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2008年9月20日 (土)

音楽美の認知(0):美術との対比のために〜ゼキ『脳は美をいかに感じるか』目次

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41eqzbqtxgl_sl160_aa115_音楽美そのものを生理学から追求した本は、探したけれど見つかりませんでした。
で、前に予告しました通り、セミール・ゼキ『脳は美をいかに感じるか』(日本経済出版社)の各章をヒントに、音という素材、聴覚という知覚をゼキ博士が述べるところの「視覚」と対比することによって、私に可能な限り見て行きたいと思います。・・・ただ、素材が重いので、連続して行なえるかどうかは分かりません。

ゼキ博士の著書には本書に先立って別に『脳のヴィジョン』というのがありまして、そちらにはシェークスピアやベートーヴェン、ヴァーグナーなども取り上げられているようなのですが、未読です。
いずれにせよ、ゼキ氏の言う(あるいは一般的にそう言われているのでしょうか)「視覚脳」と美術の問題に特化したこの著作の方を「聴覚脳と音楽」の問題にどの程度置換可能か、その際考慮すべき相違点は何か、を考えていってみた方が、私のような門外漢にとっては、より具体的な「何か」がつかめるのかもしれない、と夢想しております。・・・結果的には挫折が待っている可能性もあるのですが。



以下に、ゼキ氏の本書『脳は美をいかに感じるか』の目次を掲げ、とりあえず(私には脳という「働き」は最小限のことしか分かりませんから)音楽に置換する場合、どのような素材が考え得るかを併記しておきたいと思います。(音楽側の素材の選択はまだ、とてもやりきれませんので、うめていないところは、あとで加えて行きます。)

ただ、ゼキ氏の著書は視覚脳の働きが「抽象画」と結びつけることの方がはるかに容易であるため、第6章から第20章までは抽象画美術家の作品を取り上げているのですが、音楽で「抽象」と呼ばれている現代作品と美術のそれとには、特に「線・形」(これらはモジュール性を語る場合に重要となるものです)という局面では乖離が見られる気がします。そこで、具象美術とロマン派以前の音楽、抽象美術と印象派以降の音楽、という等式でゼキ氏の議論に音楽の話題を嵌め込むことは妥当ではないと思われます。一見不整合な音楽側の対比試案は、したがって、「私が・そのように対比することのほうが妥当だと・いま現在感じている」ひとつの例に過ぎず、決めきれずにいるものも、曖昧なままのものも多く、実際に考察を始める際には変更が加わる可能性が大であることを、最初におことわりしておきます。


<第一部:脳と美術の役割>
第1章 本質的なものを求めて----脳からのアプローチ
(音)ヴァーグナー「トリスタンとイゾルデ」第2幕抜粋
第2章 本質的なものを求めて----美術からのアプローチ
(音)モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
第3章 「眼で見る」という神話
(音)三輪眞弘「東の唄」
第4章 神経生物学から見たフェルメールとミケランジェロ
(音)J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンパルティータから他
第5章 プラトンのイデアの神経科学
(音)ワグナー「神々の黄昏」から
第6章 本質的なものを求めて----キュビズムのアプローチ
(音)メシアン「鳥のカタログ」から
第7章 視覚のモジュール性
(音)ウェーベルン「管弦楽のための6つの小品」から
第8章 見ることと理解すること
(音)ベルク「ヴァイオリン協奏曲」第2楽章 他
第9章 視覚美のモジュール性
(音)ブラームス『交響曲第4番」(2台ピアノ版とオーケストラ版)
第10章 プラトンのイデアとヘーゲルの概念の病理学
(音)アイヴズ「答のない質問」

<第二部:受容野の美術>
第11章 受容野
(音)タン・ドゥン作品から
第12章 モンドリアン・マレーヴィチと線の傾きの神経生理学
(音)J.S.バッハ作品から
第13章 モンドリアン、ベン・ニコルソン、マレーヴィチと正方形や長方形の神経生理学
(音)ベートーヴェン第5の第1楽章
第14章 受容野によって生じる知覚の諸問題
(音)J.S.バッハ作品から
第15章 『メタマレーヴィチ』と『メタカンディンスキー』の神経生理学
(音)「地平線のクオリア」
第16章 キネティック・アート
(音)ストラヴィンスキー「花火」

<第三部:美術形式の神経学的検証>
第17章 顔の知覚不全と相貌質人の肖像画
(音)ブーレーズ作品?
第18章 色彩視の生理学
(音)J.S.バッハ「音楽の捧げもの」6声のリチュリカーレのオリジナルとウェーベルン編曲版
第19章 フォーヴィストの脳
(音)ショスタコーヴィチ「交響曲第2番」
第20章 抽象絵画と具象絵画の神経科学
(音)モーツァルト「キラキラ星変奏曲」
第21章 モネの脳
(音)バッハの同一フーガのヴァイオリン、オルガン、リュート版(本人編曲)


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