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2009年1月 2日 (金)

もっと広く! 祝メンデルスゾーン生誕200年

心臓移植への応援の願いサイト「大樹君を救う会」
http://savedm.web.fc2.com/
・・・是非、お目通し下さい。



大宮光陵高校管弦楽部がSONYのウォークマン"Play You"のCMに12月13日から出演しています!
http://ken-hongou2.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/sony-play-youcm.html

2009年が記念年のクラシック作曲家の中で、生誕200年とキリのいい有名作曲家は、唯一

メンデルスゾーン

です。

9544e075aaa0c2a4が・・・しかし!
私たちは、彼の作品にどれだけ親しんでいるでしょうか?
彼の人となりを、どこまで知っているでしょうか?

日本語で読める彼の伝記は、幸いにして昨年、
舩木 元「メンデルスゾーンの世界」(文芸社)
が発刊されたようですが(私は未読)、音楽之友社<作曲家○人と作品>シリーズでも予定されていますから、そちらも早く発刊されればいいな、と思っています。

・・・で、それらの書籍に記載されている彼の作品表を見たとき、私たちは、いかにメンデルスゾーンの音楽世界についてはホンの一部しか知らないかを、強く思い知らされることになるはずです。



音楽之友社が上記シリーズを発刊したことで入手できなくなった、1999年同社刊行の翻訳書「大作曲家」シリーズ中の『メンデルスゾーン』(ハンス・クリストフ・ヴォルプス著 尾山真弓訳)を、私は所持しています。それによって、1809年から1847年(38歳)までの生涯に彼が残した主要作品の概要をまとめますと、

・弦楽のためのシンフォニア:12曲
・交響曲:5曲(2番はちょっと特別です。最終楽章がその前の器楽楽章を合わせたよりも長いカンタータになっているからで、私は初めて聴いたとき、仰天してのけぞってしまいました。)
・序曲等の管弦楽曲:9曲
・ピアノ協奏曲類(2台のためのもの、管弦楽伴奏による自由な作品を含む)8曲
・ヴァイオリン協奏曲:2曲
・ヴァイオリンとピアノのための協奏曲:1曲
・重奏曲:弦楽四重奏9、弦楽五重奏2、弦楽八重奏1、ピアノ重奏曲7
・独奏楽器のためのソナタ:ピアノ3、ヴァイオリン・ヴィオラ・クラリネット各1、チェロ2
・ピアノ伴奏の器楽独奏曲:5曲(チェロ2、クラリネット2、バセットホルン1、ハープ1)
・ピアノ曲:無言歌集8巻、その他28作品
・オルガン曲:10作
・オラトリオ:3作(「パウロ」・「エリヤ」・「キリスト(断片)」
・オペラおよびジングシュピール:7作(最後の「ローレライ」は未完)
・付随音楽:4作

・・・その他多数の声楽曲を作っているのですね。声楽曲については、正直言って、私など全く無縁でした(合唱をおやりになるかたはご存知のものも多いかもしれません)ので、数えませんでした。

自分自身が、では、これらのうちのどれだけに接したことがあるかというと、弦楽のためのシンフォニアから数曲(試演のみ。全曲は高校時代には既に聴いたはずですが、全く記憶していません)、交響曲(演奏は3番以降の試演)、ヴァイオリン協奏曲はホ短調の1曲のみ、管弦楽曲6曲(演奏で接したので、アマチュアにしては多い方かと思います)、弦楽四重奏曲は学生時代に試奏を試み、難しくて挫折の経験あり、八重奏曲は同じ頃仲間でお祭りのように何度も遊びでパートを入れ替えたち変え弾いた、無言歌は「春の歌」以外はほとんど知らず・・・という、底の浅さです。ピアノ協奏曲はチラッと聴いたかもしれませんが、印象に残っていません。
・・・この、印象に残っていない、というのが、彼の作品の質の高さに対して、まず「失礼」でありました。

完成したオラトリオの「聖パウロ」と「エリア」はいずれも傑作です。特に、「エリヤ」については、日本人がそれほど、というより全く知らなかった、と言ってもいい時期にサヴァリッシュ氏がN響の記念公演で採り上げ、周りの心配をよそに大成功をおさめたのでしたが(前にも綴ったことがあったと思います)、それももう、忘れられているかなあ・・・



で、私自身がそういう状況であるのも反省し、なおかつ、演奏に加わって来た限りにおいて、彼の
「比類のない透明感」
を感じて来たことを振り返りつつ、今年はこのブログを読んで下さる(数少ないかもしれない)かたとメンデルスゾーンの魅力を、聴く方でも家計の許す限り聴きながら、新鮮な思いで共有できたらいいな、と考えているところです。

生前の彼をいちはやく有名にしたのは、この曲です。

・「真夏の夜の夢」序曲(約12分)
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小沢征爾/ボストン交響楽団(1992) ドイツグラモフォン国内盤 UCCG-3516

1826年、17歳にしてこの序曲を(最初はピアノ連弾用に・・・そしてすぐにオーケストレーションしたようですが)作曲したフェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディの名は、1830年にはイギリスを含むヨーロッパ中に知れ渡った、ということです。
シェークスピアの名作戯曲のためのこの序曲は、当初は戯曲全体をイメージして作曲されたのでしょうね。
いま、劇の付随音楽として序曲とセットで演奏される曲の数々は、1843年、34歳のときににプロイセン王(フリードリヒ・ヴィルヘルム4世)の誕生日の祝賀用として付け加えられたものです(全曲の初演は10月14日、ポツダム宮殿にて。このときメンデルスゾーンは王が無神経にカタカタと紅茶の茶碗の音をたてるのに腹が立ったのですが、やっとのことで我慢した、という逸話があります。また、演出者が5幕あるこの戯曲を3幕に短縮する案を出して来たり、当日も時代錯誤のバロック的な舞台衣装を用いたり、音楽が演出に比べて長過ぎるとパントマイムでごまかしたり、と、そのことも不愉快のタネだったようです)。上の序曲を含むアルバムは、吉永小百合さんのナレーションが加わっていることで、私たち日本人がこの一連の作品をよく理解しながら楽しめるようになっています。

生前のメンデルスゾーンにこんなことを言ったら気に入られないでしょうが、この序曲、「フィンガルの洞窟(正式名称はヘブリディーズ諸島)」と共に、交響詩の先駆けとなるような、絵にならない情景の巧みな心象描写となっています。途中に聞こえる「メえー、メえー」という音型は、妖精パックに頭をロバに変えられてしまったボトムという登場人物を象徴しています。

他の作品にも、折りをみて接していきたいと考えております。
とくに、室内楽は自分でもじっくり聴き直したい、もしくは新たに聴きたいものが豊富にあります。
名盤等あれば、是非、ご紹介下さいね。


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コメント

>2009年が記念年のクラシック作曲家の中で、生誕200年とキリのいい有名作曲家は、唯一
>メンデルスゾーンです。

へえ。今年はそうなんですね。メンデルゾーン生誕200年ですか。

>彼の作品表を見たとき、私たちは、いかにメンデルスゾーンの音楽世界についてはホンの一部しか知らないかを、強く思い知らされることになるはずです。

全くおっしゃるとおり、驚くほど、広いジャンルで、想像以上に多作なんですよね。この作品表ほど完璧じゃないけど、
15分試聴を利用して、無料で実際に聴けるので、
ナクソス・ミュージック・ライブラリーに収められているメンデルスゾーンのリストもご紹介します。
http://ml.naxos.jp/composer/24619/Full

毎日15分ずつ、聴いていけば、少しずつですが、無料で全部聴ける訳です。

ご指摘の声楽曲の多さにも驚きましたが、私はまさか、メンデルスゾーンが「クラリネット・ソナタ」を書いているとは
(クラリネットの方は御存知なのでしょうが)全然知らなかったので驚きました。

悪い予感が的中してしまいましたが、メンデルスゾーンの家系には若くして「突然死」した人が多く、自分もその一人ではないか、
という恐怖感に、彼は苛まれており、その潜在意識が、多作の一因かもしれませんが、いくら恐怖感があったから、といっても、
才能がなければ、音楽は書けない訳で、やはり希代の天才だったのでしょうね。

投稿: JIRO | 2009年1月 3日 (土) 13時21分

JIROさん、いい情報をありがとうございました!

メンデルスゾーンは、間違いなく、もっと注目されていい天才です。
でも、ロマン派以降となると、聴く人は「代表作はこれ」っていうのが固定化されていますしね・・・
なおかつ、とくにアマチュアのオーケストラはトロンボーンをメンバーにかかえるのが当たり前になり、管弦楽曲にトロンボーンを含まないメンデルスゾーンは、提案しても採り上げられにくくなっています。

メンデルスゾーンの天才は、モーツァルトとベートーヴェンの折衷型で、有名はホ短調のヴァイオリン協奏曲は初期稿が最近録音で出回りはじめましたので完成稿と是非聴き比べてみて頂くとよろしいかと思いますが、頭の中で作品は出来上がってしまった人なのです。ですのに、いったん完成したものでも納得しないで執拗に完成度を高めていく、上手くいかなければ自己反省を深める、という、「ロマン派的な」自分に厳しい作曲家(ベートーヴェンとは違って作品を練り上げて完成させるタイプではないだけに、ここに差があります)だったようです。そのあたりに、シューマンと通ずるものがあったようです。
ブラームスは、また違うんですけれどね、見かけはやはり、自分を見出してくれたシューマン的な自己反省に満ちていますね。(ブラームスも、しかし、ベートーヴェン型ではない。)

あれ? あたしゃ一体何が言いたいんだ?

自分でもよく分からなくなってしまいました。

こんなところで。
姉のファニーにも再注目したいですね!

投稿: ken | 2009年1月 4日 (日) 01時02分

メンデルスゾーンはもっと見直されるべきだと、僕も思います。
「真夏の夜の夢」の序曲を聴くだけでも、
彼の恐ろしいほどの才能をビシバシと感じますよね。
彼が自由に作曲できる環境にあったことを勘案しても、
早熟さという点ではモーツァルトを超えているかも。
17歳の時点ではあのモーツァルトでも
ここまで非の打ち所の無い作品は
残していないのではないでしょうか。

う~ん、やっぱこの序曲、傑作!

投稿: Bunchou | 2009年1月 5日 (月) 02時04分

「真夏の夜の夢」序曲は、ほんとうに、信じがたい出来ですね。
すでに豊富なエピソードをよいバランスで結びつける・・・しかも前奏・後奏付きという当時としては類例の稀な構造で仕上げているところに、ハイドンに勝るとも劣らない、まさにロマン派の嚆矢としての実験精神が既に溢れています。
モーツァルトは全体構造という面ではこうした新機軸はまだこの年齢では打ち出していなかったですね。・・・でも、それは、時代背景も考慮しなければならないかも知れません。
メンデルスゾーンは、ベートーヴェンという先例に触れることができたし、モーツァルトよりもなお後のハイドンをも体験しているわけですし。ゲーテとも12歳にして対等の哲学的な会話をしていますから。そこはやはり、裕福な育ちであったことのメリットなのでしょうね。そこを割り引けば、モーツァルトと単純比較はしてはいけないのでしょうけれど。
それにしても、たしかにこの序曲は、神のみ技のようです。

投稿: ken | 2009年1月 5日 (月) 23時15分

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