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2009年1月 8日 (木)

「マイスタージンガー」:東京ムジークフロー12月27日演奏会の音1

心臓移植への応援の願いサイト「大樹君を救う会」
http://savedm.web.fc2.com/
・・・是非、お目通し下さい。



大宮光陵高校管弦楽部がSONYのウォークマン"Play You"のCMに12月13日から出演しています!

昨年12月27日(土)に行なわれましたTOKIO MUSIK FROH特別演奏会の演奏、ご担当して下さった方から録音が届きましたので・・・本当はまとめて全部にしようかどうか迷ったのですが、聴いて見ると、全体に共通する「課題」とそれぞれの作品特有の課題があると思わざるを得ませんでした。

そこで、今日から1作ずつ掲載させて頂きますと共に、併せて団員のかたに顧みて頂きたいことを綴ります。掲載する音はモノラルになっております。団員のかたは、正式のCDはご担当からお求め下さい。(別に団内で発表があると思います。)

今日は、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲


最初に、他の曲とも共通する「反省点」を三つ上げます。


1)「和音・響き」での演奏が出来ていない

2)カウントが甘い

3)「決め」の勘所と方法が理解できていない


団員のかたが読んで下さるかどうか分かりませんが、他団体の方もお聴き頂けばたぶんご自身たちの改良に役に立てて頂けるかと思いますので、少し詳しく言います。

1)エキストラ無し(厳密には助けて下さった実力者が数人いらっしゃいますが)で今回レベルの演奏が出来たこと自体は喜ばしく思います。ですが、演奏している最中、その瞬間瞬間に、「いま、ここの箇所」がどう響くべきか、ということについて、まず個々人の中に「全体像としての設計」が出来ていませんから、和音の力、調和し合った響きが生み出す幅を持つことができません。物理的な「音」についての簡単な読物でも、音と音とが比例する数値の波長で同時に鳴れば、それだけで音は増幅するということについて、明確に書いてあります。・・・そのことを自覚的に「読んで・考えて」下さったことがおありでしょうか? とくに、今回はそういう意味では難しい和声で書かれた音楽はなかったのですけれど。旋律楽器が「ダメ」だなあ、ということをキチンと感じ取って、内声部は低音部と連携してきれいに響き合う和音を構成すべきです。もっと耳を使って頂きたいなあ、と感じます。

2)テンポをきちんと「カウントする」ということについては、音を出しっぱなしのパートは惰性と感情でだけになりますし、休符をはさむことの多いパートは(とくに、まとまった休符が続いてあとで連続するパートではなく、出ては引っ込みを繰り返すパート)は、そんな「常時惰性」組に対してもの申すタイミングではなく、むしろ「ずっこけ」を助長するような、ズレた位置(後ろ気味である方が多いでしょうか?)で入ってくることが多いのは、非常に残念です。
練習中にM君も発言してくれていたことですし、弦楽器の分奏の際に私も申し上げましたが、それをもう少し極端に言っておきますと、4分音符を基本とする拍子なら16分音符で、8分音符を基本にする拍子なら32分音符でのカウントを、休符のあいだも、長い音符を演奏しているあいだにも、きちんと保持しなければなりません。それがないために、動きが細かくなったとたんに戸惑ってずれます。
長い音符を演奏している人は細かい音符を演奏しているパートのカウントに耳を傾けて欲しい
短い音符を演奏している人は、長い音符が自分の目論見と合わないときに慌ててスピードを変えてはいけません。

3)お芝居(テレビドラマでも出来が良ければ)には、必ず「決め」の部分があります。歌舞伎や新劇で言えば見栄を切るところ。・・・これが、実は現代演劇ではあまり重視されていません。そのせいかどうか分かりませんが、「現代劇」ではない時期、すなわち「決め」が必ずある時代の作品を演奏しているにもかかわらず、私たちの演奏態度はいかにも「現代演劇的」で、「決め」の箇所について非常に鈍感です。クライマックスの箇所でタイミングがバラバラになる(これは上記2の「カウントの甘さ」とも密接に関わるのですが)ために、もし自分自身が聴き手だったら「ここがいちばん聴きたい、ここの響きに埋もれてみたい」という箇所で、埋もれるべき心地いい羽布団の代わりに、籾殻の袋に詰めた(枕じゃなくて、ですよ!)布団の上に寝かされてチクチクしてしまうようなイヤな感触をお客様に与えてしまう結果になっています。

1)の響きの感覚は身につけるまで本当に苦労します(私自身も問題を抱えています)から、とりあえずは「一緒にガンバっていきましょう」と申し上げておきましょう。3)の「決め」の問題は、2)が解決しなければまず最低限の効果が出ず、2)が解消して初めて、
「あ、これって、実は1)を大事に考えて音学を観察すると自ずと分かるんだ」
と気づけます。


それぞれの曲について、基本はこの3つを・・・指導を受けることで満足するのではなく・・・自主的に考える人たちの集まりでなければ、本当に「いい演奏」は出来ないだろうと思います。

ここまででもたくさん綴りました。今回の掲載は「マイスタージンガー」1曲ですから、この3つの「課題」があぶり出される部分について、演奏時間のだいたいどの辺かを記載して終えておきます。
是非、タイマーとにらめっこしながらお聴きになり、感じてみて下さい。極端な箇所に留めます。

再掲:

1)「和音・響き」での演奏が出来ていない-0:39以降、2:16以降、3:29あたり、6:20以降、8:27以降(和声の響きとして、どんな韻律とも合っていません。細かい動きの音程が不安定なだけ、が理由ではなく、コラールを奏しているパート同士も、響き合っていません。)9:55以降

2)カウントが甘い-3:55あたり、4:30以降の木管、4:44以降の弦、5:30あたり、6:26以降の弦、6:44以降、8:12以降

3)「決め」の勘所と方法が理解できていない-1:40あたり(こんなので無理する必要はない)、4:44以降、5:30あたり、6:44以降(ファーストヴァイオリンと金管。ファーストにこんなに乱れられたら、金管は打つ手はないですけれど)、8:01、8:12
※「マイスタージンガー」はこの点は比較的分かり易いので、まだなんとかなっていますが、本音を言えばもっとたくさんの箇所があります。ただ、列挙しきれません。・・・ただ、シューマンの最初でファーストヴァイオリンが犯しているような、ちょっととんでもない「方法に対する無知」は、「マイスタージンガー」については起きていません。・・・シューマンについては、どうぞ、お楽しみに!


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コメント

Kenさん、早々のアップ、ありがとうございます。

「マイスタージンガー」第1幕前奏曲ですが、今、スコアを取り寄せているので、それを見てから(見ながら)コメントを書かせて頂きます。

ハイドンは買いに行かないと入手できないので、もう少し後になるかも知れません。

シューマンも同様です(これはAmazonで買えるのですが、一度に買えないので)。
悪しからず。

投稿: JIRO | 2009年1月10日 (土) 15時29分

ご丁寧にありがとうございます。
ハイドンのスコアは入手が大変かもしれません。

ケータイからなので、簡単ですみません。

良いアドバイス、何とぞよろしくお願いします!

投稿: ken | 2009年1月10日 (土) 22時20分

甚だ僭越ながら、コメントを書かせて頂きます。

既にコンマスご自身が、大変厳しいことを書いておられますので、以下は一聴衆(録音ですが)の

素人の戯言と読み流して頂ければ幸いです。感じたことから書きますので、曲の進行通りではなく、

話が前後することをご了承下さい。


全体として聴き終わった後、良い演奏だったな、と感じます。

これは、この曲のクライマックス、コーダの部分が成功しているところが大きいと思います。

211小節目以降ですね。ここから先が乱れると台無しになりますが、立派な響きだと思います。

ただ、211節目は、確かに作曲家の指示は「ff」であり、「fff」では無いのですが、この曲を楽譜を見ないで

普通に聞く場合は、聴衆はfffに匹敵する音量を期待します(コンマスのお言葉を借りるなら最大の「決め場」

なのでしょう)。音が汚くなってはいけないけれども、もう少しダイナミックスを上げても良かったかな?と感じました。

個別に指摘して申し訳ありませんが、この箇所のシンバルさんの一打は、より強くても良かったかもしれません。

この曲を知っているほぼ全ての聴衆は、この小節でシンバルに注目していると言っても過言ではない。

強烈な一打を大変期待していますから。

そのあとは、最後までバランスとテンポが保たれ、大変良いのです。欲を言えば、218小節目以降、

全管楽器と、チェロ、コントラバスの付点四分音符の後の16分音符が、曖昧です。ここはマルカートですけど、

歯切れが今ひとつです。そして、218小節目以降、ワーグナーの指示はfなのですが、最後の2小節の三つの音。

これは気持ちとしてはffで良いのではないでしょうか。瞬発力が今ひとつなのです。拍手が何となくパラパラ、と

始まってしまったのはその所為だと思います。終わりよければすべてよしで、最後の音の印象が最も強い訳ですから。

________________________

曲冒頭に話を戻しますが、1小節目、管楽器とチェロ、コントラバス。3拍目と4拍目の付点四分音符と八分音符は大変重要だと思います。

確かにスコアはmolto tenutoなんですけど、文字で書いて恐縮ですが、聴衆は「ジャーン、ジャージャジャーン」ではなくて、

「ジャーン、ジャー、ジャ、ジャーン」と演奏されることを期待します。つまり八分音符は、明確に分離されるべきだと思います。

この吹き方、弾き方が、曖昧です。続いての弦・管はとてもスムーズに進行していますが、9小節目から前打音を伴うティンパニは、

響きがやや弱い。ここは、矢鱈と強くてもいけないのですが、聴衆の肚に「ズシン」とくるものが不足しています。14小節目のロールも

同様です。

ワーグナーの弦楽器パートはいずれも楽譜を見ただけで、さぞや難しかろうと思います。話が逸れますが子どもの頃、

N響のコンサートが終わってから、ヴィオラ奏者の方にお話を伺ったことがありますが、「ワーグナーには、どう考えても、

演奏不可能な箇所が沢山ある」とおっしゃっていたのを思い出します。

ヴァイオリンですが、これは弾いた方が十分、ご自身で分かっておられると思うのですが、35小節目3拍目の高いAの音と、

続く、スタッカートの16分音符の連続は、ちょっと頼りなげに聞こえます。ごめんなさい。

40小節目4拍目から始まる金管のコラールは、とても良く鳴っていて、素晴らしいです。

59小節目からの1st、2ndヴァイオリンのレガートが美しい。67小節目からの1番トランペットを私はいつも楽しみにしていますが、

プロでも聞こえなかったりすることがありますけれども、この演奏では、出過ぎず、引っ込みすぎず最適なバランス(音量)ですし、

音も美しく、レガートが綺麗です。見事だと思います。

転調する前の盛り上がる所。92小節目のホルンは、スコアではffですが、これは指揮者の責任というか解釈の問題かも知れませんが、

ちょっと吹き過ぎではないか、と思います。ここでホルンだけが突出すると、何だか変です。

94小節目以降、E-durに転調してから。コンマスが既にご指摘ですが、何故か急に弦が乱れますね。

聞いているだけでも「あれ?」と、はっきり分かります。これは私には原因は分かりませんので、これ以上書くのは止めますが、

ちょっと、ドキッとしました。はっきり書いて申し訳ないけど、ここから一般聴衆の耳にも「何だか弦がおかしいぞ?」というのが

続きます。弦が落ちつきを取り戻したかな、とかんじられるのは、158小節目以降です。

その間、木管アンサンブルは、時折、コンマスがおっしゃる、カウントの乱れが分かりますが、概ね大変上手です。

139小節目と140小節目のクラリネット、ファゴット、ホルン、素晴らしいと思います。特にホルンさんは、この細かい音符を

乱れずに見事に吹いておられてます。大変上手だと思います。

さて、そこから長いクレッシェンドが始まり、151小節目で「マイスタージンガーの動機」がトロンボーンで登場しますね。

弦楽器はさぞや難しいだろうとお察しします。これは私は何も言えません。完全に正確に弾いて、合わせるのは至難の業、

だろうと思います。

151小節目以降のトロンボーンさんなんですけど、最初はとてもよいし、音も良いのですが、

コンマスのおっしゃる、「決め」(尤も、フレーズの中での「決め」ですが)どころが違うように思います。「決め」は、

156小節目、2拍目のA音ではないか、と思うのですが、この音が最強にならず、その後の8分音符の下降音型の方が、

音が大きいので、違和感があります。

この演奏で印象的なことの一つは、165小節目以降のコントラバスとテューバのユニゾンです。音が良く、音程が良く、

「これぞ、バス」という響きで、オーケストラ全体の響きの印象を変えています。172小節目のトリルは、これほど、はっきりと、

コントラバスとテューバのトリルが鮮明に聞こえる事は少なく、アマ・オケでは、ややもすると、この箇所でテューバがヘロヘロになりますが、

この演奏は実に素晴らしい。

193小節目以降、コーダに向かって行くところ、コラール、良いんですけど、193小節目、195小節目の4拍目に現れる、

8分音符と16分音符がどうしても気になります。テヌートですけど、やや短めに切った方がピシッと締まります。

196小節目以降の1stヴァイオリンと、ヴィオラは、難しいですよねー。これはそれでもそれなりに聞こえていますから、

聴衆としては、一つ一つの音符が全部正確に弾かれていなかったとしても、特に不満を感じるような結果にはなっていません。

コンマス、まとめるのがさぞや大変だったと思います。ご苦労さまです。

コーダ、以降は、前述の通り、順不同で始めに書かせて頂きました。

本当はもっと丁寧に聴いてから書かなければいけないのですが、印象が薄れないうちに、コメントさせて頂きました。

生意気ばかりで申し訳ありません。

それでは、失礼します。

投稿: JIRO | 2009年1月11日 (日) 15時24分

JIROさん、ほんとうに丁寧にお聴き下さって、ありがとうございました。
最初に拝読しただけでも、妥当なご意見だと言うことが分かりました。

でも、それだけで済ませるにはあまりに勿体ないので、音を流しながらコメントを拝読してみました。
「妥当だ」ということが確かめられた、という結論です。一人でも多くのメンバーが、JIROさんのコメントを丁寧に読んでくれることを願っております。

二、三、弁解をさせて下さい。

※ ホルンが聞こえ過ぎる、という箇所と、ティンパニが要求されるより弱めに聞こえるという箇所については、会場のナマの響きと録音に乖離があります。ここでのホルンパート、ティンパニの奏者は、実際には適切なディナミークであったと記憶しています。(録音では必ず「響き」の部分がなにがしかカットされるのですが、会場の特性やマイクの配置(これは会場の固定マイクで、通常、高さ調節程度しか出来ませんね)によって、そのカットされる要素が異なって来ます。そこはご斟酌頂ければと存じます。

※ 最終音のウェイトについても、やはり「録音上の要素カット」の影響があるなあ、と感じます。ただし、和声的に整っていないので、いずれにしても音の力不足は否定できませんが。

弁解できるのはこの2点だけですね。

よくぞここまでお聞き取り下さいました。

こんな楽しい思いが出来ることは最近なかなかありませんでした。

あらためて御礼申し上げます。

なお、コンマスの「出来の悪さ」は、本日、ハイドンの演奏の方の本文に綴った通りでございます。
・・・ホント、自分が情けねー。。。

投稿: ken | 2009年1月12日 (月) 00時20分

Kenさん、一素人の拙い感想に過分なお言葉を頂いて、却って恐縮しています。

ホルンと、ティンパニの音量、最終音に関してのご説明、よく分かりました。録音では分からないまま、
安易に批判的なコメントを書いてしまいました非礼をお許し下さい。

もっと丁寧に聴けば、もっと良い演奏(の箇所)を指摘できると思うのですが、その点申し訳なく思います。

一点、訂正させて頂きますと、

>139小節目と140小節目のクラリネット、ファゴット、ホルン、素晴らしいと思います。特にホルンさんは、この細かい音符を
>乱れずに見事に吹いておられてます。大変上手だと思います。

と書きましたが、スコアが二段になっているのに気付かず、小節を間違えました。139-140ではなく、

私が「大変上手」と書いたのは、142-143小節目でした。お詫びして、訂正させて頂きます。

残りの二曲もスコアを入手出来次第、書かせて頂きたいと思っておりますので、

今暫くお待ち頂ければ幸いです。

投稿: JIRO | 2009年1月12日 (月) 14時08分

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