« モーツァルト:1779年作品概観 | トップページ | Schubert "The Great" の映像:第1楽章(YouTube) »

2009年4月14日 (火)

C.Brown "CLASSICAL & ROMANTIC PERFORMING PRACTICE 1750-1900" Intriduction

齋藤友美賀ヴァイオリンリサイタル(2009年4月28日、市ヶ谷にて)、是非お出掛け下さい。



先にお詫びしておきますと、私は洋書や日本の古典は「感覚」で読んでしまいますので、内容を「正しく」読めてはいません(まあ、現代日本語の本でも、怪しいもんですが)。かつ、この本の翻訳をするわけではなく、ざっと見のご紹介をしたい気持ちだけで綴ります。ご了承の上お読み下さいますよう、伏してお願い申し上げます。

Brown_2Clive Brown "CLASSICAL & ROMANTIC PERFORMING PRACTICE 1750-1900" (1999 OXFORD UNIVERSITY PRESS ISBN 978-0-19-516665-1)は、ロジャー・ノリントンが序文を寄せた、前古典派期から後期ロマン派期にかけての演奏様式・技術について、さまざまな資史料を駆使し実証的に記述している書物です。
ただ、その英語は、音楽の専門家で英語を母国語にする人でも難解なものだそうだ、と、人に教えて頂きました。・・・私なんぞがチンプンカンプンでも無理はない、と納得がいった次第です。
ですので、デタラメを恐れず、かつ、自分が読み進めるために、1週か2週に一度くらい、ごくかいつまんだところを章ごとにご紹介する趣旨です。
譜例も、かなり詳しい方でないと知らない曲が沢山混じっており(私も・・・などと言ってはいけないか、私は、です・・・知らない曲がいっぱいでビックリしました)、最善は実際にお手に取って頂くこと、次善は、いずれどなたかきちんとしたかたが邦訳して下さること、かと思っております。
間違いのご指摘は、勉強になりますのでお受けし、記事も訂正して参りますが、私自身は翻訳を出来るような器ではありませんので、本書が早期にいい訳者に恵まれることを祈っております。

ノリントンによる序文と著者による緒言については省略致します。



本書は15章からなり、各章は次の内容から成っています。訳語は確定できませんので仮のものです。
・第1章 理論における抑揚(強調)法
・第2章 実演における抑揚(強調)法
・第3章 アクセント及びディナミークの記譜法
・第4章 アーティキュレーションとフレージング
・第5章 アーティキュレーションと表現
・第6章 アーティキュレーションとフレージングの記譜法
・第7章 弦楽器の弓使い
・第8章 テンポ
・第9章 アラ・ブレーヴェ
・第10章 テンポ諸事項
・第11章 テンポの調節
・第12章 修飾・装飾・即興
・第13章 アポジャトゥーラ・トリル・ターン、及び関連する装飾
・第14章 ヴィブラート
・第15章 補遺事項(フェルマータ、レシタティーヴォ、アルペッジョづけ・・・他)


イントロダクションの記述から若干の点を拾っておきます。

著者は、本書のような研究は、本来、さまざまな書物、多くの別々の著者によってなされるべきでありながら、不問に付されているに等しい状況にあることから記述に踏み切った旨を、客観的な姿勢から述べているように、私には感じられます。というのも、著者は著述の目的を、音楽の書かれかたや演奏法について、哲学や美学による思弁的なものではなく、歴史上の実演に基づいた理論的知識を幅広く得ることにおいているからです。
従って、著者の狙いは、現代のホールやレコーディングに即実用的な方法を提示することよりもずっと幅広いところにあり、本書の研究によって演奏の自由度・可能性が、より正しい道筋で高まることをも期待しているようです(器楽だけではなく、声楽をも視野に入れています)。
ただ、音楽というものは記譜法やスタイル、楽器の選択決定をするうえではそう単純なシロモノではない・・・それが、本書を本文だけで632頁に及ぶ大冊にしています。
資料も不完全にしか残っていませんし、演奏そのものも奏法や解釈、配置法などは大変ヴァラエティに富んでいます。本書は、本編に入ると、そうしたことについて、かなり詳細に追求していくことになります。

イントロダクションからは離れますが、このあたり、今までの書籍は歴史を時系列に追うことに腐心していたかのようですけれど、本書は同一時点での多様性をも重視している。
人間の営みをとらえる上では、このほうが適切であることは、常識からすれば明らかでしょう。それが、不思議なことに、「歴史」として考えてしまうと、この「歴史」というヤツが、途端に私たちを手枷足枷で拘束するのではないでしょうか?。こうした特徴がブラウン著の最大の魅力だと思います。

ブラウンは、以降、1900年代初頭の録音や口承を駆使していくこと、等の方法をとることをイントロダクションで簡単に、しかし以下の章を読む上で承知しておく必要がある点を網羅的に述べていますが、読み進めていく上で、ブラウンが用いた資料そのものではなくても、近似したものは、その気になれば収集したり学んだりできるものではないかと思っております。本文の中にそのようなものを見つけましたら、この先、併せてご紹介して行きたいとも考えておりますが、果たしてどの程度出来るかはまだ分かりません。

ただ、単純に資史料を眺めて信じ込むことが、ブラウンの目指しているところではありません。読者は、ブラウンの呈示するところによって、たしかに、まず豊かな「知識の」恩恵を受けることになります。ですが、それをどのように活かしていくかは、ブラウンはある意味で読者に委ねています。
正確に読み解くことすら覚束ない私が本書をご紹介するのは、甚だ僭越なことですが、
「これは手にとって知識を得、」
なおかつ、さらに
「それをもとに自ら考えていく価値がある」
とお感じになって頂けるようであれば、デタラメダイジェストのお役目は充分果たせるのではないかと思いますし、日本では「ピリオド奏法」と一様に片付けられがちな演奏方法が(ブラウンも本書中では「ピリオド」という言葉を用いてはいるのですが、日本人にとってはむしろ「ヒストリカル」と置き換えた方が望ましいのではないかとさえ思われるほどに)随分と多様でさえあること、それがタイトルにある1750年から1900年という枠でも当然であることを、まずは是非お知り頂きたく、また、先に述べましたように、いずれは演奏実践にも優れた方の手でこの本が日本語訳されて現れることを心から祈りつつ、結局イントロダクション本文から外れてしまいましたが、まずはご紹介に及んだ次第です。

ハードカヴァーのものは高価でして、リンクはソフトカヴァーのほうに貼ってあります(AMAZON)。アフィリエイトではありません。6,300円弱で入手可能です。


L4WBanner20080616a.jpg


クラシックCD検索に便利!バナーをクリックして下さい!


sergejOさんの記事の便利なインデックスも是非ご活用下さい。

|

« モーツァルト:1779年作品概観 | トップページ | Schubert "The Great" の映像:第1楽章(YouTube) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208675/44671707

この記事へのトラックバック一覧です: C.Brown "CLASSICAL & ROMANTIC PERFORMING PRACTICE 1750-1900" Intriduction:

« モーツァルト:1779年作品概観 | トップページ | Schubert "The Great" の映像:第1楽章(YouTube) »