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2009年4月10日 (金)

ヴェルディ「運命の力」:序曲と劇の関係

齋藤友美賀ヴァイオリンリサイタル(2009年4月28日、市ヶ谷にて)、是非お出掛け下さい。



大井浩明さんの新譜「フーガの技法」(クラヴィコードによる演奏)が出ました。必聴かつリーフレット必読です!

標題の件、オペラそのものの筋書に付きましては、Wikipediaに詳しい記事がありますので、以下はそちらをご覧の上で参考になさって下さい。

演奏は、1976年のジェームズ・レヴァイン指揮ロンドン交響楽団、ジョン・アルディス合唱団のものから引用します(RCA 74321 39502 2)。主な配役は最後に記します。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%AE%E5%8A%9B

いま、Wikipediaの記事よりもすごくかいつまんでストーリーを述べますと(慌てて間違うかもしれませんから、別途確認はして下さいませ)、

舞台は、オーストリア継承戦争の頃のスペイン、だったよな?・・・設定はどうでも、ハプスブルク家によって起こされた戦争であれば、この歌劇の舞台が位置するスペインとイタリアが結びつけられます(スペインというのはアルヴェロの血筋を自然に扱えるようにする、オリジナルの戯曲作家の意図であったのでしょう。・・・そこまで突っ込んでは調べていませんが)。

インカ王室の血を引くアルヴェロと恋仲になったレオノーラは、駆け落ちしようとするところを父親に見つかります。敵意のないことを示そうとしたアルヴェロの取り出した銃が暴発し、父は死んでしまいます。典型的な、「悲劇」の仕掛けの幕です。父に見つかるところで、序曲の活発な動機が登場します。

・第1幕最終場面

レオノーラが「遅かった! E tardi」と叫ぶことからこの場面が始まり、銃の暴発、レオノーラの父の死まで、畳み掛けるように筋が展開します。(以上、第1幕)

第2幕の初めに、序曲の冒頭動機が現れます。Wikipediaの記事によれば、これはヴェルディ自身は「修道士たちの敬虔な祈りを表し」たものだ、と述べていたそうですが、観客の立場としては、この動機の登場以降、登場人物たちの抜き差しならない運命が回転し始めるという印象を受けます。

・第2幕第1場冒頭

深刻に聞こえる動機のあとに、陽気な合唱が繰り広げられるのは、舞台が居酒屋を兼ねた宿屋だからで、夜の宴会で盛り上がっているのです。

その中に、レオノーラの兄、ドン・カルロがいます。彼は、父の死後失踪したレオノーラとアルヴェッロを探し出して仇を討とうとしているのですが、アルヴェロの顔を知らないのです(第1場)。
この場は陽気な音楽が多いのですが、ジプシーの女が、男たちを、イタリアの戦場へと誘う(第3幕への伏線)ので、景気がいい、という次第です。
アルヴェロとはぐれてしばらく経ち、たまたまその場に男装して混じっていたレオノーラは、ドン・カルロの姿を認めるなり慌てて逃げ、修道院に出向いて憐れみを乞います。修道院に着いた場面で、第1幕の幕切れ前と同じ動機が現れます。

・第2幕第2場冒頭

ここで受け入れられたレオノーラは、修道院の長と一緒に喜びの歌をうたいますが、これは序曲の後半部分の最初にクラリネットが演奏するメロディです。

・第2幕第2場最終場面から

修道院の敬虔な雰囲気を示すメロディは、序曲中間部分のヴァイオリンのものです。

(以上、第2幕)

場面はイタリアの戦場に移ります。ここで、互いに顔を知らないアルヴェロとドン・カルロが、お互いに偽名で名乗り合い、賭場でフクロにされたドンちゃんをアルヴェロが救ったことで、二人は最初は義兄弟の契りを結ぶほどに仲が良くなる、という設定が、とっても時代劇的です。アルヴェロはやがて戦場で傷つき、死を覚悟して遺品をドンちゃんに預け、「開けずに燃やして欲しい」と頼むのですが、「開けるな」と言われなかった方の荷物を、ドンちゃんは、つい開けてしまいます。そのなかから、妹のレオノーラの絵が出て来たことで、自分の戦友が実は探していた仇であることを知ります。
奇跡的に傷の癒えたアルヴェロに、ドン・カルロは素性を明かして決闘を挑み、二人は戦いますが、周りに静止されます。アルヴェロは嫌気がさして修道院に入る決心をします(以上、第3幕)。

アルヴェロは、偶然にもレオノーラが近くの洞窟に籠っている、かの修道院の、徳高い神父となりましたが、執拗なドンちゃんに見つかってしまい、決闘を避けたいがために、真相を語り、憐れんでおくれ(Pieta pieta ! )と訴えるのですが、ドンちゃんはアルヴェロの話を信じません。ここの旋律が、序曲の、冒頭の激しい部分の後に現れる木管楽器によるものと同じです。

・第4幕第1場から

決闘の場所は、知らぬことだったとはいえ、レオノーラのいる洞窟の前。理由も分からず不安に陥るレオノーラの心を、その述懐に先立って、序曲の激しい動機が再び現れますが、音声は省略します。

決闘の結果はアルヴェロの勝ち。瀕死のドンちゃんのために、しかし、決闘の相手であった自分では臨終の秘蹟を授けられないため、彼は代わりの聖職者を求めます。そこに現れたのがレオノーラ。恋人と兄との、あまりにも衝撃的で悲しい再会に打ちのめされながらも、ドンちゃんを看取ろうとしたレオノーラは、あろうことか、怨みの塊であるドンちゃんの最後の刃に刺され、ドンちゃん共々命を落とします。(以上、第4幕)

・・・こんなに悲しい劇、せめて「うらめしや」ドンちゃんを「ドンちゃん」と呼ばずには、悲しくて綴れませんでした。 (T_T)



私の場合は、作劇法と、ヴェルディの音楽の付けかたに、歌舞伎と非常に似通った精神を感じましたが・・・その分、やはり、書かれた「時代」をも「昔」だと思わされたわけですけれど、そのあたりは、ご興味があれば、是非全曲をご覧になって(ただし、長い歌劇ですのでDVDはそう安くはありません、CDで、リーフレットが付いていて安かったのが、今回のご紹介に使ったものです)お確かめ下さい。

用いたCDでの主な配役は、以下のとおりです。
レオノーラ:レオンタイン・プライス(非常に残念なことに、g'あたりから下の低音が汚い。家内が生前教えてくれましたが、声では、高音は訓練でいくらでもきれいに出るようになるけれど、低音はそうはいかないんだそうですね。だから、高音は美しいこのかたは、多分、すごい努力をなさったのだと思います。でも、この役は低音がきれいじゃないと勤まらない書かれかたをしています。)
アルヴァロ:プラシド・ドミンゴ
ドンちゃん:シェリル・ミルネ、とお読みするのでしょうか?
レオノーラとドンちゃんのとうちゃん:クルト・モル


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