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2009年4月23日 (木)

ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲」:好きな曲026

齋藤友美賀ヴァイオリンリサイタル(2009年4月28日、市ヶ谷にて)、是非お出掛け下さい。



Bruch会社員になった私は正真正銘のダメセールスマンで、家を売る商売だったのですが、お客様と初めて約束がとれて、出掛けてみると、そのかた、養豚業者さんだったのでした。
体格が体格なものですから、やがては肉屋さんに行ってしまうご同輩たちが居並ぶのを前にして・・・というわけではありません。まあ、沢山の豚が一所に集まってひたすらがつがつ餌を食っているとか、あるいはひたすら眠っているとかいう光景を目にするのは、ずっとあとに「千と千尋の神隠し」を見た時に恐怖が甦ったほど鮮烈でして、やっと辿り着いた玄関のベルを鳴らす時にはカチカチに緊張しておりました。
覚えているのは黒い屋根の大きな豚舎ばかりで、目の前にしたお客様の顔が、ちっとも思い出せません。たぶん、気さくに、おうちに上げて下さったのでしょう。
そのお客様を前にして、商品のカタログを開いたまではよかったのですが、説明しようとしても、どうしても言葉が出ません。今思うと、そんなに長い時間ではなかったのかもしれませんが、私の中では、その時間は少なくとも30分はあった、との感触が、四半世紀たった今でも抜けません。

こうした失態をやらかす上に、経験したことの無い関東の夏の湿気は大変に堪えまして、新入社員のうちから体を壊して、10月1ヶ月をまるまる病休してしまいました。それでも解雇にすることなく、1ヶ月待って下さった当時の所長さん・・・倒れられて重篤状態になりながら奇跡的に復帰した、精神力の人でもありましたが、定年でお辞めになりました・・・には、今でも感謝をしております。

2年ほどたって、ダメセールスの私でも、なんとか平均値は出せる程度のサラリーマンにはなれました。
その頃はまた別の所長さんの元で働いていたのですが、なんとかひとり前になると、休み無しだった勤務も少しは時間の融通がきくようになり、平日定休でしたので、ここなら何かあるだろうと思って上野の文化会館に出向いて、定休の曜日に練習があるアマチュアオーケストラを探しましたが、最初に見つけた評判の高い団体はオーディションがあるそうで、そんなものを受けにいく時間もなければ、そのための曲を練習する時間もありませんでしたので、諦めました。

ふと気づいたら、もうひとつの団体が練習をしていました。

申し訳ないことに団体名を忘れてしまいましたし、練習にもあまり通えなかった上に、その後の転勤で結局在籍1年足らずでしたから、団体の方も私を覚えていないでしょうし、私も、ご一緒させて頂いたたった1回の演奏会の中で、このブルッフのヴァイオリン協奏曲の伴奏を弾いたこと以外になにも想い出せません。



学生時代に
「おまえ、練習したら、きっと似合うコンチェルトだよ」
と周りに言ってもらえたのがこの協奏曲でしたが、私の弾き方ではソロなどとてもおぼつかなく(コンチェルトを弾くなどという技術は未だにもっておりません)、とくに最初の楽章は楽譜を見ただけで震え上がってしまいます。

第3楽章を、江藤俊哉さんの演奏でお聴きになってみて下さい。45歳の時の演奏です。
ブルッフ
江藤俊哉/エドワード・ダウンズ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 RCA BVCC-38160-63

マックス・ブルッフ(1838-1920)は、ブラームスと同時期、5つ年下ながら実績ではやや先輩格の作曲家で、ブラームスの第1交響曲に大きな影響を与えた人物でもありましたが、生前既に才能に優るブラームスの下手にまわされる憂き目に遭ってもおり、ブラームスに対しては本人は友人として対等に接してくれることを望んだようでしたが、無視されるにも等しい扱いを受けました。
確かに、2曲の交響曲はブラームスの4曲に比べると散漫な印象が拭えないのですが、ヴァイオリン協奏曲は彼の持つ叙情性が程よい統一感を保っており、ブラームスの協奏曲よりもソロコンチェルトの伝統に沿ってもいて、バランスのとれた美しい作品です。
かつ、この作品もまたブラームスの協奏曲に大きく影響を与えたことは、一聴瞭然でしょう。


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