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2008年10月18日 (土)

モーツァルト:1778年作品概観

ここまで読んできたモーツァルト作品の個々へのリンクを作成し直しました。ご利用下さい。



1777年作品を(疑わしいもの、部分的にしか残っていないものを省きましたが)やっと読み終えましたが、彼はまだ21歳。・・・傑作群はこれからどんどん現れます。知られている作品も増えて行きます。取り組むのも、だんだん難しくなるなあ。。。

でも、彼の生涯の中で最初の大きな悲劇を迎えることになる1778年に進むための準備をしておかないといけません。

6月には旅行に同行していた母を失い、12月にはアロイジア・ウェーバーに失恋します。
途中、クリスチャン・バッハと偶然の再会を果たし、英国行きも考えますが、父の反対であっさりと諦めます。・・・モーツァルトが、これまでの生涯で初めて、心身ともに身ぐるみ剥がれた年だった、と言ってもよいかも知れません。



この年に作られたのは、ジャンル毎に、以下のような作品です。

<バレエ音楽>
・「レ・プチ・リアン」のための音楽 K.Anh.10(299b)(パリ、6.11以前)
 〜その他、この作品もしくは他のバレエに関連したと思われる小規模な作品やスケッチ(K.300を含む)
 
<声楽曲>
【ソプラノ用】
レシタティーヴォとアリア「アルカンドロ、私は告白する/私は知らぬ、この優しい愛情がどこから来るのか」K.294(マンハイム、2.24)
レシタティーヴォとアリア「もうたくさん、あなたが勝ったのだわ/ああ、私を見捨てないで」K2.486a(マンハイム2.27)
 〜8月作の、散逸したシェーナ有り。
【テノール用】
アリア「もし私の唇を信じないなら/悩み苦しむ心だが」K.295(マンハイム2.27)
 
<交響曲>
・第31番「パリ」K.297(パリ、6.12以前)

<協奏曲>
フルート協奏曲第1番ハ長調K.313(マンハイム、1または2月)
フルート協奏曲第2番ニ長調K.314=オーボエ協奏曲ハ長調K.314?(オーボエ協奏曲がオリジナルなら、前年中の作品の編曲。ただし、最近また異説が出ました。)
フルート協奏曲楽章アンダンテハ長調K.315(マンハイム、1または2月)
・フルート・オーボエ・ファゴット・ホルンのための協奏交響曲K2.Anh.9(パリ、4月、散逸)
フルートとハープのための協奏曲K.299(パリ?、4月?)
オーボエ協奏曲へ長調断片K.293(秋、マンハイム):実際はおそらく1783年

<クラヴィアとヴァイオリンの為のソナタ>
ト長調K.301(マンハイム? 2月?)
変ホ長調K.302(同上)
ハ長調K.303(同上)
ハ長調K.296(マンハイム、3.11)
イ長調K.305(マンハイム、もしくはパリ春)
ホ短調K.304(パリ、春)
ニ長調K.306(パリ、夏)

<クラヴィアソナタ>
イ短調K.310(第8番。パリ、夏)
・・・なお、前年の作品K.311(第9番)、K.309(第7番)への言及を落としていました。いずれも重要作なので、触れるように致します。

<クラヴィアのための変奏曲>
ボーマルシェ「セビリアの理髪師」のロマンス「私はランドール」による12の変奏曲K.354(パリ)



マンハイムでのアリア、パリでの作品群についてのみ見ると、涙のこぼれる思いがしますが、短調作品が直接モーツァルトの心情を反映したとする見方には、現代は否定的です。
得意分野になって行くはずのクラヴィア協奏曲が全くないのが、マンハイムでもパリでも、モーツァルトが貧しい成果しか得られなかったことを明確に反映しています。ヴァイオリンについても、ソナタがこれほど多作されたのは、実に12年ぶりのことで、仮にモーツァルトが披露したのだとしても、これまた彼自身の腕を大舞台で見せるチャンスがほとんどなく、苦闘していた様を反映していると見なすのが妥当だということになります。
管楽器の作品群の多さが、彼の活動がむしろなんとかして安定した職を得ようと、さまざまな演奏家に才能を理解してもらうことで食い込む余地を捜したことを如実に表わしています。・・・これらの管楽器のための協奏曲は、その後は書かれていないことも、考慮すべきでしょう(ヴァイオリンについても事情は同じですが)。
クラヴィアソナタに関係するエピソードは、それらを採り上げる際に述べるようにしましょう。

「レ・プチ・リアン」は可愛らしい作品ですが、それがどのような場で上演されたのかを想像すると、モーツァルトのパリでの生活の惨めさ、を私はついイメージしてしまいます。
そんな環境下で書かれた交響曲は1曲きりですが、彼の久しぶりの自信作でもあり、以後11年にわたるこのジャンルでの発展の嚆矢となるものです。また、モーツァルトの交響曲としては唯一、クラリネットを含めて完全二管編成であるのが特徴で、当時のパリがいかに豊かだったか、の反映でもあるかと思います。

また、ひとつひとつ、じっくり読みたいと思います。



追記)ランスロットさんが、私のような屁理屈ではなく、また生涯に沿って、などという回りくどい方法でもなく、モーツァルトの音楽のいい演奏を紹介し続けていらっしゃいます。ニフティの突然の容量変更で、モーツァルトのジャンルだけ従来のブログ「留魂録」(吉田松陰に由来するタイトルですね。歴史小説の読後感なども綴っていらして、ご本人には内緒ですが、密かに参考にさせてもらっています)から独立させて扱い始めていらっしゃいます。
モーツァルトの名曲を手っ取り早く知りたい場合は、私の記事よりランスロットさんのこちら(「何度もアマデウス」)を強くお奨めします!

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コメント

いよいよ1778年。本当の心の悲しさが音に顕れる年ですね。それより、またまた紹介ありがとうございます。実は、先日大事なHDがクラッシュし、クラシックMp3が、すべて消失しております。ガクッ。単身赴任でもあり再変換にはかなり時間を要しますがめげずにコツコツやります。さて、ちなみに第61弾はK314です。土日にはなんとかアップです。先に教えちゃいます。それではまた。

投稿: ランスロット | 2008年10月21日 (火) 08時26分

ランスロットさん、お返事遅れて済みません。

HD、クラッシュ・・・ただ涙、ですね。。。ご奮闘を祈ります。でも、お忙しいですよね。。。時間がかかるかな。。。ガンバってくださいまし。

K.314、じつは私、実演には何度か参加しているのですが、遊びで「楽しかった」演奏は出来たことがあるものの、本番ではよかったと思ったためしがなく、CDも気に入ったものが見つかっていません(って、有名演奏家で訊いていなかったりするせいもあるのでしょうが)。ご掲載の時には、演奏者も教えて頂けたら幸いです。ランスロットさんのお選びになる演奏は、いいものが圧倒的に多いから。
ついでに、いい演奏のCDを見つけるコツもご伝授頂けたら幸いなのですが・・・

投稿: ken | 2008年10月22日 (水) 07時13分

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