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2009年5月31日 (日)

見せない「工夫」

ケルンで活躍中の蓮見岳人・阿部千春デュオリサイタル(リュート&バロックヴァイオリン)、是非お出掛け下さい。
千歳(7月12日)・天理(7月18日)・京都(7月19日)・名古屋(7月21日)静岡(7月22日)・東京(7月23日)です。
その他、最新情報は追加でお知らせします。



アマチュアオーケストラ、東京ムジークフロー定期演奏会は6月28日(日)です。こちらも宜しくお願い申し上げます。

昨日は夜間にTMFの練習でしたので、その記録を載せなければならないところですが、恐縮ながらあとまわしと致します。

今日、所用で外出し、ついでに、財布事情で買えないながら、ある店先でオーケストラのDVDを2種、試聴しました。

ひとつは
ラトル&ベルリン・フィル :ムソルグスキー『展覧会の絵』、ボロディン交響曲第2番、他
  Euroarts  2056798 (2007年収録)
632

もうひとつは
交響曲全集 朝比奈隆&新日本フィル(映像監督:実相寺昭雄)
  Tobu Recordings  TBRDVD1001(1989年前後収録)
313

どちらも、喉から手が出るようなシロモノでした。

ラトルの映像は、残念ながら収録当時まだ在籍なさっていた安永徹さんはコンサートマスターをお勤めになっていませんが、2年前には既に、ラトルは初期のベルリンフィルとの録音時に比べて確実にオーケストラとの連携を深め、アバドの時期に伝統からの転換に戸惑って不安定になってしまっていたこのオーケストラの新しいサウンドを、ふくよかな響きで構築し終えていたことを知らしめてくれる、貴重な映像です。

朝比奈さんのほうは、1991年にレーザーディスクで出ていたものの復刻だそうですが、これもなかなかの好演です。

ところが、二つ並んでいるのを聴き比べ、眺め比べしているうちに、ちょっと悲しくなってしまいました。

新日本フィルのメンバーは、大変に工夫・健闘しています。
でも、その工夫は、お客さんには極力見えないようなかたちでなされています。
日本のホールの音響の悲しさで、仮にベルリンフィルと同じ技術で演奏したとしても、音響はベルリンフィルハーモニーホールに比べると、かなりデッドになってしまうのです。(チェリビダッケ来日時の録画で、名人チェリビダッケの下でも、名門ロンドン交響楽団の音がかなり「死んでいる」のが耳にできます。これは単独で見ていたために、これまではただ、録音技術のせいだと思い込んでいました。・・・違ったのでした。)
ですから、弦楽器を良く拝見すると分かるのですが、楽器の響きをなんとか最大限に残すべく、弦(いと)の振動が極力妨げられないよう、弓の弾力を最大限に活かして、必ず弓が弦から跳ね上がるようにしている。・・・これは、だいぶ前列で見ていたお客さんにしか分からなかったはずです。管楽器の方も、音の切り上げに実に慎重です。大胆に鳴らすように「みせかけ」ながら、音の最後は、たとえ「短いスタッカート」の指定箇所であっても、長めに、かつ音の「語尾」を「鐘の音が消えるように」残すことに腐心しているのです。

隣に映っているベルリンフィルが、各メンバー、案外それぞれが好きな奏法で演奏しているのと見比べると、新日本フィルのメンバーはよくよく打ち合わせして響きの設計からなさったんだろうな、と感じられ、涙が出る思いでした。

どうなんでしょう、この映像から20年近く経ちましたけれど、日本のホールの音響事情は、どの程度改善されたのでしょうか?

同じ顔合わせでの演奏を、もう目にも耳にも出来ないことを思うと、事態が単純に把握できないことがとても切なく思われました。

いずれも、ファンの方にはお薦めできるとは思っております。
出たばかりで入手しやすいですし、お店で見たりすることもまだまだ可能かと思われますので、いちどごらんになって見て下さい。
ラトルのものは、こちらから検索をかければ海外Amazonから入手も可能です。そのほうが実質上安いかも!


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