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2009年4月 3日 (金)

メンデルスゾーン:初期の弦楽交響曲群(2)

大宮光陵高校管弦楽部がSONYのウォークマン"Play You"のCMに12月13日から出演しています!



齋藤友美賀ヴァイオリンリサイタル(2009年4月28日、市ヶ谷にて)、是非お出掛け下さい。

大井浩明さんの新譜「フーガの技法」(クラヴィコードによる演奏)が出ました。お聴き頂くと同時に、秀逸なリーフレットを是非お読み頂きたく存じます。私がつまらん感想を述べなくても、このリーフレットですべてが分かる!

Ooibach記事本文とは関係ありませんが、上述の大井さんの新譜の表の絵を載せておきます。
「この顔、何?」
とお思いになったら現物をてになさって下さいね。「クラシック」の壁が、ここから破れているのが私は好きです。

本題。

1番から6番に触れたあと、間がだいぶ空いてしまいました。
これら6曲は1-4番と5・6番の2グループに分かれていましたが、今日触れる第7-9-番、1-12番と、1楽章だけの第10番、第13番(これは私が初めて聴いた頃は番号が付されていませんでした。いつごろ付いたのでしょう?)についてはひとまとまりと捉えることもできますし、それぞれが個性的な存在だと見なすこともできます。

ひとまとまりで捉えられる側面は、
・前半6作同様、短調指向(長調作品では序奏が短調、短調作品ではこの関係が逆転)であり、かつプロイセン系の作風であること
・随所にフーガを取り入れていること
・第7番を除き、遅い(重い)テンポの序奏が付いていること
・緩徐楽章に民謡調の要素が取り入れられる傾向にあること(1822年7月にスイスへ家族旅行をした影響のようです)
といったあたりです。調性においても、楽章数が増えた分、ヘ長調を基調とする第11番の第2楽章は変ホ長調(下属調のそのまた下属調)、ト短調を基調とする第12番の第2楽章(3楽章構成の中間楽章)も変ホ長調(平行調の下属調)と、前6作よりやや野心的な性格付けを行なっています。

前半6作に比べるとモーツァルトに似ているなあ、という部分に出会うことがあり、作品規模が大きくなっていることを考慮すると、これらは前半6曲よりはあとの作品で、その分、これまではあまり感じられなかったウィーン古典派的なものも学び取った上での創作になっているのではないか、と思われるのですが、ベルリンという土地柄でしょうか、後半7作では大バッハを意識したのではないか、と考えられる性格の方が、いっそう強く前面に現れています(耳での聴き取りですので、錯誤あればご指摘下さい)。
また、第8番は古典的な二管編成で「弦楽交響曲」ではなく、第9番も第2楽章に打楽器が入ります。
第11番は5楽章、第12番は3楽章構成であるのも面白いところで、それらを耳にした上で7番以降を聴き直してみますと、これらは私たちの既成概念上の「交響曲」と「合奏協奏曲」の中間的な性格をもっていることをお感じになられるのではないかと思います。

フーガの現れる箇所は、下記のとおりです。
・第7番終楽章
・第8番終楽章
・第12番第1および第3(最終)楽章
そのほかの作品も、ポリフォニックなキャラクターがあらわであり、どちらかというとそれを「オブラートで覆い隠している」ウィーン古典派とは一線を画しています。
この性質は、メンデルスゾーン作品を貫く特徴ともなって行くものです。・・・第7番以降は、すぐあとの八重奏曲・「真夏の夜の夢」序曲や、ずっと後年の「イタリア」交響曲を彷彿とさせてくれます。

後半作品群でもう一点、明記すべき特徴は、メヌエット楽章のテンポです。
これらはハイドンやモーツァルトのメヌエットとは似ても似つかず、有名な例ではベートーヴェンの交響曲第2番・第4番のメヌエット楽章のように、1拍子的なのです。
演奏によっても違うのでしょうが、"MENDELSSOHN THE COMPLETE MASTERPIECES"中のハノーヴァーバンドでは第8番第3楽章が少しゆっくり目ですが、これでさえもベートーヴェンの第4交響曲のメヌエットの遅めの演奏と同じくらいの早さで演奏されています。他に同様のメヌエット楽章があるのは第7番第3楽章、第11番第4楽章(第11番は5楽章構成)です。



個々に見られる特徴は、個々の構成の中で述べましょう。(大文字は長調、小文字は短調)

第7番 ニ短調
I. Allegro 細かな分散和音を主動機とし、ラメントの要素を持つレガート動機を付随させている。ピチカート伴奏の効果的な使用が見られる。
II. Andante (D) 二声でありながら豊かな歌謡性をもって開始。変ホ長調の中間部はさらに豊満。
III. Menuetto 前述
IV.Allegro molto 短調開始に見せながらニ長調〜むしろ前古典派と括られるシンフォニーを彷彿とさせる

第8番 ニ長調(二管編成の管弦楽)
I. Adagio(d)-Allegro (D) 伸び伸びした、輝かしい明るさ
II. Andante (h) 半音階的な幻想風序奏に続き、ヴィオラによる民謡調のメロディ(有名です)。
III. Menuetto 主部はややゆっくり目、トリオは第7番に準ずる。
IV.Allegro molto (d-D) 6連符の上で2拍子の主題が鳴るのは「イタリア」のフィナーレを連想させる。

この8番の第2楽章をお聴き頂きましょう。
第8番第2楽章
ハノーヴァー・バンド、1992-1993収録、オリジナル楽器使用

第9番 ハ長調
I. Grave(c)-Allegro(C) 細かい動機によるが、民謡調
II. Andante (h) ソロカルテットに始まる美しい楽章
III. Scherzo 速いテンポのスケルツォはこの作品群では特殊。ベートーヴェンを意識したか?
       トリオにはヨーデルを取り入れている。
IV.Allegro molto 短調で幕を開ける。ポリフォニック。

第10番 ロ短調(単一楽章):Adagio-Allegro

第11番 ヘ長調(スイス民謡を取り入れている由)
I. Adagio(F)-Allegro (f-F)  長調の序奏は、すでに「古典派」の域を出ている。
II. Scherzo, Comodo schiwelzerlied (d) :スケルツォは元来「舞曲」ではないのです。(過去記事をご覧下さい。)
III. Adagio(ES) 下属調の下属調をとることで、前楽章からのつながりを神秘的なものにしている
IV. Menuetto  : Allegro Moderato  急速なテンポのメヌエット
V. Allegro molto これもまた「イタリア」の終楽章を思わせる

第12番 ト短調
I. Fuga : Grave(g)-Allegro(g) 大バッハを明確に意識していると思われる、二部構成のフーガの積み重ね
II. Andante (ES) 変ロ長調との間を揺れ動く、対位法的なファンタジア
III. Allegro molto  これもまた大バッハの協奏曲を感じさせるが、全体は一般的な合奏協奏曲の終楽章風

第13番 ハ短調(単一楽章) : Grave(c)-Allegro(c)


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