものは、鍵盤の箱の下についた、膝で操作するレバーであることです。
これをどのように操作しながら演奏するのか、は、視覚的な見ものになることと思います。

こんな感じ。↓

Lever
(曲がっててすみません。小倉貴久子さん「カラー図解 ピアノの歴史」河出書房新社から)

ただし、やっぱり、演奏会は音楽そのものに没入して利くのが本筋だと思いますけれど。

鍵盤楽器、とくにフォルテピアノの演奏を聴く際にいちばん面白いのは、演奏家さんによって、当時の調律の多様さを窺わせてくれる、さまざまな「聞こえかた」をする方法を採っているのがはっきり分かることでして、平均率にならされた耳には最初は衝撃的かもしれませんが、「音に対する感受性」の個性も味わうことが出来るのが最大のメリットかと思われます。

私はそこいらへんの詳しい知識がありませんが、このあたりも存分に楽しみたいと思っております。

フォルテピアノについてはこんなところで。

参考となる本は、以下のとおりです。
・小倉貴久子「カラー図解 ピアノの歴史」(河出書房新社 2009)
・伊東信宏編「ピアノはいつピアノになったか」(大阪大学出版会 2007)
・西口磯春・森太郎「もっと知りたいピアノのしくみ」(音楽之友社 2005)
最初の2冊にはCDがついていますが、残念ながらシュタインモデルの音は収録されていません。伊東氏編のCDほうに現れる「シュタイン」は、19世紀に入ってからの子孫の方です。
最後の本はもっぱらモダンピアノに関するものですが、調律の考え方を分かりやすく教えてくれます。



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