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2008年7月15日 (火)

ベルリンフィル時代のチェリビダッケ(6)

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旧ブログも復旧しました。一部音声ファイルが聞けませんが、記事は全部残っております(いくつか、障害を起こしやすいものだけ削除したり改変を行ないましたが)。大変ご心配をおかけしました。

チェリビダッケ初期録音の8枚目は、彼とほぼ同世代と言っていい作曲家たちのものばかりを取り上げています。3曲目だけは初めて聴いた上に、ソプラノ独唱曲ですが言葉がわからないため、どうもピンときませんでした。
3曲目はそういう次第でパスさせて頂くとして・・・後で勉強します m(_ _)m

他の2曲は、作曲家の選定または選曲が、第二次世界大戦終了間際のベルリン市民にとっては鮮烈なものだったことが、充分想像出来ます。

1)ヒンデミット:ピアノ協奏曲
2)ブリテン:鎮魂交響曲(Sinfonia da Requiem
3)グリエール:コロラトゥーラ・ソプラノと管弦楽のための協奏曲

ヒンデミットは、戦争中徹底的にナチスに反抗した人で、しばしばナチスがなんとか彼を更迭しようとしたところをフルトヴェングラーがかばい続けたことで有名です(このあたりの経緯は、フルトヴェングラーが著書「音と言葉」のなかでヒンデミット擁護のためにわざわざ一章を割いていることなどから知ることが出来ます。)すなわち、ヒンデミット作品を取り上げることは、表面だけみれば、ドイツがナチスの呪縛から目覚めたことの証明だと言えますけれど、ベルリンの聴衆の内面は、この時期まだ、ヒンデミットを冷静に聴くだけの「心の自信」を回復していなかったのではないか・・・すなわち、ヒンデミットを聴かされることは、自分たちの悲しみや罪悪感を正面から受けとめる辛さを受けとめなければならない、非常に圧迫感を覚えるものではなかったのか、と想像されます。このピアノ協奏曲には、それほどまでに聴衆を押さえつける「強さ」が秘められています。美しいとは言えない。ごつごつした音楽。ですが、何度も聴いているうちに、胸にじわりとしみ込んできさえします。
戦後、ベルリンフィルがフルトヴェングラーに率いられて来日するはずだったところ、フルトヴェングラーが病に倒れ、その代役として指揮にやって来たのがヒンデミットでしたが、そのときの日本人は、ただ「フルトヴェングラーが来られなくなった」ことに失望するだけで、この素晴らしい作曲家且つ優れた演奏家を理解しようなどとは、全くしませんでした。・・・今も昔も変わらぬ、日本人的な「著名人嗜好」の現れで、非常に恥ずかしいエピソードです。

2曲目の「鎮魂交響曲」も、そうした「厚顔無恥」な日本人を象徴する受けとめかたをされた、曰く付きの作品です。
皇紀二千年式典用に日本から作曲を依頼されて、「同盟国」イギリスを代表する作曲家ブリテンが帰してよこしたのがこの作品でした。
もともとがタイトルに祝賀的なところがないので、その点はブリテンも罪なのですが、音楽の内容を聴けば、この時期まだ戦争に「深入り」していなかった日本人は、その後少しは違った方向に進むこともできたのではないでしょうか? 標題に関わらず、作品の内容は「連綿と心の中に生き続ける先人たちの声に耳を傾け、平安を見いだそうではないか」との呼びかけに満ちているように聞こえ(・・・と、これは私の主観ですが)、もし受け取った日本人に、そこまでのスコア読み取り能力があれば、演奏に向けて
「ブリテンさん、すみませんが、標題だけは改変を認めさせて下さい。あなたの意図はよく理解出来ます」
くらい言えたんじゃないかなあ・・・

以上の演奏を、チェリビダッケが「深い共感をもって」成し遂げていることには、それほど具体的に触れなくてもいいでしょう。
彼が、これだけ「戦後」というものに対してインパクトの強い、価値ある選曲をしていることが、この1枚の場合には最も重要です。

さて、残る9枚目、10枚目はまとめて聴いておかなければならなくなるでしょう。
ロシア作曲家オンパレードです(3人ですが)。とりわけ、そこにショスタコーヴィチの交響曲2曲が含まれているところに、チェリビダッケの「最後のだめ押し」を聞き取れるのが興味深いのですが。(録音年代は最後、ではないのですけれど。)

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