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2008年12月16日 (火)

もうやめましょうよ、こういうの・・・(批評書に感じること)

心臓移植への応援の願いサイト「大樹君を救う会」
http://savedm.web.fc2.com/
・・・是非、お目通し下さい。



大宮光陵高校管弦楽部がSONYのウォークマン"Play You"のCMに12月13日から出演しています!

その大宮光陵高等学校第23回定期演奏会(12月14日)は、無事終了致しました。

所用で綴る時間が無くなったので、お茶濁しではあるのですが。。。

今日、音楽には全く関係のない本を探していて、目に入りました。

「カラヤンがクラシックを殺した (光文社新書) 宮下誠」

・・・時間がなかったので中身をチャンと読まないで言うのはなんですが、最初の方によれば、著者はカラヤンの最後の来日公演を聴きにいったそうで、そのときに、これは凄い響きだと思うと同時に何かが違う、と思ったのだそうです。
で、とりあえずカラヤンとの対比にクレンペラーとケーゲルとを持って来ている。

内容は、まあ、チャンと読んでいないこともありますので、不問としましょう。

でも、こういうタイトルは、もうやめましょうよ。

こういうタイトルなら、もしかしたらありなのかな、と、いちおう実際に読んだものには
鈴木淳史「私の嫌いなクラシック」洋泉社新書
がありましたが、これだって結局は「見てきたような」批判をしていますけれど、価値判断は主観であり、同氏の別の本(この本に先立ってお書きになったものだそうでした)と併せて読むと、そっちの方では「好きだ」と述べているのがこちらでは「嫌いだけれど・・・」と歯切れが悪い登場の仕方をしたり、変に前著作と逆のことを言い出してみたり、と、正直に感想を申し上げれば、読者としては困っちゃいます。そこから類推すると、上掲書も似た傾向を持っているのではないか、という、そのことに危なさを感じます。

主観的なタイトル・批評は、もうCD紹介書であまた出ています。ホンネでは好きではないのですが、いちおう、目は通します。必ず後悔するのですが。
そこへきて、それより一歩抜きん出た印象を与えたいのかどうか、こんなタイトル付けの新書がまた増えて来ている気がします。案の定、批判についても客観的な基準・批評の軸がどこにあるのか分からない。
リンクは貼っておきましたが・・・ねえ、やめましょうよ、そんなもの書いて飯食おうだなんて姿勢は。
主観を売り物にする前に、どうせならこの本のように、ちゃんと当人の下で演奏した人々に聞き回ったものをありのままに提示してくれる本こそ、クラシックファンには有益です。

41q4gz97yul_sl500_aa240_川口マーン 惠美「証言・フルトヴェングラーかカラヤンか (新潮選書) 」

この本でインタヴューを受けている人たちは、映像「ベルリン・フィルと第三帝国 ドイツ帝国オーケストラ [DVD] 」にも登場する人が多く、映像を見た上であれば、なぜ本書中でのインタヴューでのような発言をしたかも、より明確に知ることができます(立読みで申し訳ない限りでしたが)。

・・・少しの事実だけを拾って来て、それだけをあたかも大問題であるかのように(私から言わせれば)歪曲して主観的価値判断で記述した本を売るのは、ホントにやめて欲しい。百害あって一利もありません。
みんなが知りたいのは「事実」です。
でもって、その「事実」にいちばん近いところにいた人たちの間でさえ、同一時の「事実」に対して全く違った印象や感情を持っている。これは音楽世界に限った話ではなく、平和論のの類いの本、ビジネスマンの生き方論にもよく見かけます。
「人によって受け止め方が違うんだ・・・それが事実というものなのだ」
ということをきちんと呈示し、読者に「考えさせる」書物こそ、望ましい。

ですが、新書という(ある意味で、体裁の組み易さなどから文庫本よりいっそう)手軽な媒体であるものには、なぜこんなにも「主観」の押し売りが多いのか。

「売らんかな」の姿勢の新書は、どうか描くことも出版も控えて頂きたいものです。
お気付きかどうか分かりませんが、そのようなことを平気でなさっているご著者は「ファシスト」であり、無責任に発行する出版社は「ファシズムに染まっている」・・・ここまで言うと大袈裟なのですが、メディアがそういう働きをする怖さを、出版する当事者がいちばんご存じないのではなかろうかと思うと、おそろしさに身震いしてしまいます。

客観的、と称するデータを並べたって、並べようによってはウソで固めることもできる。その点、川口ローマン恵美氏の著書だけが、上に挙げただけではご自分を戒めて、可能な限り「公平な」インタヴューの収集と「自己非検閲」の姿勢を貫いています。

そのような本が少ないことを、私は心から憂慮しております。


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コメント

このようなエントリーは、わが身を振り返ることになり、嗚呼!です、、、

投稿: sergejO | 2008年12月18日 (木) 00時18分

いえいえ、sergejOさんは、「批評」は
していませんもの! お勧めかそうでないかの判断も、私は適切だと思って拝読していて、信頼しています。

こんな記事ごときで「わが身を振り返」らないで下さいね!

信頼してなきゃ、毎回リンクなんか貼ってませんてば。

投稿: ken | 2008年12月18日 (木) 10時29分

そんな温かいお言葉を、、、しかし、

>で、とりあえずカラヤンとの対比にクレンペラーとケーゲルとを
>持って来ている。

>読者に「考えさせる」書物こそ、望ましい。

は、ほんとうに自分の課題で、突き刺さりました!

投稿: sergejO | 2008年12月18日 (木) 12時40分

sergejOさん

・・・まあ、そうおしゃらずに!
私がイヤなのは、内容がよく練られていない「出版物」なのです。
ブログの系統って、ある意味では「途中経過」でしょう?
それは、ショップをやる場合でも同じでしょうし、ショップの看板にする場合には「評言」は必須ですから避けられない。
そのなかでsergejOさんくらい、ちゃんと「自己反省」も含めながら、読んでくれる人に語りかけられいているものって、そんなにありませんよ!

突き刺さらないで下さいまし!

「出版物」の書き手は、「売り物」に対する責任感が希薄だ、というのが耐えられないのです。

投稿: ken | 2008年12月18日 (木) 23時57分

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