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2008年8月27日 (水)

モーツァルト:教会ソナタ3作(1777/9)

ここまで読んできたモーツァルト作品の個々へのリンクを作成し直しました。ご利用下さい。



1777年、ミサ以外の宗教作品2作においては大司教の「制約」に非従順だったのではないか、と思わせるような作風を見せたモーツァルトですが、ミサの中で演奏される「教会ソナタ」(ド・ニ流に言えば「書簡ソナタ」)は、1777年作であることが確実視されている2曲は、1作(K.274)は以前からの彼の「教会ソナタ」と同じく保守的な作風を見せ、もう1作(K.278)においては編成を拡大したうえに形式上も面白い試みを行なう、という対象を見せています。
もう1作(K.328)はコンラートの説では1777年もしくは1779年(パリからの帰還後)、アイゼン説ですと1779年作とされています。これはまた保守的な作風に戻っています。


先に、ざっとこれら3曲について見ておきますと、以下のようになっています。

K.274(ト長調):Vn2, Org, Bassi(con Faggotto ad lib.) 4/4 Allegro 82小節
前半31小節の呈示部を反復しますし、後半も記譜通り反復するならば、実質上164小節となります。
曲風は、本当にこの年の作品なのか、と疑いたくなるほど、それ以前の「教会ソナタ」との間に大きな違いが見られません。極めて保守的なソナタ形式です。

K.278(ハ長調):Ob2, Trmp2, Timpani(C,G), Vn2, Org, Bassi 4/4 Allegro 123小節
・・・「宮廷の祝賀のために」と(どこになのかは分かりませんでしたが)明記されているそうで、イースターの日曜日のため、でもあった、とNMAに記されています。
1-55小節が呈示部、56-76小節が展開部、77-117が再現部ですが、この再現部、呈示部の冒頭13小節は再現しません。冒頭主題は118小節から123小節にかけてのコーダで、やっと登場します。
呈示部の反復がありませんので、フルの演奏時間はK.274より短くなるのが自然です。

K.328(ハ長調):Vn2, Org, Bassi(con Faggotto ad lib.) 4/4 Allegro 105小節
前半(呈示部)は41小節で折り返しますから、後半も反復するとして、210小節分の長さとなります。主題のの上ではK.274より面白みがあるかもしれませんが、趣向としては保守的です。



K.278については、編成から言って、もしそのミサ曲がモーツァルト自身の曲だったのであれば、導入できる可能性があるのは、ハ長調のものか、ハ長調を属調とするヘ長調の作品でなければならないのではなかろうかと思います。そして当然、1777年より以前に作曲し終えられていて、大司教コロレドの要求に応えられる短さにとどまっており、編成もオーボエ、トランペット、ティンパニを含んでいるべきだということになります。

で、あたって見ると、ヘ長調のミサ曲には該当するものがありません。だいいち、「小クレドミサ」として知られるK.192の1作しかありませんし、このミサにはオーボエとティンパニがありません。

ハ長調のミサ曲となると、1777年までに、モーツァルトは、残っているものだけで7作作っていますが、まず絶対にはずれるのは、長い作品であるK.262、ヴィオラを含む(ということはコロレドのお膝元のミサでは用いられなかったであろうと見なせる)K.66(ドミニクスミサ。作曲年次も1769年まで遡りますし、ヴィオラを抜いて演奏出来る作品ではないと思います)、後年になってオーボエが加えられたことが明らかだ、とアイゼンが考えているK.275(オルガンソロミサ)で、枠は残り4曲にまで狭まります。

となると、編成上も規模の上でも候補となるのはK.259になります。



と綴りつつ、ホンネでなお、こんな可能性もあったと考えていいのではないか、と思いたいのが、
「少なくともK.278はK.262のミサ・ロンガと一緒に演奏されたかも知れないのでは?」
そんな妄想です。
イースターのため、かつはザルツブルクの宮廷の祝賀のため、とあれば、そのときに限ってはコロレドさんは日頃のタガをハズして長いミサの式典も認めてくれたってよかったのではないか・・・

なぜそんな妄想を抱きたくなるか、と言いますと、K.278は、トランペットとティンパニ、という、この当時にあってはまだ特別な「祝祭のためのもの」だった楽器を壮麗に用いているからです。
この事実からだけでも、K.278普段のミサとは全く違う機会に用いられた作品であることは、はっきりすると言っていいでしょう。・・・だって、いちおう、モーツァルト君は気を使って、むしろ通常の「教会ソナタ」より実質的には短時間で演奏が終わるように創作しているのですから。

そのうえ、これだけ「壮麗」になってしまうと、・・・「常識的な教会ソナタ」であるK.274、K.328ではまだ「なるほど、新約聖書の福音書か書簡がこの音楽と共に朗読されてもおかしくないかもな」と思えるのですが・・・K.278が鳴る中では、とても「朗読」なんか出来っこなさそうです。

果たして、真相はどうだったのでしょうね。



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