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2008年9月 8日 (月)

シューマン「交響曲第4番」第1楽章新旧版比較(付9月6日練習記録)

シューマンの交響曲第4番は、実際には彼にとっては2番目の交響曲です。音楽之友社から伝記が出ましたので、詳しい経緯はそちらを参照して頂ければよろしいのですが、スコアによっては解説に記されています。
ただ、現行市販されているのは1853年に再オーケストレーションされたもの(で、シューマンの生前出版されたものがもとになっている)です。なお、シューマンはこの作品が「第2番」として出版されることを望んでいたこと、しかし出版社の都合で却下されたことが分かっています。
かつ、改変後の「第4番」が、いわば「ライン」路線のオーケストレーションになっていることに関して見解を求められたシューマンは、別段それが「第4番」を現在(1853年当時という意味で)の価値観に合わせる意図からきたものではない、と言明してもいます。「第4番」を演奏するに際しては、したがって、原点となる1841年版での「音像」を知っておくことが重要かと思われます。

1841年の初演の際は作品の作りも、オーケストレーションも、結構違っていました。・・・そして、それは不評でした。
このときの初稿は、オーケストレーション面では、「ライン」に代表されるような厚ぼったいものではなく、むしろ各管楽器が明瞭に他から分離された、透明感の高いものとなっているのが特徴です。
せっかくですから、その第1楽章だけでもお聴き頂き、現状一般的に演奏される「第4番」とどれだけ印象が違うかを確かめてみておいて下さい。

*初稿=準・メルクル/NHK交響楽団(2006)
初稿
(モノラル化して掲載しておきます)EXTON OVCK-00263

*改訂稿(現在一般に演奏されているもの)=フルトヴェングラー/ベルリンフィル(1953)
改訂稿
TAHRA FURT 1100



この聴き比べ、9月6日に東京ムジークフローの練習で、初めてじっくり、第1楽章を中心に練習したので、参考にして頂こうと思って掲げる次第です。(ムジークフローでの演奏は、当然ながら初稿ではなくて現行版です。)
練習した内容は以下のとおりです。(先生のお話から勘案した付加事項があります。)

シューマン:交響曲第4番 第1楽章
*冒頭部=最初、トロンボーン以外の総奏で響くA音は、「これから何が始まるか」の不安を象徴
  したがって、鳴らしたら、次に動き始めるテーマのためにしっかりppまでディミヌエンドし、
  テーマに耳を傾けなければならない
*序奏主題=2小節目後半から、Fg, Vn2, Vla. 5小節目後半から、Claも加わる。(長さは倍)
       10小節目からはob, Vn1が加わり、息が長くなる(全貌をあらわす)。
*10小節目からHr, Cbに現れる付点の動機も序奏主題の重要な構成要素(Vn1にも17小節目に登場)
*4小節目、Fl, Vn1は主題とは別の動き。お互いによく聞き合って。主題ではないので抑制して。
*テーマ以外のパートも、7小節目以降の音符についた<>を、よく守ること。
*クレッシェンドは13小節目後半から。18小節のフォルテに、均等な力で向かっていくこと。
 ※この序奏主題は第2楽章で再登場し、大きな役割を果たす。

*22小節後半から、主部の第1主題がVn1に現れる。ダウンボウ始まりの主題。
  管楽器とVla以上の和音。VC, Cbの不安動機、響きをきちんとしないとあおり効果が出ない。

*29小節から主部。弦楽器は、パート譜印刷のアップからのボウイングは採用しない。この主題は必ずダウン始まり。拍の裏(スタカートの付いた音符、あるいはアクセントのついていない音符)は2音ともアップ。
*練習記号「A」2小節目(43小節以降)はFg, Vla&VC〜Cl, Vn2〜Fl, Ob, Vn1の繋ぎを、「切れないように」。以下、類似個所は同様に心がける。
*60小節アウフタクトからのFl, Obは主題ではなく、主題への色づけ。主題より大きくならない。
*練習記号「D」以降(103小節目から)のトロンボーン、pを保つ。その他の楽器も充分に押える。但し、トロンボーンが保つpは、必ず良く聞こえる(ように出来ている)。
*第2主題(もしくは第1主題の副主題)の初登場は121小節(私注:呈示部ではなく、展開部に現れている。かつ、第1主題が挟み込まれている。この曲の特徴であり、他作曲家の作例でも現れない面白い性格)。弦楽器も充分にffでよい(第1主題エピソードを担当しているからである)。木管のアウフタクト、きっぱりと入り、金管はそれにピッタリ付ける。
*練習記号「E」からは、管と弦が役割交替。
*第3主題(もしくは第2主題)の初登場は147小節。dolceであって、カンタービレではない。歌い込まないように気をつけなければならない。
*167小節から、第1主題動機によって「展開部(前半)」を締めくくる(174小節まで)。

 ※主題呈示が展開部に食い込んでいるため、表面上は再現部がないのだが、
  練習記号「F」からを再現部と見なすと構造が理解しやすい。
  この特徴は、第2主題が第1主題を包含した「展開テーマ」であることによりもたらされている。
*「F」からは「D」の再現。トロンボーンと他パートの兼ね合いは「D」と同じ。
*「G」からは121小節以降部分の再現。121小節からは変ニ長調だったものがホ長調に転調(私注:ブラームスの転調方法に影響を与えている)。
*「H」からは第3主題の再現。

*「I」以降については今までの要素の集約であるため、練習内容についての記述は省略します(私注:「I」以降は、「F」〜「H」を再現部ととらえれば、第2展開部となるが、ここ以降を長いコーダだと考えることも可能)。

*第4楽章は、第1楽章とほぼ同じ要素で出来ているため、第1楽章が理解でき、うまく演奏できれば、問題なく取り組めるはず。

他の楽章の譜読みもしましたが、「譜読み」にとどまったため、とくに記載しません。

今回は、以上。






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