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2009年6月 8日 (月)

音楽を笑うな

Yamatouchiharuケルンで活躍中の蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル(リュート&バロックヴァイオリン)、是非お出掛け下さい。

千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。



阿部千春さんとフォルテピアノ奏者大井浩明さん(Wikipedia記事にリンクしています)と共演のリサイタル
~若き天才作曲家が世に問うた「作品1」~
《モーツァルト:パリ・ソナタ集 作品1(全六曲)K.301-306》
(護国寺:同仁キリスト教会にて、18時開演)
はリンク先、この演奏会への私の期待については「サヨナラ『古楽』」をご覧下さい。

アマチュアオーケストラ、東京ムジークフロー定期演奏会は6月28日(日)です。


ピースフル・コンサート越谷 ’09は、8月5日です。

上記は全て、私もチケットを取扱いをさせて頂きます(うち二つは私から勝手にお願いをしたものです)。アクセスカウンター下の「メール送信」から、お便り下さいませ。



ピアノフォルテ、バロックヴァイオリン、リュートという楽器についての話からいこうか、と思っていましたが、私自身が貧弱な知識しかないので、徐々に参ります。

クラシックに限っちゃったブログ、っていうのは、不自由なもんだなと思っています。
ですが、自分がのめり込んだ音楽の種類がクラシックであって、他の種類にも好きなものがあるのに中身がわからない、という、これは私のほうの限界があります。
まあ、クラシックだって、そんなに知っているわけじゃない。だから、勉強ついででやって来たのです。
ですから、クラシックをダシに、の延長線で綴って行きます。

実は、他の種類の音楽についても同じ思いを持っているのですが、とにかく、音楽書籍の不毛を感じるのです。
私だけでしょうか?
ジャズ入門を読んでもジャズは分からないし、ロック入門を読んでもロックは分かりません。なんと、日本純正の民謡・お囃子なんかになると、本もまともに存在しません。
本棚に贅沢を言っても仕方がないのかもしれません。
今は録音がCDで豊富に手に入る時代ですから、
「CDをたくさん聴けよ!」
ということになっているのかもしれません。そして今では、日本語で書かれた、おおかたの音楽の本が、CDを聴くことを前提にしています。

ですが、どんな音楽でも、CDを入り口にしてCDだけで知ってしまうのは、大変によろしくないと思うのです。
クラシックの笑い話で、まだLPレコードの時期のものですが、こんなのがあるのは有名ですね。

ある「有名で上手い」オーケストラのコンサートを生まれて初めて聴いた、レコードマニアの感想。
「なんだ、録音の方が、よっぽど良かった!」

・・・音楽の表づらだけなら、録音は1950年代には様々な編集が可能になっていて、スタジオものなら音の一部差し替えも出来れば、音程がずれてしまった部分は音程を前後に合わせて矯正できるようにもなっておりました。トラブルのない、きれいにお化粧済みの音楽を聴くなら、録音が最良の手段なのです。

でも、音楽のメッセージは、録音では絶対に、完全に伝わりません。

演奏者の体の使い方を見ることから、私たちは音楽の言葉についての情報を補完することができます。逆に、それを見ることをある程度積み重ねなければ、音楽のメッセージがどう演奏されるか、について私たちは永遠に知ることができません。これは、どんな種類のものでもそうです。

「じゃあ、いまはDVDがあるから、わざわざ見に行かなくたって・・・いや、むしろDVDとかのほうが、細かいところまで見えていいんじゃないの?」

となると、これもそう簡単にはいかないんじゃないかと思います。
ロックの、ジャズの、あのライヴの感触を本当に体で知るまでは、映像で知ることが出来るのは
「アバウトこんな感じやねん」
というところまでに留まります。ロックのけたたましさの中に恍惚を得られるあの感触は、お金をかけてホームシアターなんか作ったって絶対再現できません。何故なら、あの熱狂に身を委ねる時に不可欠な、お隣の熱狂さんが、ホームシアターにはいないからです。ジャズの自在な伸縮に静かに身を委ねることだってそうです。タバコを吸わない人、人の体から発してくる酔いの生暖かさが嫌いな方はホームシアターのほうがいいのかも知れない。でも、ジャズの自在さを支えるのは、その瞬間瞬間の、どこからともなく吐き出されるタバコの煙や酒臭い息だったりします。

クラシックも同じです。
録音では聴き取り切れないもの、録画では目に捉え切れないものが、そのステージがいくら遠景にあっても、やはりその場でこそ感じられる、得られるということが、少なからずあります。
それは、「こういう曲はここで拍手しちゃいけない」とか、「この曲はここが聴き所だ」なんて部分的なものでは、決してない。
目の前で演奏している人が、まず本当に全身全霊で演奏に取り組んでいるか、ははっきり分かる。
では、その演奏は、単にお仕事という義務からなされているのか、自分だけ楽しんでいるのか、お客さんをも楽しませようと思っているのか、はたまた、天の神さま仏さまに聴かせたい真心からなされているのか・・・これらが、トータルとして感じ取れる。初めて直に聴きに行ったコンサートで、そこまで腑に落ちるようなものを見られたら、大変な幸運です。先のエピソードに現れるレコードマニアさんの出向いたコンサートは、どうも、そういう素晴らしいものではなかったようですね。

ここに、JIROさんというブロガーがいます。
彼がよく扱うのは時事・政治問題ですが、生活にかかわりがない以上はそうしたことに関心のない私には、それらはただ彼の博識と適切な分析力に圧倒されるだけでして、それ以上のことはない。
でも、彼が時々載せるクラシック音楽記事は、とても楽しい。
このときばかりは、彼は理屈を忘れて、
「みんなで、ただひたすら、この音楽、この演奏を楽しみましょうよ」
という一心だけで記事を仕立てているので、私の記事なんかのように「なにかを考えながらでないとよく分かんないし、考えてよくと頭に来るか、わけがわかんなくなる」ようなシロモノになることはありません。私の身内でも、私のこのブログなんかより、彼のブログの音楽記事のほうが好きだ、という人が多くて、口惜しい思いをさせられます。

あるいは、ここに笛吉さんというかたがいらっしゃる。
人生の大先生でもある笛吉さんとは直接の面識はまだないのですが、ホームページブログを一生懸命なさっている。
笛吉さんの扱っている音楽は「祭囃子」です。
半世紀前まではどんな土地にも普通にあった「祭囃子」は、今、思ったほどには存続していません。しかも、雅楽や能、文楽、歌舞伎、箏曲、三味線音楽とは違い、家元による伝承もなければ安定的な興行がある類いのものでもない。
ただ昔からの日本の八百万の神様に聴かせる為にだけ続いて来た楽の音を、今でもその神様に捧げる為にだけ奏で続けられている。ですから、伝承の難しい音楽です。
思いのほか実体験しにくい環境になっているこの祭囃子を、みんなに出来るだけ知ってもらいたい、との一心から、日々、私たちに分かり易い「お囃子」情報を発信し続けていらっしゃる。

(それぞれ、色の変わっているところをクリックして頂ければ、該当のブログやホームページを見ることができます。)

まずは、少なくとも、こうした
「音楽を真摯に楽しもう、同時に、音楽の前で真摯に頭を垂れよう」
というブログやサイトを通じて、ナマの音楽に接する下準備をするほうが、現状、へんてこな入門書を読むよりもずっと、
「体感する音楽」
を知る架橋を得るうえでは有益なのではないかと思います。

クラシックのこういう曲は「笑える」だとか、「あぶない」だとか、たとえエピソードとしてそれらがどこかの誰かの伝記に現れたりしているにしても、そんなものを入り口にして先入観を持って音楽を聴いてしまったら、その時点で、音楽の本当のメッセージは私たちに届かなくなります。
マナーの押しつけに従うことも同様です。

本をお書きになるかたに望みたいのは、ですから、もうそうおいう類いの曲がった「入門書」は絶対に出さないで欲しい、ということだけです。

誰もが素直な耳で音楽を味わえる、そうしたいと思っている人たちに、真実、虚心に音楽が聴ける最低限の、ある意味では「博物学的知識」以外には、入門書に載せて欲しいなにものもありません。
そういう期待は、読者は本来もってもいない、というところに、是非還って頂きたいなあ、とは、今日も書店を覗きながら溜息まじりに思ったことではありました。

音楽を外からの目で笑ってはいけない。
それを演奏する人の巧拙だけで、奏者の人を笑ってはいけない。
ただ、その奏者が、本当に充分に、音楽に託されたメッセージを伝えられているかどうかに集中することの中から、昔の志ん朝を支えた落語ファンのような音楽ファンが、また新たに芽を出して来てくれるのですし。
そうやって、音楽のメッセージを伝える手だてをたくさんの方からの応援と叱咤激励で身につけた演奏家が育てば育つほど、私たちの誰もが、初めて自ずと、音楽そのもののメッセージの中にある「笑い」や「涙」や「敬虔」の精神を、しんそこ愉しむことが出来るようになるのではないでしょうか?


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コメント

Kenさん、 コメントが遅くなっちゃって、ごめんなさい。拙ブログをご紹介頂きまして、誠に、誠に有り難い。

音楽について、Kenさんに教えて頂いたことにより、私は今までよりもずっと「音楽」や「オーケストラ」の奥深さを

知りました。 それだけでも有り難い。 Kenさんの学識を私は本当に尊敬しています。

そのKenさんのブログで私の知ったかぶり音楽記事をお褒め頂くとは、最高に光栄なことです(真面目です)。

ネット上でお知り合いになって、随分経ちますが、Kenさんとお話出来る幸運に感謝し、

Kenさんのご厚意に心より、御礼申し上げます。 

ありがとうございました。

投稿: JIRO | 2009年6月10日 (水) 18時48分

JIROさん、ご無沙汰です。

あたくしは学識なんてトンでもございませんで、ゴタクばかり並べるオタクで、お恥ずかしい限りです。

JIROさんみたいに、純粋に音楽を楽しんでいるのが、私のような偏った人間が綴るものより、みんな素直に楽しいんですよね。

だから、これからも「楽しく」、宜しくお願い致します!
私も楽しみにしています・・・って、ここのところ自分のことにばかりか負けているのが申し訳ない限りなのですが。

投稿: ken | 2009年6月11日 (木) 23時31分

はじめまして 表題にびっくりしてつい開いてしまいました 笑 私も同じ気持ちです 私は静岡県浜松市在住のものですがやはり西洋音楽にはかなり力が入っているのですが和楽器は無視されるのが実情です 私は雅楽とお祭りのお囃子をしています 本当は和楽と洋楽を一緒にしたい気持ちがあるのですが分野の違いのためか理解はされませんね 雅楽が私の持ち管は龍笛です 笙もチキ時しますがね 笑 この前は舞台で琵琶の方と演奏しました 人気のない分野なので今後が心配ですがどうせ趣味ですしね 笑 もしよろしければご連絡ください では

投稿: トモ | 2014年3月 7日 (金) 14時01分

トモさん

コメントありがとうございます。
なんか、ビックリさせてすみません。(^^;;
日本のものがきちんとおやりになれるのは羨ましい限りです。
私なんか口三味線ばっかりです。
自分自身はヘタクソなバイオリンを弾くだけですが、うまいかたとコラボできるといいですね〜
今度いろいろ教えて頂ければと存じます。

取り急ぎ、御礼まで!

投稿: ken | 2014年3月 7日 (金) 21時28分

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