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2008年8月 2日 (土)

J.S.Bach:BWV7〜9

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本日はカンタータBWV7〜9についての基礎データを記します。
(ずっと間があいてしまいました!)
アーノンクール/レオンハルトの全集のCD3におさまっている3作品です。
BWV7、8は1724-25年の第2回年間カンタータシリーズの作品です。
「カンタータシリーズ」についての説明は、別の機会に綴ります。
BWV9は、演奏されるべき日には1742年にバッハが夫婦でケーテンでコンサートをを行なっていたらしいと手元の資料の記述にあります。しかしながら、これ以外に「三位一体祭後の第6日曜日」のカンタータは作曲されていません。23年のうちに既に作曲してあったのだとすれば、第1回カンタータ・シリーズに含まれることになるのですが、そのリスト中にはBWV9は登場しません。(研究書を当たるしかないかな?)
教会暦の知識については、主として八木沢涼子「キリスト教歳時記」(平凡社新書203)のお世話になります。今回はBWV8.9についてはZZBWV2およびに準じますので、教会暦上の意義については説明を加えません。


BWV7 "Christ unser Herr zum Jordan kam"
詞:1,7曲はルター(1541)による。そのほかは不明。
「我等の主キリスト、ヨルダン川に来れり」〜演奏日:1724年6月24日(聖ヨハネ祭)

「聖ヨハネ祭」は、洗礼者聖ヨハネの誕生日とされている祭日です(ルター派ではないプロテスタントでは祭日とされていません)。誕生日が祭日となっている聖人は、イエスとマリアの他は、このヨハネだけだそうです。ヨハネの出生については、ルカ福音書にのみ記されています(第1章13-17)。その記述によると、ヨハネはイエスより6ヶ月早く生まれたことになっているので、その誕生日として、もともとゲルマンの夏至の祭日であっただろうこの日が当てられたのではないかと思われます。
ヨハネはユダヤ教の中でも特異な集団生活を送った「エッセネ派」に属したと考えられており、従って有名な「死海文書」との関わりが想像されている人でもあります(このことは「エッセネ派」の件以外、八木沢さんの本には記述がありません。私も深入りしないでおきましょう。)
この祭日の前夜(イヴ)にせんとジョーンズワート)というハーブを摘むと、その薬効がとくに発揮されるとのことです。すなわち、この薬草をイヴに摘んで枕の下に敷いて寝ると、夢に聖ヨハネがあらわれて祝福を与えてくれ、その年は死を免れるのだとのこと。未婚の女性の場合には、夢に未来の夫が現れるのだそうです(男の方には効き目がないのか?)。その他にもこのイヴに薬効を発揮すると言われているハーブがいくつかあるそうで、フレイザーの『金枝篇』に多数記載例があるとのことです(読まなくっちゃ!)。
古くから栄えたイタリアの諸都市(フィレンツェ、ジェノヴァ、トリノ)、エストニア、ラトビアでは、市または国の休日とされており、スウェーデンとフィンランドでは移動祝日の基準とされています。
ヨルダン川は、いうまでもなく、イエスがヨハネに洗礼を受けた川。まさにこの祭日にふさわしいカンタータ、というわけですね。BWV2と続けて作曲されたもの、とのことです(第2回カンタータシリーズ第3作)。

編成:オーボエ・ダ・モーレ(1,6,7)、弦楽器群及び通奏低音
構成:合唱〜アリア(バス)〜レシタティーヴォ(テノール)〜アリア(テノール)
    〜レシタティーヴォ(バス)〜アリア(アルト)〜コラール



BWV8 "Liebster Gott, wenn werd ich sterben"
詞:1,6曲はカスパール・ノイマン(1690頃)による。そのほかは不明。
「最愛の神よ、我いつの日に死なん」〜演奏日:1724年9月24日(三位一体祭後の第19日曜日)

歌詞はルカ福音書第7章11-17節に依拠しているとのことですが、幕開けのオーボエ・ダモーレのデュエットに鳥の鳴き声のようにからんでくるフラウト・トラヴェルソが非常に印象的です。調性も普及版はニ長調ですがオリジナルはホ長調、と、ちょっと特異です。レオンハルトはホ長調のオリジナルを採用していますので、光り輝くような演奏となっており、この全集の中でも白眉の一つです。(なお、現代楽器での演奏ならば、ピッチを高めにとれば、芯を失わない、柔らかい音での演奏を充分心がけることによって、ニ長調でも類似の効果は得られるでしょう。但し、弦楽器で開放弦を用いるのは厳禁となるでしょうね。ホ長調は弦楽器には開放弦を使わせないことを意図してもいるからです。モダン楽器の弦をバロックヴァイオリンに併せたピッチに調弦するのは、楽器の性能を殺すことになるので論外です。)

編成:ホルン(1のみ)、フラウト・トラヴェルソ(1,4,6)、オーボエ・ダ・モーレ(1,2,6)、弦楽器群及び通奏低音
構成:合唱〜アリア(テノール)〜レシタティーヴォ(アルト)〜アリア(バス)
    〜レシタティーヴォ(ソプラノ)〜コラール



BWV9 "Es ist Heil uns kommmen her"
詞:1,7曲はパウル・スペラトゥスによる。そのほかは不明。
「ここに我等の救いは訪れり」〜演奏日:1723年-35年(三位一体祭後の第6日曜日)

冒頭に記した通り、作曲時期が明確ではない作品ですが、スタイルとしては第2回カンタータシリーズに類似しています。ただし、全集の解説によれば、実際には1732-35年のあいだに作られたと見なす方が妥当だ、というのが専門家の判定のようです。
第3曲の伴奏は1本のヴァイオリンと通奏低音のみです。

編成:フラウト・トラヴェルソ(1,5,7)、オーボエ・ダ・モーレ(1,5,7)、弦楽器群及び通奏低音
構成:合唱〜レシタティーヴォ(バス)〜アリア(テノール)〜レシタティーヴォ(バス)
    〜アリア(二重唱、ソプラノ・アルト)〜レシタティーヴォ(バス)〜コラール



CD、歌詞関連については、sergejOさんのこちらにリンクした頁をご覧下さい。

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