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2009年4月 7日 (火)

ボケられてツッコメない・・・


齋藤友美賀ヴァイオリンリサイタル(2009年4月28日、市ヶ谷にて)、是非お出掛け下さい。



大井浩明さんの新譜「フーガの技法」(クラヴィコードによる演奏)が出ました。必聴かつリーフレット必読です!

Ooibach大井浩明さんの新譜、「フーガの技法」を拝聴しました。
・・・じつは、大井さんを私に紹介してくれた人の勧めがなければ、ベートーヴェンのソナタではなくて、このCDが、私の初めて聴く大井さんの演奏になるはずでした。
ですが、前もってベートーヴェンを拝聴しておいたことで、先入観を最少限に抑えて本アルバムに接することができたのは、幸いでした。

これを、教養主義的に、クラシックとして「巧みな演奏だ」とか「さすが、クラヴィコードを用いるところが違うね!」などという知ったかぶり聴きをするのは、おそらく、このアルバムに接する基本態度としては誤りだろうと思われます。
ともあれ、日本人演奏家の中に、大井さんのようなスタンスの人が堂々とCDを出せている現実は、明るい未来を思わせてくれて、大変に嬉しいのです(当然、それは、録音の中で奏でられている音楽が、今入手できる日本人の演奏の中では飛び抜けて良質だからです)。ですから、演奏そのものは、とにかく、「理屈抜きで」楽しめました。・・・本当にそれでいいのかどうかは大井さんに伺うしかありませんが、実際問題として「フーガの技法」という作品について、構造がどうの、本来あるべき響きがどうの、と言われても考えても・・・屁理屈ばっかりの私にしてはちとばかり見栄が許さず不本意なのかもしれませんが・・・やっぱり
「おいらにゃホントは難しいことなんてちっともわかんねえんだよ」
と打ち明けなければならない事態に陥るのは、彼のベートーヴェンの演奏を聴かせて頂いたときとまったく変わらない印象であり、告白しなければならない「恥ずかしい」、でも「幸せな」感覚なのです。
ほんとうに、クラシックなんかに限定したブログにしなけりゃ良かった、と、後悔することしきりです。



・・・って、ここまでの綴り方が、既に東日本ノリなんですよね。(かつ、演奏そのものについては、これ以上述べることもありません。)

大井さんは関西人です。だから、関西ノリで綴れないと、ほんとはあかんのです(って、関西風の語彙を取り入れた時点で、もう無理があります)。
私のような綴り方ではおもろくもなんともないのは承知しています。・・・いちおう、大阪にも京都にも親戚がおりますので。
それでも、やっぱり、東日本人には関西のノリでは語れません。限界でございます。
(だから、この記事も大井さんには内密にして下さいね。)

昔、東北のアマオケにいて、京都のアマオケとジョイントしたことがあります。
京都の連中って、やりたい放題なんですよ。
東北は、がちがちに堅いわけです。
ところが、それぞれがそれぞれに演奏する時には色合いが両極端であるにも関わらず、一緒に混じって演奏した時、京都の人たちが、こちらの色に見事に合わせてくれた時には、本音で舌を巻きました。
話をしても、「文化」の厚みも違う。由来のつまらない楽器一つをとっても、
「こんなつまらないもののことまで、なんでこんなに素晴らしく知ってるんだ?」
と、度肝を抜かれる。
大井さんのブログは一見おちょくりに溢れているんですが、脇にあるリンクをクリックしたら、そこはそういうびっくり箱になっていますから、ためしに覗いてみて下さい。・・・これに、変に太刀打ちしようだなんて気は、東北や関東の人間は思わない方が無難なようです。

録音で、演奏そのものは「楽しんで」下さい。
以下、このCDに漏れなく付いてくる、出色のリーフレットに、少しだけ触れておきたいと思います。
このリーフレットに掲載されたインタヴューは大井さんのブログに・・・こないだまで日本語で、だったはずなんだけど、なぜだか今見たら英語に変わっちゃってまして、ぶっ飛びました!・・・、はい、とにかくブログに載っていますので、そちらを参照なさっても結構です。
でも、やっぱり、演奏を聴くことと併せてお読み頂くのが、いちばん望ましい。

映画ではないのですが、ネタバレはやめたいので、少しばかり、私なりの「つまらない」言い方で、「ハズシた」ご説明を加えます。

大井さん曰く、フーガの
「各曲の最初に出てくる旋律は『主題』と呼ばれ、これが漫才のボケにあたります。(中略)世間に対して主題(ボケ)を分かりやすく解すのが、対句(ツッコミ)です。逆に言うと、ツッコミを観察することによって、ボケに何を言わせたかったかを推定できます。フーガとは、面白い面白い発想の話題に基づいて数人が雑談している光景です。」
この話の前に、上岡龍太郎氏と松本人志氏の発言を引いて、面白い漫才作りの難しさについて語られているのですが、フーガを漫才に例えることに目くじらを立てると、大井さんの話の趣旨を読み誤るでしょう。いや、目くじらを立てなくても、正直言って、クラシック馬鹿には、フーガを漫才に例えられたとたん、脳みその中に「???」が無限大に点滅するばかり。
漫才(DVD「紳竜の研究」について1回目2回目。リンクしました)については、大井さんとは違う、もっと言えばずっと卑小な視野から、私も記事にしたことがあります。
落語(リンクしました)についても、記事にしたことがあります。
「笑い」を作るということが「音楽」に直結するとは、そのように過去に漠然と感じていたことではありますが、題材をバッハで、というこのストレートさは、思いもよりませんでした。

その他、クラヴィコードという選択をした理由、音量の問題、未完部分の決着のつけかた、最後のコラールのこと、などは、是非、現物を手にとるなり、大井さんのブログの英文を読むなりして(って、私はこっちはもう真面目に読みませんでした!)、「クラシック馬鹿」の私やあなたは満足をすることにしましょう。

次は大井さんのクセナキスを聴くぞ・・・金が入ったら・・・と、ワクワクする私でした。

お粗末様で。


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